ホーム ザイオソフトNew Horizon of 4D Imaging"断らない救急"を掲げ先進の医療を展開する新病院を3D画像処理ネットワークが支援 ziostation2、VersaWebで3Dデータの院内配信システムを運用
“断らない救急”を掲げ先進の医療を展開する新病院を3D画像処理ネットワークが支援
ziostation2、VersaWebで3Dデータの院内配信システムを運用
石心会川崎幸病院
社会医療法人財団石心会川崎幸病院は、2012年6月、JR川崎駅西口から徒歩8分に移転して新病院での診療をスタートした。同院では、1998年に外来機能を分離して川崎幸クリニックを開設しており、新病院は救急と入院機能に特化した施設となっている。24時間365日で断らない救急を実践してきた同院は、2012年4月に川崎市の「重症患者救急対応病院」に指定されて326床に増床し、9月に発足した“救急・総合診療部”を中心に総合的に対応する体制を整えた。また、川崎大動脈センター、脳血管センター、心臓病センター、消化器病センターなど高度先進医療センターを設置し、高度医療機器による先進医療を提供している。
同院では、ziostation2のネットワーク型による3D画像処理システムを導入し、クリニックを含めたネットワークでの運用を行っている。新病院での放射線診療の現況と3D画像の運用について連続レポートする。
ziostation2のVGRクライアントでCTコロノグラフィを読影 |
画像診断室の4面構成の端末で読影を行う放射線診断科の信澤宏部長 |
[救急と高度医療に対応する体制を構築して放射線診療を提供]
新病院では、CT2台(東芝・Aquilion ONE、GE・BrightSpeed)、MRI2台(フィリップス・Ingenia1.5T、GE・SIGNA1.5T)、血管撮影装置3台(全身用シーメンス・Artis zee、循環器用フィリップス・Allura Xper FD10、東芝・INFX-8000V)、血管内治療から開胸手術まで対応可能なハイブリッドOR(フィリップス)など、最新の設備を整えた。また、新たに放射線治療センターを設け、IMRT、IGRTに対応した放射線治療をスタートした。
石心会グループは川崎地区に、同院のほか、川崎幸クリニック、さいわい鹿島田クリニックなどを展開しているが、新病院のスタートと同時に、各施設をリンクしたPACSを構築し、それぞれの施設でのCT、MRIなどの検査を新病院で集中して読影する体制を構築した。放射線診断科の信澤宏部長は、同院での放射線診療の体制を次のように説明する。
「ネットワークで結ぶことで、川崎地区の画像検査を当院の画像診断室で集中的に読影する体制を構築しました。2013年1月には、診断科3名、IVR科4名の体制になります。放射線診断医を1か所に集中配備することで診断・IVR業務を円滑に行うと同時に、それぞれの専門分野を生かしてより精度の高い診療を行うことが目的です。電子カルテとPACS、またziostation2の3Dネットワークによってデータを共有して、迅速で質の高いレポートが提供できます」
放射線科の袴田文義科長は、救急、高度医療センターの診療を支える同部門の役割について、「当院の特徴である救急と高度な治療に対応できることを優先して、最新の診断、治療が行える機器をそろえています。血管撮影装置については、脳神経外科、循環器内科など診療科の用途に合わせた機器を導入しました。放射線科としても24時間365日の救急に対応すると同時に、“検査を断らない”ことをモットーに予約外の緊急検査にもすべて対応しています」と説明する。
◆川崎幸病院を中心とした3D画像処理ネットワーク構成図
救急部に設置した東芝320列CTを心臓撮影に活用 |
CT室のziostation2(中央) |
[ziostation2による3D画像処理ネットワークで診断を支援]
同院では、ziostation2のネットワーク型(Type 1000)による3D画像処理ネットワークを構築し、新病院のスタートと同時に運用を開始した。画像処理サーバー(VGS)2台を中心に、ziostation2と同等の機能を提供するVGRクライアントを、新病院に13台(CT室3台、MRI室2台、3つの血管撮影室に1台ずつ、Hybrid手術室1台、医局2台、画像診断室2台)、川崎幸クリニックに1台を設置している。放射線診断科とIVR科では、診断業務は4面構成のPACS Viewerで行っているが、必要に応じてziostation2の端末でシンスライスデータから再構成して読影している。信澤部長は、「MPRの確認やCTコロノグラフィの読影などをziostation2で行っています。処理が早く直感的で使いやすいですね」と評価する。放射線IVR科ではステントグラフト内挿術の際の大動脈計測などをziostation2で行っている(次号で紹介の予定)。
ストレージ用として3TBのデータサーバー(ZIOBASE)を設置し、CTの全検査の1mmスライスのデータを転送してシンスライスサーバーとして利用している。同院では、独自開発の電子カルテシステムとメーカー製PACSを導入して、フィルムレスによる運用を行っているが、3D画像処理については、院内の電子カルテ端末でWebブラウザを利用したVersaWebクライアントが利用できる。これにより、各診療科でZIOBASEからデータを取り込み、直接3D画像やMPRなどの作成、閲覧が可能な環境になっている。
袴田科長は、「外科、脳神経外科からは術前や術中に3D画像を参照したいという要望があり、どこからでもボリュームデータをインタラクティブに作成や参照ができるようなシステムを構築し、そのような依頼がある診療科には、いつでも操作支援やシンスライスデータを提供できるように対応しています」と3Dネットワークの運用を説明する。
■症例1 頭蓋底とクリップに挟まれたPcom動脈瘤の症例
オリジナルAxial画像ではクリップのアーチファクトと頭蓋底により動脈瘤の観察が困難であったが、サブトラクション機能により瘤の形状や位置を正確に把握できた。
■症例2 症例1のCT Volume Perfusionによる術後のスパズムチェック
スパズムによる梗塞は認められなかった。
■症例3 左室(LV)を半透明にしてAngio Graphic View(AGV)様の3DVRを作成
本症例はLCXに有為狭窄を認めRCAよりコラテラル(紫色)が観察できるが、本表示ではVRの特徴である解剖学的部位の把握や奥行きの情報を失わずに、AGVのように心臓カテーテル検査の角度ですべての血管を観察できる。
■症例4 大腸内視鏡にて全周性璧肥厚を認め、カメラ通過困難なためCTCを行ったS状結腸がん症例
3D側面像では浸潤傾向などの詳細な検討を行うことができ、本症例ではVGPやVEを用いることで口側に併発した多発ポリープを指摘することができた。
[320列CTとziostation2で救急での心臓撮影に対応]
放射線科のスタッフは、診療放射線技師が20名、救急には当直2名、待機1名で、CT、MRI、血管撮影装置などの時間外撮影に対応する。同院では、320列CTを救急対応用として導入し、心臓撮影まで視野に入れた体制を整えた。CTを担当する石田和史診療放射線技師は、320列CTとziostation2の導入について「時間外では、常に心臓撮影や3D画像処理に精通した技師が担当するわけではないので、基本的な撮影や3D画像処理が自動でできることが条件になりました。320列CTでは、面検出器によってワンビートで心臓全体の撮影が行え、ziostation2ではCT冠動脈解析2によって冠動脈の自動解析が可能です。誰が検査を行っても、救急で必要とされる情報が一定の品質で提供できることを優先した環境を構築しました」と、そのねらいを語っている。
[頭部・体幹部の形態画像や機能解析評価を行う]
同院では頭部や大動脈などの血管検査が多く、症例によっては3D画像処理を行っても目的の部位が隠れて見えないケースも多い。そのため、形態画像による解析だけでなく、血流解析などの機能解析にもziostation2を活用している。石田技師は、「ziostation2のサブトラクション機能は精度が高いので血管3D画像の作成には非常に役に立ちます。また、“CTボリューム血流解析”は、頭部だけでなく腹部での適用も可能で肝臓や膵臓の血流解析を行っています。ziostation2では、いろいろなアルゴリズムに瞬時に切り替えることができるので、血流評価の多角的な検討が可能です。頭部の救急では、最初から4Dで撮影し、パフュージョンデータも提供しています。形態+機能の情報を提供できるメリットは大きく、脳神経外科医からも評価されています」と言う。
ziostation2は、豊富なアプリケーションと安定性、使いやすさで同院での救急医療をサポートする。
(2012年9月7日取材)
社会医療法人財団石心会 川崎幸病院
神奈川県川崎市幸区大宮町31-27
TEL 044-544-4611
Part 2に続く→
(インナービジョン2012年10月号掲載)
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