エプソン販売
デュプリケーターとして,より多くの可能性を追求
近年ではフィルムレス化の波によりデュプリケーターを導入する施設が増えてきました。
エプソンのデュプリケーターを導入する施設も増えてきていますが,エプソンは独自の医療システムを持っているわけではありません。エプソンが提供するのは,デュプリケーターと医療ベンダーなどのベンダーが自社システムに組み込むためのソフトウエアです。だからエプソンのデュプリケーターには,より多くのベンダーに活用してもらえるようにさまざまな工夫が仕込まれています。今回はそれらをご紹介します(図1)。
図1 エプソンのデュプリケーター
近年のフィルムレス化の流れにより医用画像をフィルムではなく,CDやDVDなどの可搬媒体で受け渡しをする施設が年々増加しています。
フィルムレス化に欠かせないのがデュプリケーターです。従来のフィルムに替えて医療画像をCDやDVDなどの可搬媒体に焼くことでフィルムレスが実現し,コストも大幅に削減できます。エプソンのデュプリケーターは2008年2月に発売されましたが,医療ユーザーに導入されたのは2009年1月です。1年以上をかけ国産デュプリケーターの良さを実感してもらい,医療ベンダーを開拓し,ソフトを開発していただくための時間が必要でした。
しかしながら,わずか2年あまりの間で20を超える医療ベンダー,150を超える施設に採用されました。エプソンのデュプリケーターにおける基本スタンスは,ベンダー支援というのが特徴です。つまり独自の医療アプリケーションなどを持たないベンダーが,アプリケーションを構築するためのツール類を提供します。このこともあり,ユーザーはもちろんのこと,ベンダーからの要望には常に意欲的に取り組んでいます。
2011年の3月にPP-50という新製品がラインアップに追加されました。従来のPP-100と比べると書き込み用の内蔵ドライブを2基から1基に減らし,生産機能面でのスペックを落とすことにより,本体価格で20万円を切るというローコストを実現させました。
上位機(PP-100)では100枚までの一括作成が可能であったのに対し,PP-50では50枚までとなっています。病院で発行するCD/DVDは,現在のところ発行部数が多い施設でも1日に30枚程度であるために,この最大発行枚数の差による影響はほとんどないものと思われます。しかしながら,上位機PP-100の場合では,ドライブが1基故障しても残り1基での稼働が可能なこと,発行作業が集中した時などはやはり2基のドライブで生産した方が効率的であることなどから,上位機PP-100の方がお勧めであることには変わりありません。
また,PP-50を採用するベンダーが限られているので,導入に際しては必ず医療システムを提供するベンダーへの確認が必要です。
このように導入にあたってはいくつかの注意点もありますが,高価なイメージがあったデュプリケーターをより利用しやすい価格帯になってきたので,これを機に導入を検討する施設も多いのではないでしょうか(図2)。
図2 新製品のPP-50と上位機のPP-100
デュプリケーターは,光メディアへの自動書き込みを目的とした機械です。そのためにアームがメディアを1枚ずつピックアップしてドライブに搬送します。
そこで,書き込みだけでなく読み込みの機能を付加させれば,例えば患者様がお持ち込みになられたメディアをスタッカーに入れて,読み込みの指示を出すと,デュプリケーターはメディアをピックアップしデータを読み込み,サーバに格納するまでの一連の動作が自動で行えるようになります。そのようなコンセプトの機能を備えたデュプリケーターはすでに市販されていますが,読み込みだけのためにデュプリケーターを導入するには高価です。そこでエプソンでは,書き込み機能と読み込み機能を同時に実現させることを考えました。
これならば1台で2役こなすので,より効率的になります。
この機能は,アレイ社製の「AOC Ver. 1.5」にて早々に採用されました。ファイル取り込みのボタンを押すと1枚読み込み,複数枚連続読み込み,外付けディスクドライブからの読み込みを選択する画面が出てきますが,ここで複数枚連続読み込みを選択すると自動的にPP-100から読み込むようになります。また,設定を変更することにより書き込み用スタッカーと読み込み用スタッカーを同時に設定することができます(図3)。
ただし,書き込み,もしくは読み込みが終了したディスクは同じスタッカーに格納されるので,読み込み作業は夜間に行わせるなどの工夫が必要かもしれません。
図3 アレイ社AOC Ver. 1.5からの読み込み画面
他院から患者様が持ち込まれるCD/DVDのデータを院内のサーバに取り込むためには,セキュリティの面から必ず検疫が必要です。ほぼすべての施設では,手作業で1枚ずつPCのドライブに入れてウィルスチェックをしています。しかしながら,近年ではCDでの受け渡しが活発化しているために,検疫作業1つをとっても意外と手間のかかる作業となっています。
このようなこともあり,デュプリケーターを利用してウイルスチェックができないか,というご要望をしばしばいただくことが多くなってきました。そこで,このたび日本テクノラボ社製のオートウイルスチェッカーを使い,ウイルスチェック作業をある施設内で稼働させることに成功しました。
画面を見ていただければわかりますが,いたってシンプルなインターフェイスです(図4)。
オートウイルスチェッカーのソフトの起動後は,検疫をかけたいCD/DVDをスタッカー1に入れるだけで自動的に検疫作業が始まります。
図5のようにPP-50での利用を例にとると,傷などのために認識できなかったメディアやウイルスに感染したメディアはスタッカー3に排出され,問題がなかったメディアはスタッカー2に排出されます。
今回,連携するアンチウイルスソフトには,Symantec社製の「Endpoint Protection」を用いました。あくまでも自動でCD/DVDの感染の有無を調べるためのツールであり,駆除はしません。また,ウイルスの定義ファイルをダウンロードし感染の有無を調べるには,院内のサーバとは別回線を用意いただいた方がよいと考えます。これは感染ファイルを見つける可能性が高いため,感染ファイルを発見時には院内システムに与える影響が大きいからです。
簡易的な動作ログも日にちごとに取得できるので受け取りの実態も把握しやすいです(図6)。万が一,感染ファイルを見つけた場合には,Endpoint Protectionのログ情報を見ればその種類も判別できます。
図4 オートウイルスチェッカーの画面 |
図5 オートウイルスチェッカーはデュプリケーターをコントロールし,エラーメディア(ウイルス感染を含む)を検知し,正常終了メディアと分けてスタックします。 |
図6 ログ表示例
*文中に使用されている商標,サービスマークおよびロゴマーク(以下「商標等」という)は,エプソンおよびその他第三者の登録商標または商標です。
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