2025-3-5

東京タワーを背景に行われた意見交換会
自民党参議院比例区支部長の畦元将吾氏(元衆議院議員・日本診療放射線技師会 顧問)が,診療放射線技師・臨床検査技師の推薦を受けるのにあたり,両職種が直面している課題や法的問題を共有し,解決に向けた議論を行うため,2025年2月7日(金)に都内で意見交換会を行った。「診療放射線技師・臨床検査技師の未来を語る」をテーマに行われた意見交換会には,放射線技師側からは日本診療放射線技師会の上田克彦会長と日本診療放射線技師連盟の木暮陽介理事長が,臨床検査技師側からは日本臨床衛生検査技師会の代表理事会長を務める横地常広氏,日本臨床検査技師連盟代表の西浦明彦氏が参加,オブザーバーとして日本臨床衛生検査技師会専務理事の深澤恵治氏も加わり,活発な意見が交わされた。

畦元将吾 氏(元衆議院議員)
●診療放射線技師が抱える課題
まず,診療放射線技師が抱える課題として上田氏は(1)日本診療放射線技師会が行っている医療被ばく低減施設の認定制度への評価,(2)診療放射線技師の人員配置基準の設定,(3)ケアマネジャー受験資格への診療放射線技師の追加も含めた在宅医療充実のための体制整備,の3点を挙げた。加えて木暮氏は,医療DXへの貢献や災害時における診療放射線技師の活動,老朽化した医療機器の更新について指摘した。
また,医療従事者の人員不足や偏在は重要な課題であり,診療放射線技師についても例外ではない。これについて上田氏は,「われわれもITや医療DXの活用による業務効率の向上を強く意識し,会員にも伝達している」とした上で,政府からの評価や補助などへの期待を示した。さらに,同会が推進しているタスク・シフト/シェアについて木暮氏は,「最も大きなタスク・シフト/シェアは造影検査時における静脈路確保である。静脈注射看護師(IVナース)が不在な地方の施設などでは外来看護師を呼ぶ必要があるなど,業務上の効率が悪く,特に地方では技師の静脈路確保に対する関心も高いと感じるので,連盟としても後押ししていきたい」とした。

上田克彦 氏(日本診療放射線技師会会長)

木暮陽介 氏(日本診療放射線技師連盟理事長)
●臨床検査技師が抱える課題
一方,横地氏と西浦氏は,臨床検査技師の最大の課題としてともに処遇改善を挙げた。横地氏は,「現在の医療は,画像診断や検体検査がなければ立ちゆかない。われわれが医療において果たしている役割について,認知や評価を求めていきたい」と述べた。一方で,「就業人口の減少が続き,病院経営を取り巻く環境も厳しい中,医療DXや革新的な技術を導入し,生産性を向上させることを技師自らが考えることも重要である」として職域内での啓発の必要性を指摘。西浦氏もタスク・シフト/シェアについて,「医師の働き方改革が端緒かもしれないが,逆にわれわれにとって職域拡大のチャンスととらえて会員の意識改革を行うことが重要ではないか」と述べた。
両団体ともに,ITや医療DXの導入・活用による業務効率化は必須ととらえており,医療DXなどの促進のための財政支援などへの期待を示した。また上田氏は,「臨床衛生検査領域では精度管理が重要視され,第三者評価も進んでいる。われわれ放射線領域ではまだ道半ばであり,臨床衛生検査を参考にITやAIの活用も含めて取り組んでいきたい」と述べた。

横地常広 氏(日本臨床衛生検査技師会代表理事会長)

西浦明彦 氏(日本臨床検査技師連盟代表)
●課題解決に向けて:畦元氏への期待
これらの課題解決にあたって横地氏は「現在の医療体制を維持するためには,まず業務の効率化や合理化,生産性の向上に取り組み,課題を整理した上でエビデンスを付加して提言すべきではないか。また,医療施設ごとの機能分担やブランディングを行うことを提案したい」とした。さらに,「われわれが質の高いデータを持続的に提供していることなどを国会議員の先生方に理解していただくのが難しい面があると感じている。そのような意味でも,職能団体から国会議員を組織内候補として選出することは非常に重要だ」と述べ,畦元氏の国政復帰への期待を滲ませた。
また,木暮氏は「新しい装置は性能を加味した診療報酬とするなどの措置を設ければ,装置の更新が進むのではないか。また,ディスプレイや装置,読影医の労力がすべて合わさって適切な画像診断が行われる。その点を国政の場で伝えていただきたい」と述べた。
これらの意見を受け,畦元氏は「各職域が納得できる処遇や環境への改善には法改正が必要であり,両議連による議員立法を実現したい。処遇や環境の改善がひいては患者の安全や国民の健康を守ることにつながると考えており,衆議院議員時代にやり残した課題の解決に取り組んでいきたい」と締めくくった。

両職域の課題や取り組みについて活発な意見が交わされた