Vol.11 躯幹部領域のトピックス −3T MRIを中心に MRIの敵・脂肪を制す。3T装置を生かす最新アプリケーションの有用性を検証する。

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第36回日本磁気共鳴医学会大会
−16年ぶりに北海道で開催−

 第36回日本磁気共鳴医学会大会(大会長・田中邦雄:旭川医科大学実験実習機器センター)が9月11日(木)〜13日(土)の3日間,旭川市・市民文化会館において開催された。第20回大会が1992年に札幌で開催されて以来,16年ぶりの北海道開催となる。田中大会長は,これまでのMRIの目覚ましい発展を振り返り,これからの発展につながるよう,「さらなる飛躍に向かって」という大会テーマを掲げた。久しぶりの北海道開催効果もあってか,一般演題は過去最多の552題(口演300題,ポスター252題)にのぼり,会場内6箇所にポスター会場が設けられた。また,隣接する旭川グランドホテルでは,ランチョンセミナーが7件,イブニングセミナーが1件行われた。

 本大会は,2008年1月から臨床使用が可能になった新しい肝特異性造影剤「Gd-EOB-DTPA(EOB・プリモビスト)」(バイエル薬品)に関する応募演題が集中したことが特筆される。口演における肝の造影セッション5つがすべて,Gd-EOB-DTPAの臨床的検討の発表であり,ポスターの肝・造影セッションでも13題の発表が行われた。Gd-EOB-DTPAの至適撮像法と描出能の検討を中心に,1.5Tと3.0T装置の比較検討,従来の造影剤との比較検討などの発表が行われ,有用性や今後の課題などが議論された。今後も引き続き,Gd-EOB-DTPAの臨床的検討が行われ,新たな知見が発表されることが期待される。

 本大会では,第34回大会からの国際交流の一環として,アジアとの交流を深めることをねらいとして,日韓合同シンポジウム「Recent advance of brain MRI : with emphasis on function related imaging」が企画された。延世大学のTae-sub Chung氏と京都府庁の成瀬昭二氏を座長に,日韓から3名ずつ計6名の演者から,MRIにおける最先端の研究発表が行われた。また,特別講演は2題設けられ,海外招聘としてオランダF. C. Donders CenterのDavid Norris氏が「Functional MRI, perfusion and diffusion」を,国内招聘として旭川医科大学学長の吉田晃敏氏が「ICTと医療の融合」をテーマに講演を行った。

 パネルディスカッションは,「1. わが国のMRMの現状と課題」「2. 3T MRIの現状と課題─腹部領域を中心に─」「3. 臨床MRSの現状と将来」「4. 検査目的から考えるMR撮像技術の工夫」の4つのテーマが設けられた。「1. わが国のMRMの現状と課題」では,乳腺MRIの関心の高まりとは裏腹に,認知度の低さや検査態勢不足,撮像法の不均一などの現状が浮き彫りにされた。乳腺MRIやMRガイド下生検の適用を明確に示した欧米のガイドラインとの隔たりは大きく,今後の課題である。「2. 3T MRIの現状と課題─腹部領域を中心に─」では,3T装置の普及がすでに100台を超えた現状を背景に,T1/T2コントラストや造影剤(SPIO, Gd-EOB-DTPA),DWI,MRA,MRCPに関する1.5T装置との比較検討などが発表された。腹部領域については,3T装置に適した撮像法を検討することにより,1.5Tと同等もしくはそれ以上の描出能・診断能が得られるとのことで,今後の有用性の広がりが期待される内容であった。

 次回の第37回大会は吉川宏起大会長(駒澤大学医療健康科学部)のもと,2009年10月1日(木)〜3日(土)の3日間,パンパシフィック横浜ベイホテル東急(横浜市みなとみらい)にて開催される予定である。

* GEYMSのランチョンセミナーの詳細はこちら

■問い合わせ先
日本磁気共鳴医学会 事務局
〒141-0022 東京都品川区東五反田5-24-9 五反田パークサイドビル4F
TEL:03-3443-8622  FAX :03-3443-8733
URL http://www.jsmrm.jp/indexj.html

会場全景 受付風景 田中邦雄大会長  
会場全景 受付風景 田中邦雄大会長
 
パネルディスカッション1「わが国のMRMの現状と課題」 第1会場 ポスター展示発表  
パネルディスカッション1
「わが国のMRMの現状と課題」
第1会場 ポスター展示発表

 

●機器展示  

 MRIのSignaシリーズ最上位機種2製品「Signa HDxt 1.5T」「Signa HDi 1.5T」を9月9日から同時発売した。GEが提唱してきた全身領域の三次元撮像“Volume MR”の必要条件である,高性能HDコイル,部位別Volume アプリケーション,秒間2700枚の高速リコンを進化させ,真のVolume MR を実現する。Signa HDxt 1.5Tでは,待望の新しいアプリケーションである“IDEAL”や“Cube”を搭載している。
  IDEALは,局所的な磁場不均一を克服しムラのない高精細な脂肪抑制画像の描出を可能にする究極の脂肪抑制技術である。Cubeは,3D FSE法によるアイソトロピックVolumeデータを取得する。新しいパラレルイメージングのARCとの併用で,撮像時間の短縮とsmall FOVでの撮像が可能になった。
  Signa HDi 1.5Tは,Signa HDxシリーズの機能性を継承しつつ,操作性を向上させた機種で,幅広い用途に応える汎用モデルである。

GEYMSの展示ブース
GEYMSの展示ブース


■問い合わせ
GE横河メディカルシステム(株)
担当:松井
TEL 042-585-9249
http://www.gehealthcare.co.jp/



「Signa HDxt 1.5T」と「Signa HDi 1.5T」
Signa HDxt 1.5TとSigna HDi 1.5Tは、全身領域の3次元(Volume)撮像を可能にした「Signa HDx」シリーズの後継機種で、Signaシリーズの最上位機種です。最大の特長は、頭・頚部や脊椎など撮影部位ごとに最適化された高性能コイル、部位別のVolumeアプリケーション、そして大量の撮影データの超高速画像再構築(リコンストラクション)という全身領域のVolume撮像に必要な3要素を搭載していることです。
Signa HDxt 1.5T


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●お問い合わせ先
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カスタマー・コールセンター 0120-202-021
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