ホーム AZE 次世代の画像解析ソフトウェアAZE VirtualPlace Raijin Plus v3.1003における冠動脈解析ソフトの検討
【月刊インナービジョンより転載】
■AZE VirtualPlace Raijin Plus v3.1003における冠動脈解析ソフトの検討
川原 大典
NTT東日本札幌病院放射線科
●はじめに
当院では,2009年4月に320列Area Detector CT(Aquilion ONE:東芝社製)を導入し,心臓領域の検査を同年12月末までに約920件行った。件数も1日7〜11件と順調に数をこなせるようになってきている。しかし,画像解析も当日中に処理しなければいけないので,撮影する件数が増えることで解析する診療放射線技師の負担も増加してきている。処理を行うに当たって,自動抽出の精度が良ければ解析の負担も減る。
そこで今回われわれは,まず,冠動脈解析の“肝”である自動抽出機能について検討を行った。対象として,当院に設置されているネットワーク型ワークステーション3機種のうちの1つ,「AZE VirtualPlace Raijin Plus v3.1003」(AZE社製:以下,AZE VirtualPlace Raijin Plus)を使用し,30例に対して“血管自動抽出機能”を一度だけ使用した結果をLAD,LCX,RCA間で比較し,その抽出本数について調査したので報告する。
次に,血管の蛇行が強く,自動抽出機能で中心をうまくトレースできない症例を,同様にAZE VirtualPlace Raijin Plusで解析した使用経験について報告する。
●方法
1.血管自動抽出機能
CTで心臓を撮影し,最適位相を検索した後,AZE VirtualPlace Raijin Plusに転送。そこで,同ワークステーションで最初の血管自動抽出が行われるところまで操作する。そこからは手を加えず,血管自動抽出機能で抽出された血管の本数と実際の血管の本数を比較し,同ワークステーションが抽出できた血管の本数と実際の血管の本数の割合を算出した。カウントする血管については,LAD,LCX,RCA本幹から2次分枝までとした(図1)。
図1 抽出できなかった血管
→は抽出されなかった血管である。見やすくするためRCAのトレースは消している。
2.蛇行血管への使用
蛇行が強い症例のLADを使用し,AZE VirtualPlace Raijin PlusでストレートCPRを作成する。
●結果
1.抽出本数
今回の結果として図2のとおり,血管抽出率はそれぞれ,LAD 63%,LCX 66%,RCA 67%と高い結果が得られた。総合すると,およそ7割の血管を抽出することができたこととなる。
図2 各血管に対する抽出率
2.ストレートCPRの精度
蛇行血管のストレートCPRを作成した際,“中心線推定”機能と“中心移動適応範囲”(トレースの中心点を変更したときの修正の適応範囲)を変更しやすいということが非常に便利であった。血管を中心線推定機能である程度真っすぐにした後,中心移動適応範囲を変更することできれいに作成することができた。特に,AZE VirtualPlace Raijin Plusは,この適応範囲を“血管修正画面”上で変更できるので非常に作業が容易だった。また,中心線推定機能を使用すれば,今回のように蛇行の強い症例でなければ,ほとんど修正の必要のないストレートCPRが作成できた(図3)。
図3 蛇行血管のストレートCPR→ 今回使用した蛇行血管
●まとめ
今回のAZE VirtualPlace Raijin Plusにおける検討では,血管自動抽出機能の抽出本数についての検討と蛇行血管に対する使用経験しか報告できなかったが,自動抽出で検討するべきところはほかにも多々ある。今後,抽出後の血管の直線性や末梢のどこまで検出できるかなど検討できればと思う。
【使用CT装置】 Aquilion ONE(東芝社製)
【使用ワークステーション】 AZE VirtualPlace Raijin Plus v3.1003(AZE社製)
(2010年2月号)