High Volume Cardiovascular Imaging Center ―ziostation2が心臓MRI検査国内最多の画像診断センターを支える

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High Volume Cardiovascular Imaging Center
—ziostation2が心臓MRI検査国内最多の画像診断センターを支える

心臓画像クリニック飯田橋 小山 望*/岸田 正史/吉田 諭史/黄田 理恵子/中島 泉/寺島 正浩**
*診療部長 兼 技師長 **院長

心臓画像クリニック飯田橋(以下CVIC)は、2009年11月の開設以来2012年5月17日現在で、冠動脈CT検査4409件(保険診療)、心臓MRI検査3386件(保険診療)、冠動脈MRA検査=心臓ドック1254件(自由診療)の合計9049件の検査数を誇る心臓(循環器)画像診断クリニックである。外来の90%以上は他医療機関からの紹介患者であり、遠方からの来院も珍しくない。“依頼医からの信頼、患者様からの期待を裏切らない診療とは?”を、スタッフ一同が常に考えてきた結果である。特に心臓MRI検査4640件の経験は、現在月間230件に上る日常診療に大いに役立っている。国内のみならず欧米を含めても有数の検査数を誇るCVICでの心臓画像診断の取り組みと、CVICのフラッグシップである心臓MRI検査およびziostation2の心臓MRIアプリケーションについて紹介する。

心臓画像診断は、その技術的な難しさ、画像処理の煩雑さからハイボリュームの検査を行うことができないと考えられている。しかしながら、心臓画像診断に特化することで冠動脈CT検査約15件/日、心臓MRI検査約10件/日が可能となることがCVICによって実証された。このようなハイボリュームの検査数とタイムリーな診断を支えているのが、CVICで採用しているザイオソフト社のziostation2である。CT・MRIの操作室および診察室にフル機能クライアント端末(VGR)を計4台設置し、検査終了後速やかに画像処理、画像解析ができる体制づくりをめざしている。

s Using both CT and MRI

心臓検査の場合、“CTとMRIはどちらの有用性が高いのでしょうか?”というのが検査予約の際によく聞かれる質問である。「Using both CT and MRI (CT、MRIの両方を診断に使用する)」。これがCVICにおいて2年半、心臓画像診断を行ってきた結論である。MRIによる冠動脈MRAは石灰化を評価することができない。CTでは、石灰化を定量評価することが可能である。これだけとっても、CTとMRIは補完しあう関係にあるといえる。優秀なCT装置を有している、優秀なMRI装置を有している、どちらか一方だけではだめだということだ。

例えば、40歳代前半の女性で下顎の鈍痛を訴える患者がいたとする。歯科を受診してみたが、特に問題はない。冠動脈疾患からの放散痛を疑い詳しく診察してみると、循環器系の疾患により突然死した家族が多いことが確認できた。しかしながら、閉経前であること、本人のリスクファクターはそれほど高くないこと、このような条件を考慮するとCVICへ検査依頼する先生方は以下のような診断方法を取ることが多い。

冠動脈スクリーニング(非造影MRA+CineMRI〔LV function〕+T2W )→狭窄疑う所見あり→冠動脈CT(冠動脈CTA、石灰化スコアリング)→有意=ボーダーラインの狭窄ありの場合は虚血評価へ(高度狭窄の場合は積極的な治療へ)→虚血評価(負荷パフュージョンMRI、遅延造影MRI)を実施し治療戦略を構築していく。どの冠動脈狭窄に対して積極的な治療=PCI(Percutaneous Coronary Intervention 経皮的冠動脈形成術)を行うのか、CT、MRIを上手にキャッチボールさせることで冠動脈狭窄の有無だけでなく、その責任病変が支配する心筋の状態を考慮することでより効果的な治療戦略を立てられるようになる。

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s 技師の検査スピード、検査精度向上のために

CVICにおける心臓MRI検査は、冠動脈MRAによる狭窄病変の有無の判定、Cine MRIによる左室機能評価(LV function)、T2強調画像による浮腫の有無の判定、負荷/安静パフュージョンMRI(Perfusion MRI)による虚血評価、遅延造影MRI(LGE=late gadolinium enhancement)による心筋壊死(scar)の判定を行っている。これらはMRI Full studyと呼ばれ、必要に応じてこのルーチンセットから冠動脈MRA撮像を省略したり、パフュージョンMRI撮像を省略したりしている。ARVC(右室原性不整脈)や心臓内腫瘍の判定などの場合には、T1強調画像の追加なども実施している。検査は、患者様が入室してから退出まで60分以内に収めることをめざしており、特に大きな問題がなければスキャン自体は40〜50分程度で終了できている。これを実現するためには、とても厳しいトレーニングが必要である。患者入室から検査説明をしながらのポジショニング、Cine MRI撮像(SA、2ch、3ch、4ch)を13分以内にできなければ、臨床における心臓MRI検査を担当できないというCVICルールがある。

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s ziostation2が循環器画像診断、治療までのスピードを加速する
図1 CineMRIによる左室機能解析(LV function analysis)
図1 CineMRIによる左室機能解析(LV function analysis)
左室機能解析ソフトにはザイオソフト社の有すPhyZiodynamics技術が盛り込まれ、自動抽出精度が非常に高い。


図2 冠動脈MRA(Whole Heart Coronary MRA)の冠動脈詳細解析ソフト
図2 冠動脈MRA(Whole Heart Coronary MRA)の冠動脈詳細解析ソフト
冠動脈解析はCTA、MRAともに同じ手技で解析できる。そのため、CT、MRIというモダリティに依存しない冠動脈解析のエキスパートが育成しやすい。

CVICでは、心臓MRI検査中に並行して画像処理が行われる。検査開始10分後にはCine MRI SA像(短軸像)の撮影が完了し、MRI装置からziostation2へMRI画像が自動転送される。この画像を元に、左室機能評価(LV function)の解析が行われる(図1)。心筋外膜、心筋内膜の自動トレースを行い、心筋起部の大動脈弁を除くためにトレースの手直し、左室中央部では肉柱を含まないように心筋内膜をトレースするように手直しを行う。自動トレースは約2分で終了し、その後正確な計算のために前述のような手直しを行うが、連続した10症例に対する解析処理時間は平均11分28秒であった。このように、外膜・内膜のオートトレース機能や自動補間機能によりトータルの画像解析処理時間は大幅に短縮される。

また、検査開始後20分後には、冠動脈MRAの元画像(横断像)が自動転送されてくる。検査終了後すぐに結果説明を行うことを目的としているため、冠動脈のVR(Volume Rendering =3次元画像処理)画像処理も検査に並行して実施する。VR処理時間を計測してみると平均6分40秒であった。検査終了後には、冠動脈の狭窄判定のために詳細解析を行う。RCA(右冠動脈)、LAD(左前下行枝)、LCX(左回旋枝)の主要3血管に対して行われるが、これも同様に画像解析時間を計測すると平均5分35秒であった。ziostation2のMR冠動脈解析では、CPR上で直観的な操作で修正でき、広範囲の修正も末梢までの血管追加作業もわずか数分で行うことができる(図2)。

このように“First attach is last attach(最初の発作が最後の発作)”といわれる 心臓疾患の画像診断にはスピードが要求されるが、そのスピードに対応することが ziostation2を採用する理由である(図3)。

図3 ziostation2による心臓解析の様子
図3 ziostation2による心臓解析の様子
冠動脈解析、3D画像解析ともに同じ解析を方法を使っているのでCTA、MRAともに応用が効く。
ハイボリュームの検査数を実施できる理由はこの解析スピードにあると言っても過言ではない。(写真は筆者)

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s 症例提示:心臓ドックから翌日PCIへ
図4 心臓ドックで発見された無症候性心筋虚血(SMI)
図4 心臓ドックで発見された無症候性心筋虚血(SMI)
上段:冠動脈MRA 下段:冠動脈CTA CTとMRIは相互を補完しあう関係にある。MRAで検出された病変を対象に冠動脈CTを行った例である。

CVICでは、主に日曜日と祝日に心臓ドックを実施しているが、一過性に心筋の虚血がありながら、自覚症状がない病態である無症候性心筋虚血(SMI)を有する方を発見することをたびたび経験する。ここで、代表的な症例を提示してみたい。症例は55歳の男性である。某日午前11時、心臓ドック(非造影冠動脈MRA検査)を実施し、検査に並行してVR処理を実施するとLAD #6、#7に狭窄病変を疑う所見を認めた。心臓MRI検査終了後、心エコー検査を実施している間に心臓VR処理、冠動脈詳細解析、左室機能評価のすべてを終了させた。CVICでは冠動脈MRAを撮影する場合、βブロッカーの投与を行っていないため、高心拍ではSystole(収縮期)撮像をすることが多く、今回の所見もモーションアーチファクトであることも考えられたが“万が一の高度狭窄”が否定できない状況であった。受診者を診察に迎え入れ、今回の心臓ドック(心臓MRI検査)の結果を詳しく説明すると奥様が「そういえば以前、真夜中に急に起きて“胸が痛い”なんて言ったことがあったわよね?」という言葉が聞かれた。そこですぐに、冠動脈CT検査(自由診療)をお勧めした。すでにEF(Ejection Fraction=左室駆出率)は58%と十分に保たれていることはわかっていたため、高心拍に対してβブロッカーの投与を行い、冠動脈CT検査に備えた。約1時間後の午後2時に冠動脈CT検査を施行した。検査の結果、LAD#6、#7 に石灰化を伴う混在化プラークを認め、その狭窄率は#6=75%、#7=90%、であると考えられた。また、#1=75%、#5=50%、#9=75%、#11=75%、HL=75%の狭窄も認められ3枝病変であることが判明した(図4)。ご本人は普通に生活できているのに生命を脅かされている事実を受け入れられず困惑した様子であった。冠動脈詳細解析を実施し紹介状とともにMRIおよび、CT検査所見を同封し、同日16時に都内国立大学病院の救命センターに搬送した。翌日午前中にPCIが施行され一命を取り留めた。

s まとめ

CVICは医療機関からの検査依頼を中心とした心臓画像診断センターであり、外来には自ら歩いて来院される患者様がほとんどである。しかしながら、生命を脅かすまさかの高度狭窄病変を認めることが少なくない。1か月に2、3例は高度狭窄を有する患者様を救急車等で救命センターに搬送することを経験している。このようなタイムリーで、スピーディな検査を実施するためにはCT、MRIといった医療機器のみでなく、画像解析、画像処理するワークステーションが非常に重要なツールとなる。ziostation2は間違いなく心臓画像クリニック飯田橋の高度心臓画像診断に貢献してくれている。ziostation2のさらなる進歩を期待したい。

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(インナービジョン2012年7月号掲載)

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