シーメンス・ジャパン株式会社

ホーム の中の inNavi Suiteの中の シーメンス・ジャパンの中の 別冊付録の中の MAGNETOM の中の研究に耐えうる高機能・高スループットMRIで極めて質の高い脳・脊髄診療を提供 医療法人社団脳神経脊髄脊椎外科サービス 宇都宮脳脊髄センター

別冊付録

MAGNETOM ESSENZA 1.5T
研究に耐えうる高機能・高スループットMRIで極めて質の高い脳・脊髄診療を提供

医療法人社団脳神経脊髄脊椎外科サービス 宇都宮脳脊髄センター

医療法人社団脳神経脊髄脊椎外科サービス 宇都宮脳脊髄センター
医療法人社団脳神経脊髄脊椎外科サービス
宇都宮脳脊髄センター
〒320-0812 栃木県宇都宮市一番町1-18
TEL 028-633-0201 http://www.neurospine.or.jp/

医療法人社団脳神経脊髄脊椎外科サービス 宇都宮脳脊髄センターは2010年4月,開設に併せてシーメンス社の1.5T MRI「MAGNETOM ESSENZA」を導入した。同院は,獨協医科大学脳神経外科学教室の金彪主任教授を中心に,脳神経外科診療のスペシャリストが,それぞれの専門領域に特化した診察の場を提供することを目的として開設され,極めて高レベルな診療を提供している。そのため,導入する画像診断装置は,高画質であることはもとより,研究にも耐えうる最先端機能を搭載したポテンシャルの高い装置であることが求められた。その厳しい条件をクリアしたのが,MAGNETOM ESSENZAである。MAGNETOM ESSENZA導入の経緯と同院における診療の実際,今後の展望について,金主任教授と内科医の金初美センター長にお話をうかがった。

理想的な脳・脊髄診療をめざし高度かつ斬新なクリニックを開設

JR宇都宮駅西口から徒歩9分の好立地に開設された宇都宮脳脊髄センターは2010年4月,脳血管障害,脳腫瘍,脊髄疾患,機能的疾患などの診療のスペシャリストである8名の脳神経外科学会認定専門医をコンサルタントに擁し,きわめて高度な診療を開始した。脳神経外科,ペインクリニック神経外科,心臓血管内科,内科を標榜し,すべての診療を各領域の経験豊富な専門医が担っている。

金彪主任教授(右),金初美センター長(左)
金彪主任教授(右),金初美センター長(左)

その医師たちの中心となっているのが,脊髄・脊椎疾患のスペシャリストである獨協医科大学脳神経外科学教室の金主任教授である。金主任教授は東京大学医学部を卒業後,米国メイヨークリニックへの6年間の留学などを経て,43歳の若さで同科の主任教授となった。これまでの手術実績は,脊髄腫瘍380件,脊髄空洞症110件,後縦靭帯骨化症340件,脊髄動静脈奇形40件など計約4000例に上り,脊柱管狭窄症や頸椎症性脊髄症,椎間板ヘルニアなども含めた脊髄および脊椎疾患全般に対して顕微鏡を用いた精密な手術を施行し,背骨や筋肉の本来の構造と動きを損なわない治療を可能としている。
一方,大学の教室運営においては,いくつかの課題に直面していると言うが,それについて金主任教授は次のように述べている。
「1つ目には,増え続ける外来患者さんをいかに診療していくかという課題があります。われわれは年間約900件の手術を行いますが,その多くは良性疾患で術後のフォローアップが必要であり,しかも高い専門性が要求されるため,他院に依頼できないケースがほとんどです。その結果,初診待ちが時には約3か月に及び,症状の進行する患者さんに対して十分に対応できないことがあります。また2つ目に,大学病院が特定機能病院としての高い治療力を備えるためには,高度な専門性を備えた医師による分業体制と,脊髄脊椎,脳腫瘍,脳血管障害など各分野のスペシャリストが相互に連携することが必須です。しかし,大学というピラミッド型の階層構造の中では,せっかく時間をかけて養成した医師たちの多くが大学を出て行かなければならず,高い治療力を維持し続けることは困難です。こうした課題を解決するためには,自分たちが主体的に訓練できる“場"を持ち,大学病院の機能を支えていく必要があります。そこで,われわれはまず,外来部門に特化した場を作り上げようと考えました」
こうして作られたのが同センターであり,現在,獨協医科大学脳神経外科の医師ら16名が非常勤で診療を行っている。金初美センター長が代表を務め,金主任教授と教室が全面的にバックアップする形で,理想的な脳神経外科診療を提供するための新しい仕組み作りがスタートした。

【症例画像はこちらをクリック】

画質,経済性,将来性を兼ね備えMAGNETOM ESSENZAを導入

金彪主任教授
金彪 主任教授

高い理想を実現するためには,当然,導入する画像診断装置への要求も厳しくなる。特に,脳神経外科の診療に必須となるMRIの導入にあたっては,譲ることのできない条件があったと金主任教授は語る。
「装置の選定にあたり,最も重視したのは画質です。神経系に対して非常に精密な描出能を求めますので,装置を常に最大限の能力が発揮できる状態に維持していただける,強力なバックアップ体制が得られることも大事なポイントでした。また,MRIの新しいシーケンスが次々と誕生していますので,それらについて共同研究が行えるかどうかも考慮しました」
同センターでは,こうした観点から数社と話し合いを重ね,最も強い理解が得られたシーメンス社のMRIを導入することが決定された。
また,同センターのMRI室は3T装置が設置可能な構造になっているが,実際には1.5T装置を選定した理由について,金主任教授は,「実は3Tでなければならない症例はそれほど多くなく,しかも,得られる情報量が必ずしも1.5T装置より多いとは限りません。その理由として,3Tの場合,脳脊髄液のFlowや体動などによりアーチファクトを生じやすいこと,あるいは装置ごとの調整やシーケンスの設定の違いという要素が考えられます。つまり,1.5Tでも最新鋭のプラットフォームの装置で,きちんと調整されていれば,ほとんどの状況に対して十分な情報量が得られるということです」と説明している。
そこで,シーメンスの1.5T装置について詳細な検討を行った結果,コンパクトかつ経済的でありながらも高機能を有するMAGNETOM ESSENZAが選定された。

シーメンスMRIの最上位機種に匹敵する高機能を評価

金初美 センター長
金初美 センター長

MAGNETOM ESSENZAは,ハイクオリティと経済性をコンセプトに開発された,日常臨床で最も威力を発揮する装置である。同社独自のコイル技術であるTimに加え,ガントリ内に配置された9つのコイルエレメントによって,常に磁場中心での撮像を可能にする最先端技術“アイソセンターマトリクスコイル”を搭載。これにより,いつでも最高の画質を臨床に提供するほか,コンソールにて撮像領域を設定すれば,ボタンを押すだけで寝台が自動的に移動して最適な位置で撮像できるため,極めて高い検査スループットが得られる。また,ガントリ長は145cmで,かつキャビネットがコンパクトになるなど省スペース化が図られたほか,ゼロ・ボイルオフ・マグネットの採用により経済性が飛躍的に向上している。これらのことから,MAGNETOM ESSENZAは“究極のルーチンMRI"として高く評価されているが,「最大の魅力は,実は上位機種に匹敵あるいは凌駕する高機能」と金主任教授は指摘している。
実際の画質と機能について,金主任教授は,「MAGNETOM ESSENZAの画質は本当に素晴らしく,これまでに見た多くの1.5T装置と比較しても遜色ありません。特に脊椎・脊髄領域においては,myelography(脊髄腔造影)後のCTで描出できない圧迫や変化を,神経根に沿ったMPR像で観察しますが,大変高画質です。また,動脈瘤やクモ膜下腔内の腫瘍,顔面神経や三叉神経の血管による圧迫をsyngo SPACE画像で見ますが,それらも解像度が高く鮮明で満足しています。MRAも1.5Tの上位機種を凌駕する画像だと思います。機能面では,MRSはもちろん,拡散テンソル画像(DTI)も搭載されているので,必要な機能はすべて備えています」と述べており,MAGNETOM ESSENZAが金主任教授の期待に十分に応える装置であることがうかがえる。

最新アプリケーションを駆使し月間300件の撮像を実施

同センターでは現在,MR検査の予約枠は30分を基本としているが,医師と診療放射線技師が緊密に連携しながら,症例に応じてシーケンスを追加するなど,きめ細かい対応を行っている。受診者の多くは他院からの紹介や術前診断,術後のフォローアップ目的であり,何らかの所見を有しているため,撮像件数は月に約300件にも上る。
症例は,未破裂脳動脈瘤,クモ膜下出血,聴神経腫瘍,慢性硬膜下血腫,頸椎や腰椎の椎間板ヘルニア,脊柱管狭窄症,脊髄腫瘍などが多い。頸椎や腰椎のルーチン撮像は,T2強調画像のサジタルとアキシャルが基本となるが,紹介患者で画像を持参している場合にはルーチン撮像は行わず,領域を絞ってより詳細な撮像を行っている。脳血管障害症例では,T1強調画像,T2強調画像,FLAIR,MRAのほか,シーメンス独自の磁化率強調画像である“syngo SWI"を撮像している。微小出血や海綿状血管腫などが明瞭に描出でき,極めて有用だという。
脳槽内の事象の観察には,小さな神経と血管との関係を明瞭に描出する高解像度MRI“syngo SPACE”とMRAの元画像が有用性を発揮している。そのほか,“syngo BLADE"により,体動が抑制できない患者さんでも診断に耐えうる画像が得られ,大変助かっているという。
一方,脳神経外科領域以外の撮像について,金センター長は,「内科領域では,検診目的の胆道系や膵臓の撮像にMRCP(MR胆管膵管撮像)が大変有用です。ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)と比べて非常に低侵襲なので,超音波で異常が見つかった症例にも積極的に行うようにしています。また,貧血の患者さんや,子宮がん検診を希望される患者さんに対して骨盤腔の撮像を行うこともあります」と説明している。

脳神経外科診療の機能分化とMR装置のブラッシュアップを推進

開院から1年が経過した同センターの現状について,金主任教授は,「他院からの紹介患者さんをこちらで診察し,手術適応を選び出して大学で手術をするという良い流れができているほか,大学を受診した患者さんで早い検査が望ましい場合には,検査待ちをすることなく,こちらでMR撮像を行うことが可能となりました。これにより,大学の診療の流れが効率化され,多くの医師が大学での外来業務に忙殺されることなく,経営上も効率の高い手術に結びつく新患に注力できるようになりました。何より,当大学の教室から派遣している非常勤の医師たちが,単なるアルバイトではなく,自らが主体的,継続的に診療に当たれるという意味でも,大変大きな効果が得られています」と説明している。
ただし,同センターでは外来診療しか行えないため,金主任教授は近い将来,手術室とリカバリーベッドを持った施設を開設することを計画している。そこでは大学のような高度な設備を必要としない手術を行うことで,さらなる機能分化を図りたいと考えている。
また,MRIを用いた今後の展望について,金主任教授は,「DTIはまだ搭載されたばかりですので,これからどんどん挑戦していく予定です。それ以外にも,新しいシーケンスが登場すれば,このプラットフォーム上で磨いていくことが大事だと思いますので,そういう役割をシーメンスと協力しながら果たしていきたい」と述べている。
高度な脳神経外科診療とMRIの研究という,2つの取り組みがどのような相乗効果をもたらすのか,今後の展開に注目したい。

(2011年8月8日取材)

▲ページトップへ

モダリティEXPOへ

目次に戻る