2010年8月号
Women's Imaging 2010最新技術
診断薬部門のシーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクス株式会社の技術紹介
DX−新しい腫瘍マーカー血清HER2タンパク測定検査の臨床的有用性
●HER2/neuタンパクの意義
HER2タンパクは分子量185kDaの糖タンパク質で,細胞膜を貫通する受容体機能を有しています。細胞が癌化するとHER2遺伝子が過剰に産生・発現し,悪性腫瘍としての性質が高まり,特に乳がん,胃がん,卵巣がん,唾液腺がんなどで過剰発現する症例があり,予後不良な悪性のタイプが多くあります。
●HER2タンパクの検出方法
現在,日常の診療で主に実施されているHER2検査は,乳腺の病理診断検査で,採取組織を用いた免疫組織化学染色(IHC法やFISH法)により,HER2発現や増幅の程度を診断する方法が保険診療として実施されています。
●新しい検査方法:血清HER2タンパク測定
血清HER2タンパクは,このタンパクの細胞外ドメイン(ECD)部位がsheddingにより血清中に遊離されます。このShedタンパクは,化学発光免疫測定(CLIA)法による定量測定検査であるシーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクスの全自動免疫測定システム「ADVIA Centaur XP/CP」により,他の癌マーカーやホルモンとともに17分間で測定可能です。
●血清HER2タンパク測定の意義
血清HER2タンパクは,まったく新しい癌のバイオマーカーであり,今後の癌治療の主流となりつつある患者ごとのオーダーメイド医療においても,客観的な臨床検査としてさまざまな応用の可能性があります。「悪性腫瘍特異物質 治療管理料」として毎月1回の保険請求が可能な保険診療検査であり,侵襲性が低く,頻回の検査が可能な血液検査です。その上,バイオプシーが実施困難な脳や骨への転移例や他臓器への転移症例においても,癌の病勢を把握可能な検査として,病理検査・画像検査と相互補完することで,癌の治療成績向上に寄与できると期待されています。 |
ADVIA Centaur XP |
ADVIA Centaur CP |
【問い合わせ先】
シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクス 株式会社 コールセンター TEL 0120-543-455