シーメンス・ジャパン株式会社

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Technical Note

2009年7月号
特集1−ボーダレス時代のPACS & WS選び−PACS最新技術

PACS−“高い親和性による効果的ワークフローの実現”に向けたシーメンス社の取り組み

マルチスライスCT装置や新しい概念によるDual Source CT装置の登場,あるいは高磁場MRI装置の登場によって,PACSを取り巻く環境は急激に変化している。1検査あたりのデータ量の増大,1検査あたりの時間短縮に伴う検査数の増加という背景で肥大化するデータ量にもかかわらず,(1) パフォーマンスを継続して提供すること,(2) 効率的な読影業務を行えるような親和性の高いアプリケーション連携ができること,(3) 読影医の身体的負担を軽減できるアプリケーションツールを提供すること,(4) ヒューマンエラー対策がケーススタディ分析に基づいて講じられていること,などが求められるようになってきている。そこで,このような臨床現場のニーズに応えることが可能な「syngo Imaging」の主な機能を紹介する。

●高いパフォーマンスの継続的な提供

読影端末における画像表示速度や,検査装置からの画像転送完了後にサーバが登録処理を行って表示可能な状態にするまでの時間は,読影医の精神的ストレスと作業効率に直接影響を及ぼす。
syngo Imagingは,Dynamic Loading Technology(iMaxcess)を使用することにより,“膨大な画像データ”であっても高速表示を可能とするばかりか,検査装置からそれを受信するに当たっても,遅延なくスムーズに取り込めるデータベース設計と最適なストレージ環境を実現している。これにより,最新装置を導入した直後の急激なデータ増加に対しても,システムパフォーマンスを継続的に高く維持したまま運用ができる。

●高い親和性に基づくアプリケーション連携

syngo Imagingは,検査画像というオブジェクトに対して“状態=ステイタス”という概念を取り入れた。これは検査装置で生成された画像を,(1) 受信した,(2) 読影のために画質チェックした,(3) 一次読影した,(4) 二次読影した,(5) 院内で画像参照が可能な状態にしたということであり,これを各当事者がそれぞれの業務フローステップの中で状態を通知するというコンセプトに基づいている。この状態遷移は上記の順で,“Image Acquisition”,“Quality Assurance”,“Interpretation”,“Verification”,“Review”となる。
しかもこれは,PACS内部のものだけでなく,RISやレポートシステムといった別のシステムへの通知ができるために,当該アプリケーションの画面上に,参照しようとしている画像が具体的にどの状態にあるのかを表示できるばかりか,参照しようとする検査画像の全画像が到着している状態さえも通知できることで,読影時の画像漏れというインシデント防止につなげることが可能となる。さらに,院内画像配信についても,例えば,読影完了されていない画像は診療科における参照制限をつける,というようなことが可能となり,上記の状態に応じた柔軟な運用形態を施設ごとで組むことができる。
これにより,従来は各システム内での状態のみであったが,上記状態の組み合わせによって詳細な情報をもとにアプリケーションが連携できるようになっている。

●身体的負担の軽減に配慮したアプリケーション

前述の膨大な画像データと検査数の増加に伴い,読影医の身体的負担はかなりなものとなっている。そこで読影において必要となるさまざまなツール選択の際に,いかに関心領域から目をそらさずに実行できるか,マウスストロークをいかに減らせるか,が大きなポイントとなる。
syngo Imagingでは,利用者ごとに編集可能な“Smart Select”というメニューを用意することでこれを解決できる機能を有し,実際の導入施設において効果を発揮している。さらに同一読影端末上において,MIP,MPR,3D Volume Renderingはもちろんのこと,Fusion,Colonographyといった画像処理が行えることも,読影効率の向上に寄与している。
これらは,前述の高いパフォーマンスを継続して提供できるシステムアーキテクチャと,それを支えるプラットフォームがベースとなっており,時間的側面による精神的ストレスのない読影環境と同時に実現している。

●ヒューマンエラー対策

syngo Imagingは,HISやRISからの検査オーダ情報を受信することで,検査装置から生成されるDICOM画像のヘッダ情報との整合性チェックを行う機能を有している。合致しない検査画像がある場合は警告メッセージを表示し,その場でヘッダ情報を修正できる機能も有している。これらの機能は,診療放射線技師による患者取り違えなどのヒューマンエラーに対して,読影業務前に対処されるため,インシデント防止に役立っている。このことは,各ワークフローステップの中で生じうるケーススタディを詳細に行ったことで,実際の導入施設でかなりの効果を発揮している。



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