GEヘルスケア・ジャパン

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Technical Note

2008年7月号
特集−IMAGE PROCESSING & ANALYSIS 2008−画像処理・解析技術の最新動向−各種ソフトウエアの技術解説

WS−Advantage Workstation Volume Share XTにおける新アプリケーション

近年,画像診断装置の技術改進は目覚しい。それを最大限に生かすため医療現場では,ワークステーションの価値が非常に高くなっている。特に目覚しい普及を遂げているMDCTにおいては,血管系の描出能に優れ,いまや画像処理はPost Processとして必須となっている。また,2008(平成20)年度の診療報酬改定により,心臓CT検査において新たな適用が追加され,心臓CTは,ますます増加していく検査とともに現場における心臓CT処理画像の負担は大きくなると容易に予想がつく。
心臓CTは,検査にかける時間は平均15分程度だが,その後の画像処理に非常に時間がかかると言われている。今回GEでは,その課題に回答を導き出すような新ワークステーション「Advantage Workstation Volume Share XT」(AW XT)をリリースしたので紹介する。

心臓解析アプリケーション

心臓解析アプリケーションにおいては,オートメーション機能を進化させた。冠動脈解析時,RCA,LAD,LCX,そして各分枝までをプロトコールの選択のみで自動的にトラッキングされ(AutoTracking機能),画像処理は完了する。冠動脈の直交断面における中心軸追従性の飛躍的な向上が実現した結果,自動トラッキングが可能になったとも言える(図1)。
特出する点は,造影能が悪い場合や慢性完全閉塞病変(CTO)などの症例においても,自動トラッキングが可能であることである。実際の臨床現場においては,CTOやステント,石灰化などさまざまな症例があり,それらの症例に対応できなければ自動化のアプリケーションとは言えない。実際に,ある施設でAW XTを使用して1週間の連続症例で解析を行ったところ,ほぼ自動トラッキングが可能であり,従来のワークステーションと比較し,処理時間が1/4以下に短縮したとのことであった。冠動脈解析では,処理すべき血管の数が多く,多岐病変ほど解析に時間がかかると言われているが,自動トラッキングにより,現状の課題から改善することが可能である。
さらには,狭窄率の計測において半値幅法を用いているため,造影剤の濃度のばらつきや,計測する者によって閾値を入力し計測するばらつきがなくなり,再現性の高い計測結果が得られる。


図1 自動トラッキング画面
図1 自動トラッキング画面

ジェネラルアプリケーション

AWのアプリケーションは前述した心臓解析だけでなく,頭部領域や体幹部領域など多岐にわたる。各アプリケーションを支えるベーステクノロジー機能が,自動骨除去機能(AutoBone)と血管追跡機能(Add Vessel)である。この2つの技術が土台として各アプリケーションを支え,優れた解析機能を実現させている。
AutoBoneは,ベッセルトラッキング法を使用することにより,頭蓋底近傍の非常に難しいと言われている骨除去においてもワンクリックの作業のみである。よって,骨ありでは判断が困難な動脈瘤も,AutoBoneを使用すれば観察が容易になり,診断に有用な画像が提供可能である(図2)。また,下肢領域においても,臨床現場では膝窩動脈からのバイファケーションが非常に細いため描出するには苦労すると聞いているが,従来と比較して抹消の描出能が上がっているため,画像作成にも時間がかからない。
Add Vesselは,リージョングローイング法を使用しマウスの長押しのみで血管を自動追跡するため,描出したい血管を選択して描出するのが容易である。特に,CT Angioに求められる病変の支配血管の描出,完全閉塞等の症例における造影能が悪い場合の画像作成や,側副血行路の描出などは,Add Vessel機能により簡便に画像処理をすることが可能である(図3)。


図2 AutoBoneを用いて作成した臨床画像
図2 AutoBoneを用いて作成した臨床画像
右内頸動脈後交通動脈起始部動脈瘤(IC-PC)の症例画像
図3 Add Vesselを用いて作成した臨床画像
図3 Add Vesselを用いて作成した臨床画像
右大動脈に75%の狭窄,左大腿動脈に90%の狭窄。
側副血行路にて,下肢血管を補っている。

新画像処理コンセプト

前述の自動化機能を最大限に生かすために,GEヘルスケアは次世代ワークステーションAdvantage Workstation Volume Share XTを開発した。従来の画像処理ワークステーションは,画像診断装置で撮影された画像が転送され,その元画像を呼び出し処理する流れが一般的である。画像転送こそバックグラウンド処理による自動転送ではあるが,処理作業そのものは順次マニュアル処理されている。
今回新しくリリースしたAW XTはAuto Launch機能により,転送後,自動的にリンクしている画像処理プロトコールが起動し,自動的に画像処理が他の撮影や画像転送と同時に行われる同時並行オートプロセッシング方式を可能とした(図4)。これにより,画像処理の習熟度に左右されない利点がある。また従来は,画像処理を完成されるまでに10のステップが必要だとしたら,各々のステップを簡便化することに注目していたが,AW XTは簡便化だけでなく,事前に画像処理の7,8ステップまでを省略することが可能である。よって,複数の画像処理において同じ作業を最初から繰り返す必要はなく,80?90%が終了している処理画像を呼び出し,確認する作業となるため,画像処理時間の大幅な短縮が可能になる。
AW XTにより,画像処理の大幅な短縮が可能になれば,従来制限しなければならなかった検査数や,長い残業時間などの現状に直面している問題が解決可能となる。


図4 同時並行オートプロセッシング方式
図4 同時並行オートプロセッシング方式

GEヘルスケアは,今後も常に画像診断装置と画像処理ワークステーションが連携した相乗効果を実現する製品開発に注力し,かつ,画像診断装置メーカーだからこそ可能な機能をワークステーションに搭載し,トータルな臨床利点の追究を継続していく。


【問い合わせ先】 カスタマーコールセンター TEL 0120-202-021