日立メディコ

ホーム の中の inNavi Suiteの中の 日立メディコの中の 別冊付録の中の 磁遊空間 Vol.21の中のコンパクトと高機能を両立した最新のオープンMRIシステム「AIRIS Vento LT」

別冊付録

CURRENT TECHNOLOGY

コンパクトと高機能を両立した最新のオープンMRIシステム「AIRIS Vento LT」

画質と撮像機能において高いバランスが評価されている0.3Tの永久磁石型オープンMRIシステム「AIRIS Vento」に,AIRIS mateと同クラスの高い設置性を備えた新機種「AIRIS Vento LT」が登場しました(図1)。AIRIS Vento LTは,高いオープン性とコンパクト性を追究。ラテラルスライドテーブルの採用により,設置スペースを効率的にご利用いただけます。

図1 AIRIS Vento LT
図1 AIRIS Vento LT

AIRIS Vento LTの特長

主な仕様を表1に示します。高いハードウエアスペックと,高磁場MRIシステムの開発で実現された多くの高機能を搭載した最新のオープンMRIです。

表1 AIRIS Vento LT の主な仕様
表1 AIRIS Vento LT の主な仕様

1.オープンデザイン

ラテラルスライドテーブルの採用により,コンパクト性と容易な被検者セッティングを実現しました。図2に示すように,ガントリ内部でテーブルが前後,左右(体軸方向)に自由に移動できるフローティング機構を搭載しています。肩関節や膝関節など体軸中心から外れた部位でも,容易にガントリ中心にセッティングして撮像することができ,高画質が得られます。また,受信コイルを接続するコネクタがテーブル側面に位置しているため,テーブルの移動時にケーブルを巻き込むなどのトラブルを低減できます。
ガントリのオープンデザインは,前方210°,後方70°のアクセス範囲を持ち,特に狭いところが苦手な方や小児の検査において,被検者にやさしい検査環境が提供できます。さらに,被検者が撮像時に感じる心理的影響に考慮したラウンドフォルムデザインを採用し,カラーリングも温かな“スマイルイエロー”としました。

図2 ラテラルスライドテーブルと広いアクセス範囲
図2 ラテラルスライドテーブルと広いアクセス範囲

2.最新の傾斜磁場システム

AIRIS Vento LTは,永久磁石型MRIシステムで最高峰の傾斜磁場パワーを搭載し,高機能撮像や将来開発される新機能にも余裕で対応できるハイスペックを実現しました。ハイパワー傾斜磁場システムの効果としては,高い空間分解能画像の撮像や薄いスライスへの対応だけでなく,高いスリューレートがもたらすスピーディな傾斜磁場印加性能が,エコータイム(TE)の短縮やMR信号サンプリングタイムの余裕による受信帯域の低減効果で,画像のSNRをより改善できるという特長もあります。さらに,ECC(Eddy Current Control)機能の搭載により,あらかじめ発生する渦電流を予測して制御することで,安定した画像が得られます。

3.高い設置性と優れたランニングコスト

永久磁石型MRIシステムの特長であるコンパクト性をさらに向上したAIRIS Vento LTでは,設置スペースを有効に活用できるというだけでなく,シールドルームも小さいため,付帯設備の費用を抑えることが可能です(図3)。また,永久磁石方式により,超電導型MRIシステムのような静磁場を維持するための高額な交換部品や冷凍にかかる電力費用が不要で,ランニングコストも低減できます。もちろん,クエンチの心配もないため,安定した運用が可能です。

図3 コンパクトなレイアウト例
図3 コンパクトなレイアウト例

4.ソレノイド受信コイルの高画質

0.3Tの静磁場強度で高画質が得られるポイントは,高感度のソレノイド受信コイルにあります。ソレノイドコイルの受信感度はコイルの中心が最も高く,受信コイルの高感度領域に撮像対象を容易に配置できるため,MRIの信号を効率良く受信できます。

5.新開発コンソールの採用

コンソールには,1.5T超電導型MRIシステム 「ECHELON Vega」と共通のシステムを新たに採用しました。高い操作性を実現したインターフェイスや日本語表示の採用,撮像時のパラメータのサゼッション機能など,シンプルな操作性をめざしています(図4)。
画像再構成エンジンも最新のハードウエアを採用し,当社の従来システムと比較して,再構成演算速度は約30倍(700枚/秒)を実現しました。3Dの画像処理も高速に行うことが可能で,検査の効率化に貢献します。

図4 シンプルな操作性
図4 シンプルな操作性

撮像機能

AIRIS Vento LTは,ルーチンで使用するMRI撮像機能はもちろん,特に整形分野で有効な機能を搭載しています。

1.Curved MPR機能

高精細に3Dで撮像した画像データを,ポストプロセスで任意の断面に画像再構成してMPR(Multi-Planar Reconstruction)表示できます。図5に示すように,この断面はフリーハンドでの選択が可能で曲面も利用できます。また,指定した断面に平行な面でのマルチスライスの画像再構成にも対応しています。脊椎彎曲症などの画像診断に有効な機能です。
良好なMPR画像の利用には,ボクセルサイズの細かな撮像データが必要となりますが,高感度受信コイルにより実用的な撮像時間を実現しました。

図5 Curved MPR機能
図5 Curved MPR機能

2.ラジアルMPR機能

MPR機能の再構成断面を放射状に設定することができます。図6のように,膝関節などの複雑な構造の画像診断をする場合に特に有効です。簡単な操作で複数の角度の断面を同時に画像再構成できます。

図6 ラジアルMPR機能
図6 ラジアルMPR機能

3.三点,三面スライス位置決定機能

膝関節や肩関節などの構造が複雑な組織のスライス位置を決定する際に,3つの画像上にポイントを設定し,そこを通る断面を簡単に設定して撮像できます。さらに,複雑なオブリーク断面もスピーディに設定できます。

▲ページトップへ

目次に戻る