2023-4-17
PHCグループの新会社ウィーメックスが事業戦略を発表
ウィーメックス(株)は2023年4月13日(木),設立後初となる事業戦略発表会を渋谷ストリームホール(東京都渋谷区)にて開催した。ウィーメックスは,PHC(株)のメディコム事業部とPHCメディコム(株)を統合したPHCホールディングス(株)100%出資の事業子会社で,2023年4月1日より事業を開始した。新会社設立により,国内シェア1位の診療所向け電子カルテシステム「Medicom」シリーズやレセプトコンピュータなどのヘルスケアIT製品については,企画・開発から販売までをワンストップで提供する体制となる。また,PHCグループが成長領域に位置づけているデジタルヘルスソリューション事業を担い,診療所や調剤薬局の医療DXを加速させる事業を推進するとともに,PHCグループの(株)LSIメディエンスの健康診断サポート事業を継承する。ヘルスケアIT事業部,デジタルヘルス事業部,ウェルネス事業部の3事業部体制で,それぞれ取り組みを進めていく。
事業戦略発表会では,代表取締役社長の大塚孝之氏,デジタルハリウッド大学大学院特任教授/東京医科歯科大学医学部臨床教授/アイリス(株)共同創業者・取締役副社長CSOの加藤浩晃氏,デジタルヘルス事業部事業部長の池田孝史氏が登壇した。
はじめに,大塚氏が新会社の設立背景や事業戦略,今後の展望などを説明した。ウィーメックス設立までの沿革を紹介した大塚氏は,1972年に三洋電機にて国内初の医事コンピュータを発売し,その後もいち早く電子カルテシステムを製品化するなど,約50年の歴史を持つ医療DXの先駆者であるとし,ウィーメックスは医療業界のデジタル変革を加速させることを目的に設立したと紹介した。そして,1)強い顧客基盤,2)全国に広がるサポート体制,3)政策への迅速な対応力,4)製品開発における先進性を強みに医療DXを推進し,製品・サービスを通じて,「医療従事者の業務効率化・価値向上」「予防医療への貢献」「医療ビッグデータ活用で新たな価値創造」という価値を提供していくとした。
大塚氏は事業戦略について,1)健康経営(企業・健保向けソリューション),2)クラウドサービス連携(クラウド対応製品の拡充,多様な企業とのサービス連携など),3)医師向けソリューション(医療・経営情報分析,人材派遣,BPOサービス),4)医療ビッグデータ分析の4つの領域にフォーカスしていくと説明。ウィーメックスは,医療機関だけでなく生活者のために,デジタル化の支援に加えてウェルビーイング(身体的健康にかぎらない健やかさの追求)実現に向けて挑戦していくとの意気込みを語った。
続いて,加藤氏が「日本の医療の現状と課題 医療のデジタル変革(DX)」をテーマにプレゼンテーションを行った。加藤氏は,大都市圏の高齢化と医療需要の高まり,疾病構造の変化,医師の働き方改革などを背景とした,医療提供の格差や高騰する医療費,医療者の労働環境などの課題を早急に解決する必要があり,そのためにデジタル活用による医療変革が求められていると指摘。政府の医療DX関連の方針について解説した上で,全国医療情報プラットフォームやPHRにおいてカギとなるのが,マイナポータルやオンライン資格確認等システムであることを解説し,今後,医療は多角化・個別化・主体化の方向に変化していくとの見方を示した。そして,ウィーメックスについては,オンライン資格確認やPHRを率先して進めている企業であるとして,「ウィーメックスが,政府が考える医療DXを中心となって推進していくことを期待している」とエールを送った。
最後に登壇した池田氏は,PHCが成長領域と位置づけるデジタルヘルスソリューションを担う部門であるデジタルヘルス事業部の概要と展望について発表した。同事業部では,「新しい組織文化を作る」「新ビジネスの継続的な立ち上げ」をミッションに,デジケアプロダクト部,遠隔医療ソリューション部,技術基盤部,新規事業開発部の4つの組織で形成することを説明。既存事業と融合や医療・研究機関との連携を進め,取り組みを展開していくと紹介した。
●問い合わせ先
ウィーメックス(株)
https://www.wemex.com/