2024-10-28
テーマは
「サステナブルな医療の実現に向け未来をリードする」
GEヘルスケア・ジャパン(株)は2024年10月26日(土),「Edison Seminar 2024」を開催した。会場は,大手町プレイスホール&カンファレンス(東京都千代田区)。恒例となったEdison Seminarであるが,医療の課題や環境変化など,画像診断,放射線診療に限らず,医療機関経営・マネジメントに関する時流をとらえたテーマでプログラムが構成され,ユーザーにとって重要なイベントになっている。今回は,「サステナブルな医療の実現に向け未来をリードする」をテーマに,2部構成で講演やパネルディスカッションなどが設けられた。まず大成学志氏(執行役員超音波本部長)がオープニングの挨拶を行い,同社がユーザーの伴奏者として一緒に医療や経営の課題を解決する企業であると強調した。
この挨拶に続き,第1部「アウトカムに繋げる技術と資源の最適化」と題して,講演とパネルディスカッションを行われた。まず,園生智弘氏〔TXP Medical(株)代表取締役〕が登壇し,「先進技術の視点より『データ集約と活用で変わる医療現場」をテーマに講演した。救急科専門医でもある園生氏は2013年に同社を創業。現在,同社は,救急医療データシステム「NEXT Stage ER」などを提供し,成長を続けている。さらに,システムのデータを連携・統合して,治験や臨床研究支援といったデータ活用事業も展開している。加えて,生成AIの医療への応用も進めており,救急医療における医師・看護師の音声入力アプリ「Speech ER」の販売を予定しているほか,転院調整システム「NEXT Stage CONNECT」で大規模言語モデル(LLM)を用いた紹介状作成機能を提供している。園生氏はこれらを説明したで,電子カルテに対する競合優位性などを説明した。
この後行われたパネルディスカッションでは,神野正博氏(社会医療法人財団董仙会恵寿総合病院理事長)と裵 英洙氏(慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科/経営管理研究科特任教授),園生氏をパネリストに,「人財・経営・環境構築の視点より」がテーマとなった。ファリシテーターは,川端 亮氏(ペイシェントケア・ソリューション本部本部長)が務めた。まず神野氏が,働き方改革を進めるためにはタスク・シフティングとタスク・シェアリングが重要であるとし,そのための医療DXについての考えを示した。さらに,DXに取り組むためのキーワードとして,Redesign(ゼロから見直す業務・組織改革),Reduction(仕事の棚卸し),Reskilling(業務の拡大・キャリアチェンジ)を挙げ,同院が取り組んだ職員用のiPhone導入,モバイル電子カルテなどの成果を紹介した。また,裵氏は,業務効率化への取り組みで重要となる金銭,学習,リカバリーの3つのコストと,医療の質,患者数,単価,労働時間のリターンについて説明。業務効率化を進めるためには経営効率と現場納得の2つの視点が重要だと述べた。この後,ディスカッションが行われ,多職種連携の重要性や課題を乗り越えるための方策,医療DXのためのコストの考え方,継続的にアウトカムを出すポイントについて意見が出された。
次いで行われた第2部では,「技術活用のその先へ: 組織運営の新機軸」をテーマに,2題の講演とフロアディスカッションが行われた。先に,若林正基氏(代表取締役社長兼CEO)が登壇し,「Beyond Imaging:持続可能な医療を拓くGEヘルスケアの共創力」をテーマに講演した。米国のGEは2023年に分社化し,ヘルスケア部門はGE HealthCareとした新たなスタートを切った。同社CEOのピーター・J・アルドゥイーニ氏は,患者のケアパスウェイにおいて臨床的に意義のある貢献をすること,AIを中心とした新技術を実装した患者中心の医療を実現することをめざすとしている。さらに,日本市場を重要視しており,日野工場への投資を行い技術開発・発信の拠点にしていくと述べている。若林氏は,これらを説明をした上で,日本の医療の課題として,医療リソースの需要増加と供給のミスマッチがあると指摘し,医療機関には課題解決に向けて多面的な視点と適材適所の組織体制の構築が求められると言及。「コマンドセンター」を活用した現場主導の行動変容と経営最適化について紹介し,GEヘルスケア・ジャパンが単なる医療機器メーカーではなく,課題解決のために顧客に寄り添うパートナーであることを強調した。
続いて,小泉正樹氏(社会医療法人ジャパンメディカルアライアンス理事)が座長を務め,瀧澤洋美氏〔ヒルトン・ワールドワイド・インターナショナル・ジャパン(同)リージョナル人事企画統括本部統括本部長〕が,「組織の文化醸成『ヒルトンにおける行動変容を加速する取り組み』」をテーマに講演した。瀧澤氏は,ヒルトングループが宿泊者などにホスピタリティを提供するために重視するビジョン,プロミス,バリュー,プライオリティを説明して,チームメンバー(従業員)の学びや成長のためのプログラムなどを紹介した。
この後に続くフロアディスカッションでは,若林氏,小泉氏,瀧澤氏が会場から寄せられた質問に回答する形で進められた。ファシリテーターは増岡純一氏(首都圏地域統括部長)が務めた。最初に小泉氏が同法人で導入したコマンドセンターのメリットについて,職員自らが考え旧来の慣習を改善し,自分たちの未来を考えるようになっていると説明。システムやツールは手段に過ぎず,それを通して人が変化,成長できるのかが重要だと強調した。また,会場からは,医療機関に多いとされる縦割り組織を機能させる手法などについて質問が寄せられ,3名がそれぞれの考えを示した。
すべてのプログラム終了後には,松岡慎一氏(執行役員イメージング本部長)がクロージングの挨拶をして,盛況のうちに閉会となった。
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