ホーム ザイオソフトクラウドとモバイル時代に解き放たれる3Dの無限の可能性 パレット&マクロの活用法─マクロによるステレオ画像作成の自動化とステレオ視で行う手術シミュレーション
【月刊インナービジョンより転載】
■パレット&マクロの活用法
─マクロによるステレオ画像作成の自動化とステレオ視で行う手術シミュレーション
安城更生病院 脳神経外科 高橋 郁夫
当施設では脳神経外科領域の3D-CTAは1995年12月より行っており,これまでワークステーションはZioM900(ザイオソフト社製)等を用いてきたが,最近,CT装置の更新に伴ってワークステーションも更新され,ZIOSTATION(ザイオソフト社製)を使用することとなった。画像作成は脳神経外科医が行っている。従来は機種が変わるとボタン位置などの変化で慣れるまで大きなストレスを感じたが,今回はパレット機能で頻用ボタンを編集できたので,そのストレスがなかった。さらに,従来の作業を行うためのパレットやマクロも作成して作業時間が短縮された(図1 (a)〜(c))。
さて,脳神経外科の3D-CTAでは病変の診断に引き続いて手術シミュレーションを行うことが重要である。手術シミュレーションでは頭蓋骨や脳血管などの複雑な位置関係を把握するためにステレオ視が不可欠である。ステレオ視で画像作成の操作ができれば理想的であるが,通常はステレオ視できる画像を作成した後,改めてビュワーで開いて読影することになる。ステレオ画像は,約10°視差をつけた2画像だが,通常は1画像ずつ計2回キャプチャー操作をしなければならない。ワンクリックで2画像がキャプチャーできれば効率が良いのに,といつも思ってきた。
ZIOSTATIONでは,ステレオ視で操作をすることができる。2×2または1×2のレイアウトに,3D-A,3D-Bという本来別々に操作できる2個のビジョンを左右に並べ,同じモード(VRまたはMIP)・同じ位置・同じサイズにしてから,10°視差をつけて操作をリンクすればよい。しかし,通常の3+1レイアウトからステレオ視できる状態にするのに,煩雑な操作が必要でありルチンに行うにはつらい。そこでマクロを利用して,この状態への移行をワンクリックで可能とした(図1 (d))。また,ワンクリックでステレオキャプチャーできるマクロも作成した(図1 (e),(f))。
図1 ステレオ視で手術を行うための2×2レイアウト
頻用するボタンを編集したパレット((a)),3D-MRAを作成するマクロ((b)),頭部血管および頸部血管の3D-CTAのためのパレット((c))などを画面の任意の場所に表示できる。
ステレオキャプチャーのマクロは,左5°回転,キャプチャー,右10°回転,キャプチャー,さらに左5°回転して画面をもとに戻す,というもので,作成したマクロのうちでは最も短い((e))。3D-CTAのルチン画像は14画像もマクロで作成できるようにしたが,そのマクロはかなり長い((f))。3D-CTAのルチン画像は,従来作成していた14画像(ステレオ画像7組)をマクロで作成できるようにしたが,そのマクロは,小さな黒丸のついたところ(○)で中断して,各種の操作を加えながら進行する((f))。マクロ化のメリットは,「ワンクリックでの全自動化すること」というよりも,マクロに並んだボタンの数だけ「そのボタンを思い浮かべ,画面で探し,クリックする」という単純作業の省略にある。
ステレオ視で操作できることと,ワンクリックでステレオ画像をキャプチャーできる機能は長らく望んできたものだったが,新しいZIOSTATIONではパレット&マクロによりあっさり実現できた。ワークステーションが持つ要素機能をユーザが自由に編集できることで,個別の要望の多くを,メーカーが解決してくれるのを待たずに,自力で解決できる。パレット&マクロ機能は,今後のワークステーションに不可欠な機能であると高く評価している。
(2009年12月号)