ホーム inNavi Suite 日立メディコ Technical Note 超音波診断装置のイノベーション−「HI VISION Preirus」へ搭載したSingle Crystal ProbeとUltra BE
2009年4月号
Cardiac Imagingにおけるモダリティ別技術の到達点
■ Pure Image 超音波診断装置において,超音波のセンサであるプローブとデジタル信号処理回路が,高画質化の決め手となっている。最新機種である「HI VISION Preirus」(図1)は,日立グループの総力を結集し,すべての回路を一新した。“Single Crystal Probe”と“Ultra BE(Ultrasound Broadband Engine)”で,美しくクリアな画像“Pure Image”(図2)を追求している。 |
図1 HI VISION Preirus |
図2 Pure Image |
■ Ultra BE 最新のデジタル技術を駆使し,超音波に特化したデジタル信号処理回路 Ultra BE(Ultrasound Broadband Engine)を開発した(図3)。これにより,高精度な超音波ビーム形成,高度な画像処理を実現している。また,最新の高画質化機能である第3世代のティッシュハーモニック機能“HdTHI”やアダプティブイメージング機能“HI REZ”を備え,高画質化を図っている。 |
図3 Ultra BE(Ultrasound Broadband Engine) |
■ Single Crystal Probe 循環器用プローブ(図4)の圧電素子としてSingle Crystal(単結晶)を採用した。プローブに内蔵する素子は,パルスを出すために圧電性を持たせることが必要で,分極処理を行う。1つの結晶を大きく成長させたものをエレメントカットすることにより,従来型の複数の結晶構造を有する圧電セラミックスよりも,分極の方向をそろえることができる(図5)。強い圧電効果による高感度化により,ペネトレーションの向上が得られ,周波数の広帯域化によりパルス特性が改善し,分解能の向上が得られる。 |
図4 Single Crystal Probe「EUP-S70」 |
図5 圧電セラミックスとSingle Crystal |
■ Super flex design HI VISION Preirusは,大胆に曲線を取り入れた斬新な外観デザインを採用している。液晶モニタと操作パネルは,同時に一度の動作で移動させることができ,さまざまな姿勢に合わせた位置の調整が可能となっている。これにより,操作者は楽な姿勢で検査を進めることができる。 |
図6 操作パネルの回転 |
図7 プローブホルダ |
■ Smart Touch 大画面の液晶モニタには,世界に先駆けてタッチパネルを組み込み,検査画面と同じ画面で装置の操作を可能とした(図8)。これにより,操作パネルと液晶モニタ間の視線移動が軽減される。 |
図8 Smart Touch |
■ Dual Doppler “Dual Doppler”では,2か所のサンプル点のドプラ信号を同時に検出できる。血流だけでなく,組織ドプラとも組み合わせることができ,僧帽弁通過血流波形の拡張早期波(E)と組織ドプラによる拡張早期僧帽弁輪速度(e')の比であるE/e'などを同一心拍で計測できるようになり,不整脈の症例においても威力を発揮する(図9)。 |
図9 Dual Doppler |