ホーム AZE 次世代の画像解析ソフトウェアAZE VirtualPlace 雷神 Anatomia フルオート冠動脈CT解析ソフトウェアの使用経験
【月刊インナービジョンより転載】
■AZE VirtualPlace 雷神 Anatomia
フルオート冠動脈CT解析ソフトウェアの使用経験
本田 恵一/本堀 真希/川田 賢治/片平 和博
国家公務員共済組合連合会熊本中央病院放射線科
●はじめに
近年,64列MDCTの登場を契機として臨床現場に心臓CT検査が定着し,従来のゴールドスタンダードであった心臓カテーテル検査から取って代わりつつある。そのことには,ワークステーションの普及と有用なソフトウェアの装備も,少なからず関係していると思われる (図1)。しかし,ワークステーションを用いた冠動脈CT解析は,症例数の増加とともに現場の多大なマンパワーを要するようになってきた。また当院では,基本的に検査終了後,解析・読影をして診察という方式をとっており,解析時間の短縮は,患者サービスの向上においても重要なファクターの1つである。
本稿では,当院に導入されているワークステーション「AZE VirtualPlace 雷神 Anatomia」(AZE社製)に搭載されているフルオート冠動脈CT解析ソフトウェアの使用経験と有用性を紹介する。
図1 冠動脈CT解析画像
●自動冠動脈描出機能
CTで撮影されたデータが,AZE VirtualPlace 雷神 Anatomiaに転送されると,自動的にvolume rendering像の作成と解析が実行される。実際に,当院のソフトウェア導入直後の心臓CTのデータ50例にて検証すると,左右冠動脈本幹に関して80%を超える高い描出率が得られた(図2)。追加抽出に関しても,マウスで元画像の血管を選択するだけで追跡,描出が可能である。この時点で,volume rendering像もほぼ修正を加えることなく,肺動静脈,心耳が取り除かれた像が完成している。
図2 自動冠動脈描出機能の検証
CT装置の高性能化と相まって,高い描出率が得られている。
●多彩な解析表示
自動描出された冠動脈は,解析画面にてCPR,volume rendering,stretched viewが連動して表示される(図3)。また,PWMIP(partial width MIP)やAngio Graphic MIPへの表示変換も,ワンクリックで行われる。CPRの多方向表示,stretched viewの360°回転,および直交断面表示は,プリセット設定にて保存可能であり,ワークフローの向上に寄与している(図4,5)。
図3 AZE VirtualPlace 冠動脈解析画面
図4 保存プリセット設定画面
図5 stretched view多方向表示
プリセット機能により,ワークフローの向上が図られている。
●ネットワーク型ワークステーションとしての応用
近年,ワークステーションはネットワーク型が主流になりつつある。当院では,われわれ診療放射線技師が解析終了後に状態保存を行い,放射線科医が読影端末からこれを展開し,描出された冠動脈をsliding thin slab MIP法などを用いながら,結果の検証と所見作成を行う。このことは,データの一元管理,クライアント端末に負荷をかけないネットワーク型システムの特長により実現可能となる。
また,AZE VirtualPlace 雷神 Anatomiaは,チェックシート形式の冠動脈レポート作成機能も搭載しており,診療放射線技師にとって,読影医,依頼医との情報の共有,および,医療スタッフとして専門性を生かした画像診断における読影の補助を行うという任務に貢献すると思われる(図6)。
図6 冠動脈レポート画面
チェックシート形式になっており,DICOM画像として保存,CSV出力も可能であることから,情報の共有に有効なツールとなっている。
●まとめ
64列以上のスペックを持つMDCTが普及しつつある現在,胸痛疾患に対する画像診断において,心臓CTは緊急検査のfirst choiceとなりうる可能性がある。その中で,AZE VirtualPlace 雷神 Anatomiaのフルオート冠動脈CT解析ソフトウェアは有用なツールであり,そのポテンシャルを最大限に活用して臨床科や患者に有益な情報を提供できるよう,質の高い医療を実践していきたい。
【使用CT装置】 Brilliance iCT(フィリップス社製)
【使用ワークステーション】 AZE VirtualPlace 雷神 Anatomia(AZE社製)
(2011年11月号)