日立メディコ

ホーム の中の inNavi Suiteの中の 日立メディコの中の Technical Noteの中の トモセラピーの治療技術とこれから

Technical Note

2011年3月号
これから期待される放射線治療技術の近未来構想

トモセラピーの治療技術とこれから
加藤 善平
放射線治療システム営業部

トモセラピーは,ヘリカルCT技術を応用して開発された高精度放射線治療装置である。CTのような外観をしており,リング型ガントリを連続回転させながら,治療寝台を移動させ,ヘリカル回転照射を行う。また,リニアックから発生する(エネルギーを下げた)X線を使用してファンビームMVCTを撮影し,画像誘導放射線治療(IGRT)に使用される。

図1 トモセラピー(Hi-ARTシステム)外観
図1 トモセラピー(Hi-ARTシステム)外観

●トモセラピーの治療技術の現状

照射されるX線は,Jawsにより体軸方向の照射幅(Field Width)を決め,高速に開閉するバイナリMLCにより強度変調がなされる(図2 a)。照射幅は治療計画時に設定され,狭いほど体軸方向の照射精度は高くなり,照射時間が長くなる傾向がある。そのほか,ピッチ(Pitch)や強度変調度などの照射パラメータの設定が治療計画時に行われ,投与線量や照射回数に応じて,ガントリ回転速度や寝台移動速度が自動で決定される(図2 b)。これらのパラメータを調整することにより,現実的な照射時間でSRS(定位手術的照射)/SRT(定位放射線治療)や全脳全脊髄照射などを含む,さまざまな高精度治療を可能にしている。

図2 トモセラピー(Hi-ARTシステム)の照射原理
図2 トモセラピー(Hi-ARTシステム)の照射原理

●トモセラピーの今後の展開

前述のように,照射幅と寝台移動速度は治療計画時に決定され,プランごとに可変であるが,1回の照射中は一定である。それに対し,1回の治療中に,照射幅と寝台速度を変更させる機能の開発が進められている。
照射幅を変更しながら照射することにより,体軸方向の線量の切れが良くなり,ターゲット形状に合わせて照射幅を変更することで,効率的な線量投与が可能となる。また,線量投与量が少ない部分では速く移動し,多い部分では遅く移動するなど,照射中に寝台の移動速度の変更を行うことにより,治療時間の短縮にもつながる。図3のシミュレーションでは,治療時間が約半分になっており,線量分布やスループットの向上が期待される。

図3 照射幅変更と固定の分布比較
図3 照射幅変更と固定の分布比較

モダリティEXPOへ

【問い合わせ先】 核医学治療製品営業本部放射線治療システム営業部 TEL 03-3526-8340