ホーム inNavi Suite シーメンス・ジャパン Technical Note 次世代型Dual Source CT「SOMATOM Definition Flash」心臓CTにおける最新技術
2010年1月号
Cardiac Imaging最前線 −最新CTがもたらすイノベーション−
本稿では,進化を遂げたDual Source CT「SOMATOM Definition Flash」の心臓CT最新技術について述べることとする。 ■SOMATOM Definition Flashの概要 Definition Flashの特長の1つに,全肺をわずか0.6秒で撮影可能な高速撮影技術があるが,その撮影機構として2対のSTRATON X線管球,および128スライス収集が可能な検出器が搭載されている。ガントリ回転速度もさらに向上し,1回転わずか0.28秒での高速回転が可能となり,時間分解能も83msから75msへと大幅に向上した。 ■Flash Spiral Definition Flashでは,異なる2つの軌道データを収集し統合する(高速二重ラセンスキャン)ことにより,従来の1つの軌道データでのデータ収集の壁を打ち破る最大ピッチ3.4を実現し,秒間460mmのかつてない撮影速度が可能となった。この撮影技術により,救急検査や小児検査における撮影では,安静呼吸下で,アーチファクトを最小限に抑制した画像が得ることができる(図1)。 |
図1 Flash Spiralの概念図とデータ収集スキームと臨床例 (画像ご提供:榊原記念病院様) |
■Flash Spiral Cardio 上記のFlash Spiralを心電図と連動させて撮影するモードが,“Flash Spiral Cardio”である。Flash Spiral Cardioはプロスペクティブに心電同期を行い,拡張期あるいは収縮期を瞬間でとらえて,1心拍中に250〜290msの超高速で心臓全体の投影データ収集を行うものである(図2)。原理的には,比較的低心拍で安定した心拍が対象となる。 |
図2 Flash Spiral Cardio Flash Spiral Cardioはプロスペクティブな撮影法であり,ピッチ3.4を使用し,毎秒460mmの速度で撮影を行う。 レトロスペクティブな,心電同期撮影法とは異なり低ピッチによる冗長なデータ収集を必要としないことから,低被ばくでの撮影を可能としている。 |
図3 Flash Spiral Cardioによる臨床例 HR55,Scan Time:0.29s,Pitch:3.4,Rotation:0.28s,100kV,0.74mSv (画像提供:榊原記念病院様) |
■Flash Sequence Cardio “Flash Sequence Cardio”は,心電図に合わせてコンベンショナルで撮影する方式であるが,本撮影方式においても時間分解能75msでの撮影が可能となっている。もちろん心電波形をリアルタイムにモニタリングしており,不整脈等が発生した場合即座に反応し,心拍数が再び安定するまでスキャンを回避する機能も有している。心拍の変動に対し,Padding(余裕時間)機能を自動調節するFlex Padding機能を有しているため,心拍の変動やある程度の高心拍でも対応可能である。また,Padding機能は収縮期から拡張期まで設定できるため,低線量の冠動脈イメージングと心機能評価も同時に可能である。 ■Dual Energy Imaging Definition Flashでは,さらなる精度向上と被ばく低減を行い,ルーチン検査でDual Energy Imagingを可能とすべく,Selective Photon Shield(SPS)を開発した。循環器領域におけるアプリケーションは,冠動脈形態情報と心筋灌流画像を得るHeart PBV(Perfused Blood Volume)による臨床応用が可能である。 Dual Source CTのテクノロジーを進化させたSOMATOM Definition Flashにより,心臓CTにおける可能性がまた一歩前進した。さらなる,被ばく低減および撮影スピードと画質の向上やDual Energy Imagingにおけるアプリケーションの開発を行っていくものである。 |