ホーム inNavi Suite シーメンス・ジャパン Technical Note超音波自動ブレストボリュームスキャナ「Automated Breast Volume Scanner:ABVS」
2012年8月号
Women's Imagingにおける質の高い検査・診断を実現する最新技術
乳房超音波検査は,乳がん診療に必須の検査です。しかし,CTやMRIが診断にボリュームデータを使用しているのに対して,施行者の選択した画像だけが診断に用いられる超音波検査は,施行者依存性の高い検査だと言われており,課題となっています。
この乳房超音波検査の最大の課題の克服をめざしたのが,超音波自動ブレストボリュームスキャナ「ABVS」です(図1)。
図1 Automated Breast Volume Scanner:ABVS
●自動スキャンによるボリュームデータセット取得
スキャンボックスの内部には,15.4cmのワイドな視野を持つリニア電子スキャンプローブが装着されています(図2)。これが16.8cmの距離を約1分間かけて奥行き方向に平行移動し,連続的に約300枚の横断面画像を自動取得します。直接プローブを手で操作しなくてもよいので,決まった時間内に画一化された手順で,安定した品質のボリュームデータセットを取得できます。
図2 スキャンボックス
●水浸法を使わない,簡単・高画質
従来の自動スキャンの常識を覆し,水浸法を採用していません。スキャンボックス下に装着されたシルクスクリーンが上から軽く乳房を押さえつけ,音響結合剤(専用ローション)がスクリーンに浸透して理想的な音響ウインドウを形成します。このため多重反射やサイドローブによるアーチファクトが少なく,ハンドヘルド式超音波画像に遜色ない高画質が得られます。また,脱気水を一切用いないため,取り扱いとメンテナンスがきわめて簡単になりました。
●ワークステーションで読影・診断
取得されたボリュームデータセットを基にして,オンライン接続されたワークステーション上で,縦断面・横断面・冠状断面を同時に観察できます(図3)。さらに断面の移動や回転も容易であり,納得できるまで何度でもやり直しが可能です。また,ダブルチェックで診断精度を高めることも容易です。
図3 専用ワークステーションによる画像表示例