2024-11-19
多彩な領域から興味深い事例が報告された。
ザイオソフト(株)は2024年11月14日(木),医用画像処理ワークステーション「Ziostation REVORAS」(以下,REVORAS)のユーザー会「REVORAS User's Voice 2024ザ談会〜ユーザーが語るREVORAS活用の実際」をオンラインで開催した。2023年に発売されたREVORASは,「レンブラント」や「トランスペアレンシー」などの新たな画像表示法を実装。アプリケーションや新機能も順次搭載され,実臨床での導入が進んでいる。ユーザー会では,REVORASの各領域での活用について第一線で活躍する施設からの報告が行われた。
同社マーケティング部の新上典和氏の挨拶の後,山口隆義氏(華岡青洲記念病院放射線部)が座長を務め,第1部の発表が行われた。最初に登壇した新島友輝氏(慶應義塾大学予防医療センター)は,「慶應義塾大学予防医療センターREVORAS実活用例」と題して,予防医療や健診領域での活用について紹介した。新島氏は,同大学予防医療センターではREVORASをカルシウムスコア解析や心臓MRI,大腰筋測定に活用しており,自動解析の精度や再現性が高いことから人間ドックや健診事業において有用であると評価した。また,同センターでは立位CT画像による姿勢解析を行っているが,使用する独自開発の解析用アプリはネットワーク環境につながっていない。そのため,REVORASのデスクトップ上にアプリを導入,REVORASのインポート・エクスポート機能を用いて画像解析や解析レポートのPACSへの転送を行うなど,独自の運用を行っていることを紹介した。さらに,同センターは2023年に大学病院敷地内から麻布台ヒルズに移転したのに伴い,大学病院との業務共有が難しい環境になっている。そこで,REVORASサーバーを中継地点として検査装置とクラウドPACS間をつなぐことで,ネットワーク上のセキュリティを維持しつつ画像処理業務を共有し,業務の効率化を検討していることなどを紹介した。
続いて,2演題目として細田直樹氏(三井記念病院放射線検査部)が「循環器領域におけるREVORASの活用」について報告した。細田氏は,冠動脈CT画像におけるREVORASの血管内腔の自動抽出精度の向上を評価した上で,解析画面のレイアウトが同社の従来のワークステーション「Ziostation2」と類似しており,抵抗なく移行可能であると述べた。さらに,急性冠症候群(ACS)では陽性リモデリングや低CT値プラーク,微小石灰化,ナプキンリングサインなどがハイリスクプラークとされており,CT guided PCIを意識した画像を提供し,早期の診断や治療介入につなげることが重要とした。また,REVORASに新たに追加された冠動脈周囲脂肪組織(FAI)の定量解析への期待についても言及した。
第2部では,整形外科領域と手術支援での事例について,平野 透氏(柏葉脳神経外科病院先端医療研究センター)を座長として報告が行われた。まず,整形外科領域について小村哲也氏(浜脇整形外科病院放射線科)が「REVORASと活きる〜整形外科のトリセツ〜」と題して発表した。小村氏は,同院でのREVORASの運用について,電子カルテ端末のデスクトップからも確認できるほか,手術室用マニュアルを作成するなど,医師や看護師の使用を想定した環境作りを進めていることなどを紹介した。さらに,REVORASのビューモード機能はアクセス数にカウントされず,同時接続に制限がある施設では特に有用ではないかと述べた。また,レンブラントやトランスペアレンシーの適用で,より見やすく手術に適した画像の提供が可能になったと評価し,REVORASに新たに追加されたMR骨抽出機能を応用し,靭帯や腱,半月板など骨以外の情報の抽出が可能になったことなどを紹介した。
最後に,市尻航輝氏(倉敷中央病院放射線技術部)が「術野を照らす新たな光〜REVORASによる手術支援〜」と題して手術支援への活用について報告した。同院では,REVORASを診療放射線技師による3D作成や呼吸器外科医による手術計画,循環器内科医による心臓MRIの診断などに使用している。市尻氏は,REVORASでは3D解析アプリケーション上で非剛体位置合わせが可能になったことで,作業負担が大幅に軽減されたことなどを評価した。また,レンブラントの適用により,胃がん術前画像では2D画像でも奥行き方向が認識しやすく,術中に画像を回転させることなく解剖の把握が可能になり,消化器外科医から好評価を得ていることなどを紹介した。さらに,頸動脈内膜剥離術(CEA)や膵臓がん,腰椎前方固定術などの支援画像を供覧した。
第2部の座長・演者による座談会では,レンブラントの有用性について改めて評価した上で,今後の期待としてレンブラントとトランスペアレンシーの併用や保存時の画像容量の改善などが挙げられた。
●問い合わせ先
ザイオソフト(株)
https://www.zio.co.jp/