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次世代の画像解析ソフトウェア

【月刊インナービジョンより転載】

■MR装置におけるAZE VirtualPlace 風神Plusの活用法

丹羽 政美/高橋 尚宏/西田 知弘/小森 竜太
JA岐阜厚生連 揖斐厚生病院放射線科MRI室

●背景

当院では,2009年3月にMR装置を「EXCELART Vantage Powered by Atlas」(東芝社製,1.5T)に更新したことに伴い,ネットワーク型ワークステーション「AZE VirtualPlace 風神Plus」(AZE社製)を導入し,MR,CT装置(64列)にワークステーション本体を接続した。同ワークステーションは,本体とクライアント端末PC 3台による同時画像処理が可能で,MR・CT操作室に本体とクライアント端末PC 2台を,症例検討室にクライアント端末PC 1台を設置した。 本稿では,当院でのMR装置におけるAZE VirtualPlace 風神Plusの活用法を紹介する。

●使用状況

AZE VirtualPlace 風神Plusに搭載されたソフトは標準ソフトを含め図1のごとくであるが,3〜12月までの10か月間でMR検査件数が約3000件であるのに対して,ワークステーションでの画像処理件数が約900件であり,MR検査数の30%に用いている。特に頻繁に使用するのは,3D,マルチボリューム,フュージョン,フロー解析などであるが,解析以外の比較読影などのビューワとしての使用やCD・DVD保存なども考慮すると,使用頻度はさらに増える。

図1 導入ソフト一覧
図1 導入ソフト一覧

●ワークステーション活用例

1.3D(MIP・VR)処理
特によく使用する部位としては,頭部MRA,腹部MRA,下肢MRAの非造影処理や,乳房ダイナミックおよびMRCP・肝EOB造影などの3D処理である。頭部MRAは,MR本体でも作成可能であるが,同ワークステーションの方が下垂体や任意方向でのカット処理が容易であるためよく用いる(図2)。もちろん,動脈瘤などの異常所見が観察された場合は,VR像も作成している。乳房のダイナミック撮像でも3D処理は必須で,MIP像とVR像は必ず作成している(図3)。

図2 MIP像における下垂体処理
図2 MIP像における下垂体処理

図3 乳房3D画像
図3 乳房3D画像

2.フュージョン処理
使用法は2種類あり,全下肢など寝台位置が異なる画像をつなぎ合わせる使用法と,DWIとT2WIなどのさまざまな画像を合成させる使用法がある。当院のMR装置では,広範囲撮像用のコイルの使用が可能であり,上下腹部や下肢MRAの撮像において前者を,前立腺や肝臓などには後者をよく使用する。図4は,3 stationによる全下肢MRA(動脈と静脈を非造影で分離)のフュージョンで,図5は上腹部と下腹部のフュージョンであるが,装置の寝台位置情報をそのまま利用することも可能であり,そのため手直しすることなく簡便にMIP像を作成可能である。さらに,DWIとT2WIをフュージョンすることで,より視覚的に有用な画像が作成できる(図6)。図7は,肝臓と前立腺におけるDWIとT2WIのフュージョン画像である。

図4 全下肢MRAのフュージョン(3 station)
図4 全下肢MRAのフュージョン(3 station)

図5 上下腹部のフュージョン(VR+VR)
図5 上下腹部のフュージョン(VR+VR)

図6 DWIとT2WIのフュージョン
図6 DWIとT2WIのフュージョン

図7 DWIとT2のフュージョン
図7 DWIとT2のフュージョン

3.MR冠動脈解析
MR冠動脈の画像処理は,前述したように操作室にワークステーション本体とクライアント端末PC 2台を同時に動かして,それぞれ冠動脈の細血管解析,3D画像,心機能解析を同時進行している(図8)。それにより,おのおのが相談しながら処理が可能なこと,および,解析ソフトのバージョンアップで,心機能解析がより容易になったことによりストレスなく画像処理が行えている。図9は,冠動脈の3D像であるが,左前下行枝6番の狭窄(↓)が明瞭に描出されている症例である。

図8 MR冠動脈解析風景
図8 MR冠動脈解析風景

図9 3D冠動脈画像(66歳,男性)
図9 3D冠動脈画像(66歳,男性)

●フロー解析

今回導入した東芝社製MR装置は,腎動脈などの腹部領域における非造影MRAも可能であるが,各部位における流速などを考慮するためフロー解析を行っている。これらの結果を解析し,例えば,腎動脈撮像におけるTI値の設定に結び付けることなどができればと考えている(図10)。

図10 フロー解析と非造影腎動脈画像
図10 フロー解析と非造影腎動脈画像

●おわりに

今回,当院におけるAZE VirtualPlace風神Plusの活用法を紹介した。2009年3月に導入され約1年の短い使用経験であり,まだまだ学ばなくてならない点は多いと思うが,ネットワーク型を導入したことで,複数による同時解析が可能となり多くの利点を得ている。また,より現場のニーズに合ったソフトの改良やアプリケーション部スタッフによるサポート体制など,同社製ワークステーションを導入したことに大変満足している。
画像処理ワークステーションは臨床的かつ診断的に有用で,今後よりいっそう必要不可欠になると思われ,いま以上に活用していきたい。

【使用MR装置】 EXCELART Vantage Powered by Atlas(東芝社製)
【使用ワークステーション】 AZE VirtualPlace 風神Plus(AZE社製)

(2010年3月号)

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