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クラウドとモバイル時代に解き放たれる3Dの無限の可能性

【月刊インナービジョンより転載】

■マクロ機能で心臓CTをより快適に
─Slab MIPプロトコル

野崎徳洲会病院心臓センター循環器科 奥津 匡暁

●zioTerm2009におけるマクロ機能

心臓CTの評価方法はさまざまであり,いまだ確立されたものはないのが現状である。一般的に国内ではcurved MPRが用いられることが多いが,我々は主にSlab MIP法を用いている。Slab MIP法では3D画像を細かく動かすために,ソフトにより使い勝手に非常に大きな差が生じる。Slab MIPを行う上で重要な点は,
(1)長軸断面と短軸断面が同時に2画面で表示される。
(2)MIP画像を自由自在に動かすことができる。
(3)CT値のカラーマップが表示できる。
(4)一連の操作が主にマウスで行うことができる。
と考えている。
zioTerm2009(ザイオソフト社製)にはこれらを含めた心臓CT専用のマクロが組み込まれており,作業が簡略化され非常に便利である。まず,データを「Slab MIPで開く」と左右画面が展開され,「直交面観察」ボタンで両画面の中心点でリンクして90°異なった2画面で表示される。右画面は長軸断面用,左画面は短軸断面用としているため,右画面は5mm MIP,左画面は0mm MIPとし,左画面は短軸断面の評価をしやすいようにやや拡大画像をデフォルトとしている。これが我々が普段使用している設定であるが,ここまでの一連の処理がわずか2回のクリックで行うことができる。また,「カラーマップ」ボタンはカラーマップを使うことの多い短軸断面用左画面のみにカラーマップを表示する。そのほか画像を動かす操作,画像サイズの変更,ウインドウレベルおよび幅の変更がすべてshiftキーとマウスのクリックのみで操作できるため,画面内のボタンやダイヤルを使用する必要がなく,素早い操作と微調整が容易である。

●ZIOSTATIONでSlab MIPを使用するには

最新のZIOSTATION(ザイオソフト社製)にはSlab MIPビューワプロトコルが標準となっており,このプロトコルからデータを開けば前項と同様にSlab MIP用ビューワが展開される。また既存バージョンであっても,ビューワプロトコル上でパレットに必要なツールを登録しマクロ化させておけば(図1),同様にワンクリックでSlab MIP用のビューワが展開可能である(図2)。

図1 Slab MIPビューワのマクロ 必要なツールをパレットに登録してマクロ化しておく。
図1 Slab MIPビューワのマクロ
必要なツールをパレットに登録してマクロ化しておく。

図2 マクロ処理後のSlab MIPビューワ画面 「レイアウト切り替え」「MPR表示」「MIP厚設定」「MIP表示」まで,一連の処理がワンクリックで進んでSlab MIP用の観察画面となる。この状態で長軸面を観察していく。短軸面を観察したい場合は「MPR参照線」ボタンをクリックすれば,長軸面と画像をリンクさせながら短軸面を観察することができる。
図2 マクロ処理後のSlab MIPビューワ画面
「レイアウト切り替え」「MPR表示」「MIP厚設定」「MIP表示」まで,一連の処理がワンクリックで進んでSlab MIP用の観察画面となる。この状態で長軸面を観察していく。短軸面を観察したい場合は「MPR参照線」ボタンをクリックすれば,長軸面と画像をリンクさせながら短軸面を観察することができる。

●マクロ化の有用性

CT画像解析ソフトは心臓のみならずその他の臓器にも対応しており,観察する臓器ごとにプロトコルが異なる。そのためにさまざまなプロトコルが構成されているが,いまだSlab MIP用プロトコルを備えたソフトは存在しなかった。ZIOSTATIONシリーズはこれをマクロ化することで,Slab MIPユーザーにとって非常に使いやすい環境を提供してくれる。マクロ化は作業時間の大幅な短縮につながることは言うまでもなく,今後心臓CTの普及に伴い間違いなく需要は拡大すると考えられ,重要なオプション機能となるであろう。

(2009年11月号)

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