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Technical Note

2011年12月号
US Today 2011―先進技術で極める超音波の未来

US―Needle Tracking機能の概要 ─ より安全な穿刺手技をめざして

小笠原正文
超音波技術本部超音波研究開発部

安全に穿刺術を施行するために,超音波ガイド下で穿刺する手技が1980年代に開発されて以来,多くの臨床現場において本手法が使われてきている。超音波ガイド下穿刺手法は,超音波プローブに穿刺をガイドするアタッチメントを取り付け,そのガイドを介して生体に針を刺入する方法である。この際,超音波の画像上には針が進むであろう方向を示すガイドラインが表示され,そのラインを目標とする部位に合わせることにより,正確な穿刺が可能となる。しかし,ガイドラインはあくまで,針がガイドアタッチメントに沿って真っ直ぐに進んだ場合に針が進むであろう位置を示すのであって,実際の針の位置を示すものではない。生体内を穿刺針が進む場合,必ずしも直進しないことはよく知られている。特に,穿刺針が超音波断面像の奥行方向にずれた場合には,断面上で針位置と目標部位との位置関係があいまいになってしまう問題があった。
“Needle Tracking”機能は前述の問題を解決し,より安全な穿刺をめざすために開発された。以下に,Needle Tracking機能の概要を述べる。

■ Needle Trackingシステムの概要

1.システム構成
Needle Trackingに必要なシステム構成は“Volume Navigation”を搭載した「LOGIQ E9」と針先に磁気ポジションセンサーを内蔵したNeedle*1である(図1)。図2に,Needleの構成を示す。Needleは,磁気センサーを保持するための内筒針と,それを覆う外筒からなっている。内筒針のゲージは18Gで,外筒は16Gである。内筒針に収められる磁気センサーアセンブリは再利用可能であるが,内筒針,外筒はディスポーザブルとなっている。また,Needleの有効長は7インチ(17.8cm)である。
以上のような構成により,センサーを収めた針先の位置とプローブの位置関係を検出し,針先の位置ならびに針の進む方向を超音波の断層上にグラフィック表示する。

図1 システムの構成
図1 システムの構成
図2 位置センサー内蔵型Needleの構造
図2 位置センサー内蔵型Needleの構造

2.動作と表示
図3,4に,Needle Trackingを動作させた時の典型的な画像表示例を示す。図3の表示は,Needleがほぼ超音波断層像上にある場合の表示である。針先位置と超音波断面の奥行方向の微妙なずれは,針先位置を示すボックスの大きさにより認識することができ,画像を見ながら針先位置を微調整し,目的とする部位にずれなく針先を誘導できる。図4は,Needleが断層画像上からずれている場合の表示例である。この場合は,超音波断層上に刺入位置と針先位置,針と超音波断面の交点位置,ROI下端における針の位置が表示される。したがって,針と超音波断面の交点を示すマークが穿刺目的部位と一致するように針を刺していけば,穿刺ガイドアタッチメントなしに,用手的に目的とする部位に針先を誘導することができる。

図3 In-Plane Needle Trackingの画像表示例
図3 In-Plane Needle Trackingの画像表示例
図4 Off-Plane Needle Trackingの画像表示例
図4 Off-Plane Needle Trackingの画像表示例

Needle Tracking機能を使うことにより,針先の位置を確実にとらえることができるようになった。以前からあるガイド表示では,穿刺針が進むであろう方向を表示しているに過ぎず,実際の針の進む方向と必ずしも一致しないという問題があった。しかし,Needle Tracking機能を使えば,針先に装着された位置センサーにより,生体内にある実際の針先位置を断層画像上に表示でき,これまで心配されていた画像の奥行方向への針先のずれも確認できるため,より確実に針先を目的部位に誘導することが可能である。今後さらにゲージや針長の種類を増やし,種々の穿刺手技に対応できるようにすることを予定している。

*1 「シブコニードルトラッキングシステム」として薬事認証を得ており,本邦ではセンチュリーメディカル株式会社が製造販売業者である。

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