2010年1月号
Cardiac Imaging最前線 −最新CTがもたらすイノベーション−
CT−エリアディテクターCT「Aquilion ONE」
東芝は,新しい世代のCT装置として,エリアディテクターCT「Aquilion ONE」を発売した。
Aquilion ONEの特筆すべき技術的特長は,0.5mm×320列(160mm)のエリアディテクターを搭載したことである。160mmという体軸方向へのカバレージを採用した理由は,脳や心臓,腎臓などの臓器全体を,1回のVolume Scanで撮影することをめざしたことにある。また,心臓CT検査では,ONE Beat以内での撮影が可能となり,画質や各種のリスク軽減など,検査のクオリティを向上させる上でさまざまな利点が生まれた。
本稿では,さらに機能が充実したAquilion ONEの技術的特長について紹介する。
■ Aquilion ONE:最新技術
ここでは,Aquilion ONEの臨床的有用性をさらに加速するための最新技術として「New Reconstruction Method」「Real Time Beat Control」「Plaque Viewing software」*を紹介する。
これらの技術によりさまざまな撮影モードはさらに使いやすくなり,また各種解析処理もより簡便に行えるようになる。
1.New Reconstruction Method
Aquilion ONEは,従来のシステムと比較して大幅に体軸方向のカバレージが拡張された。そのため従来の再構成法では,コーン角によるアーチファクトに対処することが困難であった。
これに対し東芝は,新たな画像再構成手法であるconeXactを開発し,320列撮影でもアーチファクトの少ない画像を再構成することを可能にした(図1 a)。そして今回,さらに画像化できる領域を拡張したVolumeXact+を新たに実装した。これによりconeXactでも対応しきれなかった画像再構成範囲の制限が劇的に低減された(図1 b)。
Aquilion ONEは,目的に応じた各種撮影方法を有しており,VolumeXact+を搭載することで,それらの適応の幅が広がることが期待される。 |
図1 再構成方法と画質の違い |
2.Real Time Beat Control
ONE Beat/ONE Rotationにおける心臓CT検査の大きな特長は,“被ばく線量の低減”,“心拍変動の影響の除外”,“不整脈への対応の容易化”など多くの点が挙げられる。
Aquilion ONE特有の全心臓のprospective撮影法をさらに安心して施行する機能として,Real Time Beat Control機能を搭載した。これは,撮影直前までの心拍をリアルタイムに取得・解析することで冠動脈CTAの撮影タイミングを適正化する機能である。整脈はもとより,心拍変動や不整脈を認識し安定した心拍の適切な心位相で曝射することが可能となり,prospectiveな心臓CT検査におけるリスクがさらに低減された。
3.Plaque Viewing software
Aquilion ONEには,解析用ソフトウエアとしてPlaque Viewing softwareを搭載している。本ソフトウエアでは,心臓と冠動脈の抽出から血管名のラベリング(冠動脈セグメントのナンバリング機能),さらには冠動脈内腔と外壁を自動で抽出する機能を有している。
特筆すべき点は,冠動脈や血管動脈壁の抽出能が飛躍的に向上したことと,これまで一般的に使用されているVR画像やMIP画像,CPR画像,Cross Cut画像に加え,CathView(図2)という新たな画像表示方法を追加していることである。CathViewは,血管造影装置で得られる画像のangulationと比較を可能とした画像表示法である。さらに,血管内腔のみならず,血管壁や周辺臓器の情報も同時に投影することができるというCPR画像の利点も持ち合わせている。 |
図2 Plaque Viewing softwareにおける解析画像 |
本稿では,Aquilion ONEならではの特長というべきVolume Scanによる心臓検査の特性を生かしたさまざまな機能を軸に最新技術を紹介した。これらの機能が臨床現場に患者様に寄与されれば幸いである。
*各機能はシステムのバージョンによって異なります。
「Aquilion ONE」「coneXact」「CathView」は東芝メディカルシステムズの登録商標です。
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【問い合わせ先】
CT事業部 TEL 0287-26-5034