平成18年度 診療報酬改定に対するアンケート調査報告 回答
インナービジョン6月号(21巻6号)より抜粋
【Q2】画像診断に関係する改定で,大きな変化があった項目について個々にお答えください。 |
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【回答】
300床未満
・急性期病院では比較的ダメージが少ない印象を受けたのですが, 実際はどうなのでしょうか?
(38床,診療放射線技師)
・画像診断以外は特に目を通しておりませんが,あえて言わせていただけるならば,DPC(包括)に移行する病院が,増えていくと思います。そして,ジェネリック薬品の主役時代です!
これって,ほんとに患者さまの為の医療なの? (76床,診療放射線技師)
・あれだけ推進してきた介護も,今後,切り捨てに走るのか。施設介護はやめて,在宅介護の方向性を打ち出している。
(175床,診療放射線技師)
・当院はクリニックであり,画像の問題は少ない。
(無床,医師,消化器外科)
300床以上
・検査の同一月2回の減算はもう少し良い方法があると思われる。月ごとに審査するレセプトの問題が大きいと思います。
(300床,放射線科医)
・公平な立場で改定をして欲しい。 (320床,診療放射線技師)
・一番の問題は包括化であると思われる。 (500床,診療放射線技師)
・全体として医療費をこれだけ下げる意味が良く分からない。他にもっと下げるべきところが山とあるのにもかかわらず……
(1200床,放射線科医)
・給食の改定は,影響が大きいようだ。 (700床,診療放射線技師)
・長期療養ベッド (824床,診療放射線技師)
・紹介加算がなくなったこと。他施設からの依頼で画像検査を請け負っていた施設は,紹介加算の点数で利益を出していたので大きな影響を受けている。保険点数を基準にしてビジネスモデルを作ると,保険改正のリスクが非常に高いことを示す例である。 (1000床,放射線科医)
・患者の様体で変化する食事の提供(1食単位)についても不合理である。 (804床,放射線科医)
・まだまだ規制が厳しい。自由競争をさせてほしい。
(1200床,診療放射線技師)
・CT,MRIの同一月2回目の減額(別の部位でも同様に減額)が問題 (500床,放射線科医)
・地域連携関連で紹介等の加算が撤廃された。 (600床,診療放射線技師)
・急性期診療加算や医診紹介加算が廃止された点で,医診連携の運営改善や急性期医療施設に特化した運営の構図を見直さねばならなくなった。また,当院のような地方の中堅規模(200〜400床)病院,ましてや公的な病院で,長期療養施設を持たず,在宅介護とも連携を持たない病院の温存を許さない,逆に言えば特定機能病院の推移に追随できる病院のみの温存が許される診療報酬の改訂と観る。
DRGやPPSが導入できる企業努力ができた病院にのみ存続を許される診療報酬の改訂と見る。ICDコード分類から始まる電子化カルテの導入や診療,治療成績結果の評価判定に至る経営の非効率から生まれている格差の是正を誘導する趣旨は評価できる。しかし,これも模式的な経営改善に構図を示さずに平成16年度改定版を180°転換させる項目への配慮が欠落していると観る。
その代表的なものに医業費用の実際原価論(実際に消費した医療サービスの量をもって検証する)と標準原価論(医療サービスの消費量を科学的な統計的な調査に基づいた能率の尺度となるように予定した価格,または正常価格をもって検証する)との両翼転換,意図した能率水準が達成されていれば発生しなくてもすんだものの評価で,真の原価とは何かという判断基準が異なってくることで,見方の方向転換がなされた結果であろうと見る。
地方の公的な中堅規模病院に属する者としての意見は,今回の診療報酬改訂でも診療科間格差が改善されていない点や患者の重傷度に配慮された意図が見られず,また,医療提供者が努力すればするほど報われるシステム志向の誘導が認められず,老人医療費の負担増に代表される医療費の膨大を抑える主旨にしか見えない医療報酬の改訂と見てしまう。
(300床,診療放射線技師) |
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