2024-2-26
ポケットエコー「Vscan」を使ったハンズオンを開催
2024年2月10日(土),11日(日)の2日間,第19回若手医師のための家庭医療学冬季セミナー(主催:日本プライマリ・ケア連合学会)が国立京都国際会館(京都市左京区)にて開催された。同セミナーは,若手医師による若手医師のためのセミナーとして始まったもので,家庭医療,総合診療,プライマリケアにかかわる専攻医や初期研修医ら若手医師が多く参加する。
初日には,「在宅POCUSハンズオンセミナー“POCUSで切り開く新しい視点からの在宅医療”」が設けられた。講師は,植村和平氏(北海道家庭医療学センター/名寄市立総合病院)と室原誉伶氏(薩摩川内市下甑手打診療所)が務め,ほか9名の共同講師とともに約40名の参加者を対象に,GEヘルスケア・ジャパンのポケットエコー「Vscan」などを使ったハンズオンセミナーが行われた。講師を務めた植村氏は,総合診療におけるエコー活用の普及をめざし,学会発表や執筆,若手医師の育成活動に精力的に取り組んでいる。
ワークショップのイントロダクションで植村氏は,「訪問診療は,病院医療と比較して医療資源が限られている。発熱や呼吸苦,腹部症状などで往診する際には,問診と身体診察だけでは診断や治療方針決定の判断が難しいことが多いが,エコーがあることで対応できる幅が広がる」と述べた。ハンズオンでは植村氏がポケットエコーで実践しているメニューから,「発熱(肺炎,尿路感染症,胆道系疾患)」「ボリューム管理(脱水,体重増加,心不全)」「運動器・エコーガイド下穿刺と注射」の3つが取り上げられ,参加者は実際にポケットエコーなどを用いて,エコーの解剖やチェックすべきポイントなどについて学んだ。
植村氏は,今回のハンズオンセミナーのねらいや在宅POCUSの意義について,次のように説明する。
「在宅でのニーズが高い発熱については,肺炎は酸素飽和度や呼吸音で判断できますが,それ以外の疾患は身体診察では診断が難しくエコーが有用です。在宅患者にむくみや体重増加があれば心不全かどうかが気になりますが,心エコーで心不全を診断できれば様子見をして悪化させることなく早期の介入が可能になります。また,総合診療では内科をベースにしていて関節穿刺や注射に苦手意識がある先生も多いと思いますが,エコーを当てれば運動器の解剖がわかりますし,エコーガイド下で手技を行うことで安全・確実に遂行できます。
在宅医療においてエコーは非常に有用ですが,まずは取り組まなければ診療の幅は広がりません。在宅医療の現場では,医師の経験とスキルに医療の質が規定されやすいので,へき地であったり,都市部でも医療機関に行けなかったりする患者に対しても質の高い医療を提供するために,在宅POCUSの活用が進んでいけばと思います」
●問い合わせ先
日本プライマリ・ケア連合学会
https://www.primarycare-japan.com
GEヘルスケア・ジャパン(株)
https://www.gehealthcare.co.jp/