第18回 日本乳癌学会学術総会ランチョンセミナー7

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第18回日本乳癌学会学術総会が6月24日(木),25日(金)の2日間,ロイトン札幌,さっぽろ芸術文化の館を会場に開催された。24日に行われたGEヘルスケア・ジャパン共催のランチョンセミナー7では,GE Healthcare Global Mammography Product ManagerのMatthew Suminski氏と三河乳がんクリニック院長の水谷三浩氏が,「造影マンモグラフィが乳癌画像診断にもたらすブレイクスルー」をテーマに,造影マンモグラフィの新技術について講演した。

造影マンモグラフィの原理

Matthew Suminski
GE Healthcare Global Mammography Product Manager

  Matthew Suminski GE Healthcare
Global Mammography Product Manager
Matthew Suminski
GE Healthcare Global Mammography Product Manager 1990年Marquette University卒業,GE Medical system入社。Global Vascular MR Applications Manager,Global Interventional MR Manager,MR Service Manager,MR Sales Specialist,3.0T MR Product Managerなどを経て,2010年より現職。

これまで,造影検査は多くのモダリティで行われてきたにもかかわらず,X線マンモグラフィでは実用化されていなかった。しかし,当社が開発したContrast Enhanced Spectral Mammography(CESM,2010年6月現在薬事未承認)という新技術によって,それが変わろうとしている。本講演では,CESMの原理と有用性について述べる。


s CESMの原理

1.CESM開発の経緯と原理

従来のデジタルマンモグラフィによる造影手法には,時間差分法を用いたContrast Enhanced Digital Mammography(CEDM)がある。CEDMは,乳房を圧迫してマスク画像を収集し,造影剤注入後,複数の画像を数分間かけて撮影した上でマスク画像とサブトラクションする手法であり,FFDM(full field digital mammography)を用いることで良好な血流動態情報を得ることができる。しかし,数分間にわたる乳房圧迫は被検者に大きな負担を強いるだけでなく,血流動態情報にも影響を与える。また,1回の造影剤注入に対し,片側乳房の1方向の情報しか得られないことも大きな課題であった。
そこで,当社が開発したのがCESMである。CESMは,マルチエネルギーによるX線撮影と画像処理技術を用いるという点でCEDMとは異なる。CESMで重要なのは,ヨード造影剤のX線吸収特性である。ヨードのk吸収端は33keVであるが,CESMでは造影剤注入後に,このk吸収端を挟んだ上下2つのX線エネルギーの画像を収集する。この2つの画像情報の差は,基本的に造影剤コントラストの差であり,画像処理によってバックグラウンドの乳腺信号を抑制しつつ,造影剤信号を強調する。また,CESMでは45〜49kVでの撮影に対応できるよう,最大管電圧を49kVに設定している。計5分間で,左右各2方向の乳房画像4セットを2種類のエネルギーデータを1セットとして撮影する。さらに,適切なフィルター設計によって,被ばく線量は通常の乳房撮影の1.2倍以下に抑えられており,乳がん検診における国際的なガイドラインを下回っている。

2.CESM撮影の実際

CESMは,ヨード造影剤を経静脈的に注入し,2分経過後に約5分かけて通常の撮影ポジションにて両側乳房を2方向ずつ撮影する(図1)。乳がん患者の4〜8%では,対側乳房にも病変が見つかると言われているため,CESMで両側乳房の検索ができることは非常に有用である。またCESMでは,CEDMやMRIのような血流動態情報は得られないが,ハイパーバスキュラーな部分を強調して描出することで,新生血管を明瞭に描出可能である。

図1 CESM撮影のポイント
図1 CESM撮影のポイント

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s まとめ

CESMは,デジタルマンモグラフィを用いて同じ検査室内で同じスタッフが検査可能であり,詳細な情報を短時間で得ることができる。感度,特異度,陰性的中率などにおいても優れた臨床成績を収めており,従来の単純X線マンモグラフィの限界を超えることが可能であると考えている。


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GE社のマンモグラフィについてはモダリティEXPOをご参照ください。

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