当院では、2008年末より「Discovery CT 750 HD」(以下、HDCT)が導入された。HDCTが従来のCTと大きく異なる点は、検出器素材にガーネットを利用した“Gemstone”検出器が搭載されている点である。この検出器の発光スピードは、一般的な検出器素材のGOS(ガドリニウムオキシ硫化物)の100倍以上であり、時間分解能が大幅に向上している。これにより、データ収集を短時間化し、view数を増加(2496views:従来の2.5倍)させることによって、被検体の詳細なサンプリングが可能となった。空間分解能、密度分解能が向上(画像辺縁での効果大)するとともに、メタルアーチファクト、ブルーミングアーチファクトなどが軽減されている。また、Gemstone Spectral Imaging(dual energy検査)や、500ch相当画像が収集可能なVolume Helical Shuttleを可能にしている。本稿では、従来よりも改良されたHDCTの操作系の説明とストリークアーチファクトの改善について述べる。
東京大学医学部附属病院放射線部
中田 健太 / 井野 賢司 / 長谷川浩章 / 美馬和男 |