日立メディコ

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Technical Note

2010年4月号
Abdominal Imagingにおけるモダリティ別技術の到達点

US−超音波診断装置の最先端技術“Real-time Virtual Sonography(RVS)”

香西和久
マーケティング統括本部US戦略本部

CT/MRI/USの画像情報から,観察中の超音波画面に対応するMulti-Planar Reconstruction(MPR)像をリアルタイムに同時表示する“Real-time Virtual Sonography(RVS)”について紹介する。
本技術は,日立が2004年に世界で初めて開発し1),2),超音波診断装置と他モダリティの欠点を補い,マルチモダリティの画像情報を融合させる技術である。肝がんの治療手段として普及しているRadio Frequency Ablation(RFA)などの臨床現場で導入されているシステムである3)


■ システムの概要

超音波診断装置による走査で得られた超音波画像が表示されるのに同期して,プローブの位置と角度を検出し,それに対応した断面像をCT/MRI/USのボリュームデータからリアルタイムに再構成してMPR表示を行う(図1)。
事前に取得したCT/MRIのボリュームデータは,DVD,USB-HDDなどの記憶媒体,もしくはPACSなどのネットワーク経由で超音波診断装置への取り込みを行う。
超音波診断装置でプローブの位置情報を取得するために,磁気位置検出ユニットが接続されている。本ユニットは,ユニット本体,磁気発生器,磁気位置センサーで構成されており,磁気発生器は被検者の近くに設置し,磁気位置センサーはプローブに取り付けられる(図2)。


図1 CT/MRI/USのボリュームデータからMPR像を再構成
図1 CT/MRI/USのボリュームデータからMPR像を再構成

図2 システムの概要
図2 システムの概要

■ システムの特長

1.マルチボリューム機能
CT/MRIのボリュームデータを一度に最大4つまで取り込むことができるマルチボリューム機能を有している。検査中に表示したいボリュームデータをワンタッチで切り換えることが可能である(図3)。
このマルチボリューム機能は,CT/MRIにおけるダイナミックスタディの各フェーズや複数の検査日のデータ,さらには異なるモダリティの画像を組み合わせることも可能である。

2.3D立体ボディマーク
CTなどのボリュームデータから作成した3D立体ボディマーク機能を搭載している(図3)。これにより,超音波診断装置による走査断面の位置把握をより容易なものとしている。Maximum Intensity ProjectionやVolume Rendering表示が可能で,両者の透過度を任意に変更したフュージョン表示も可能である。

3.マーキング機能
ボリュームデータ上にマーキング機能としてマーカーが設定可能である。本機能は,球マーカーとして検査画面上に表示される。マーキングの中心に近づくほど球が大きく表示されるため,直感的な位置の把握が可能である(図4)。例えば,CT/MRI画像上での染影範囲の境界に合わせることで,腫瘍の範囲が推定できる。複数個の設定も可能なため,多発性病変のマーキングにも有用である。

4.リアルタイムアジャスト機能
検査を始める際に,超音波画像とMPR像の位置合わせを行うが,被検者の呼吸による内臓移動等で検査中に位置ズレが生じた際に,ワンタッチで補正可能なリアルタイムアジャスト機能を搭載している。

5.USボリューム作成機能
CT/MRIのボリュームデータのみならず,USのボリュームデータからMPR像の作成も可能である。磁気位置センサーを使用することで,被検者の体位に依存せず,容易に観察中の超音波画像との同時表示が可能となる。
また,コントラストモードとの併用も可能で,肝がんのRFA後の不十分な焼灼に対する追加治療の領域の確認,RFA後のセーフティマージンの確認にも有用な手段とされている。


図3 マルチボリューム機能と3D立体ボディマーク
図3 マルチボリューム機能と3D立体ボディマーク

図4 マーキング機能
図4 マーキング機能

本システムは肝臓領域にとどまらず多領域への展開がされており,超音波ガイド下の治療支援,超音波の教育支援など,さまざまな領域で臨床応用が試みられている。特に,乳腺領域においては,MR-detected lesionに対するsecond-look USへの活用,術前マーキングなどへの臨床応用も報告されている4),5)
また,整形放射線領域においても,膝の画像診断を目的として,高磁場MR装置と本システムとの融合の試みもなされている6)。本発表は,Radiological Society of North America 2009(RSNA 2009)においてCum Laudeを受賞し,世界中の注目を集めている。Certificate of Merit(RSNA 2003)1),Cum Laude(RSNA 2004)2)に続く受賞である。

*Real-time Virtual Sonographyは(株)日立メディコの登録商標です。


●参考文献
1) Arai, O., Mitake, T., Oshino, K., et al. : Integration Computer Tomography in Ultrasound Diagnosis Named Virtual Sonography. infoRAD 9424, RSNA 2003.
2) Iwasaki, T., Mikami, E., Shimosegawa, T., et al. : Real-time Virtual Sonography(RVS); A Novel Navigation Tool in Percutaneous Radiofrequency Ablation of Hepatoceller Carcinomas. infoRAD 9103 DS-1, RSNA 2004.
3) Minami, Y., Chung, H., Kudo, M., et al. : Radiofrequency Ablation of Hepatoceller Carcinoma ; Value of Virtual CT Sonography with Magnetic Navigation. Am. J. Roentgenol., 190, W335〜W341, 2008.
4) Satake, H., Nishio, A., Ishigaki, S., et al. : Clinicalusefulness of real-time virtual sonography for breast imaging. Jpn. J. Med. Ultrasonics, 36・9, 669〜678, 2009.
5) Nakano, S., Yoshida, M., Fujii, K.,et al. : Fusion of MRI and Sonography Image for Breast Cancer Evaluation Using Real-time Virtual Sonography with Magnetic Navigation ; First Experience. Jpn. J. Clin. Oncol., doi:10.1093/jjco/hyp087.
6) Niitsu, M., Matsuzaki, M., Aoki, T. : Real-time Virtual Sonography of the Musuloskeletal System ; Simultaneous Display of the Sonogram and 3T MRI. LL-MK2447, RSNA 2009.


【問い合わせ先】 USマーケティング本部 TEL 03-3526-8309