シーメンス・ジャパン株式会社
Technical Note

2009年8月号
究極のデジタルマンモグラフィに向けて−最新技術解説

DMG−「MAMMOMAT Inspiration」の特長

大塚 恭一
マーケティング本部SP事業部

シーメンスでは,直接変換型FPD搭載マンモグラフィ撮影装置「MAMMOMAT NovationDR」を発表してから5年の歳月をかけ,世界中でマンモグラフィ撮影に従事している診療放射線技師の意見をもとに最新技術を取り入れた「MAMMOMAT Inspiration」(図1)を開発した。使う側の立場から見た“簡単・スリムに”という観点だけでなく,検査を受ける被検者の立場から考えた“優しさの追求”ということを実現した装置である。

●撮影ワークフロー

従来,直接変換型FPDは,撮影終了後から次の撮影までの時間が,ディテクタの消去,リフレッシュの時間がかかり,スピードを求める検診では不向きと思われがちであった。しかし,MAMMOMAT InspirationのFPDは,この欠点を克服したハイスピードディテクタの開発,搭載により,次の撮影までを30秒以内で行えるようになった。このディテクタによって,1時間に最大15人の撮影が可能となった。また,FPDを使ってのステレオバイオプシーも可能となり,検診から精密検査まで優れた性能を発揮できる。

 

図1 MAMMOMAT Inspirationの外観
図1 MAMMOMAT Inspirationの外観

●被ばく線量低減

シーメンスが搭載してきたマンモグラフィ専用二重陽極X線管球(Mo/W)を,さらに優れたX線管球にバージョンアップし,薄い乳房でも厚い乳房でもW/Rhで撮影できるようになり,これまでMo/Moで撮影してきた乳房に対しても,最大50%の被ばくを低減できるようになった。従来どおりにMo/Mo,Mo/Rhの撮影も可能であるで,検診用撮影と精密検査用撮影とで使い分けをすることも可能である。
FPD搭載マンモグラフィ撮影装置であっても,セミオート撮影ができるため,左右の乳房で線質を変えることなく撮影が行えるのも大きな特長と言える。画質については,低線量であっても病変の微細な部分,微小石灰化の認識が容易,コントラストの病変(腫瘤)の認識が容易であるように,日本人の乳房に適した画像処理パラメータを日本で開発,搭載した装置である。

●将来の技術について

期待される今後のデジタルマンモグラフィについては,Digital Tomosynthesis機能が挙げられるが,本装置はこの機能を搭載した装置であることも大きな特長である。現在開発中のDigital Tomosynthesisにアップグレードでき,従来の撮影,ステレオバイオプシーに加えてDigital Tomosynthesis撮影が可能になるデジタルマンモグラフィ撮影装置である。



【問い合わせ先】 マーケティング本部SP事業部  TEL 03-5423-8410