2023-3-9
検査室・操作室を再現したショールームで
製品デモンストレーションが行われた
バルコ(株)は,新製品を含む最新ディスプレイや映像配信/画像統合ソリューションを紹介するメディアカンファレンスを2023年3月8日(水)に同社内(東京都大田区)で開催した。カンファレンスでは,フィールドマーケティング部長の倉田 梓氏の進行の下で事業部ごとのプレゼンテーションが行われた。最初に登壇した代表取締役社長兼メディカルイメージング事業部長の加藤浩典氏は,同社の事業展開や業績などについて発表。2022年度の業績について,2021年度対比で売り上げが32%上昇し,2023年度以降もさらなる成長が見込めるとした。また,2023年度には自社事業の二酸化炭素排出量を35%,自社製品の消費電力量を25%それぞれ削減するほか,売り上げに占めるECOラベルの割合を70%以上とする目標を掲げるなど,グローバルに展開する企業として環境問題に積極的な取り組みを行っている姿勢を改めて示した。
続いて,メディカルイメージング キーアカウントマネージャーの増子由康氏が同社のメディカルイメージング事業について紹介した。同事業では,従来からのPACS向けディスプレイやマンモグラフィのラインアップに,新たに同社初のデジタルパソロジー(病理学)向けディスプレイが加わった。2022年に発売された27インチ8MP超高解像度ディスプレイ「MDPC-8127」は,デジタルパソロジーで初のFDA使用許可を取得しているほか,10億7000万色のカラー表示や高速画像表示機能「RapidFrame」搭載により,デジタル病理学のより確かな診断やワークフロー向上に貢献する。増子氏は,学会出展や他メーカーなどとの協力により,本格導入を進めていきたいと述べた。また,読影室で定着しつつあるワイドモニタについて,同社の「Coronis Fusion」シリーズは12年前から展開し,特に5世代目となる「Coronis Fusion 6MP(MDCC-6530)」はスペック向上やスリム化・軽量化などを重ねてきたとした。さらに,4万時間の輝度保証時間や4MP(MDCC-4430)の維持など,同社の強みをアピールした。加えて,2台のワークステーションを切り替え可能なKVM機能のほか,高解像度のディスプレイ表示内容をプロジェクタなどの解像度に合わせて自動的にリサイズする「Conference Cloneview」や画面内のアプリケーションごとに異なる輝度を割り当て,使用者の目の疲労を抑える「AAM(Application Appearance Manager)」,マウスカーソルの位置で自動的に輝度を調整する「DimView」など,読影負担軽減に貢献する同社独自の機能を紹介した。
最後に,サージカル&モダリティ事業部長の今井勝正氏が登壇し,非圧縮IPビデオソリューション「Nexxis」による映像配信/画像統合ソリューションや,新製品の4K UHD解像度55インチ外科用ディスプレイ「MDAC-8355」を紹介した。MDAC-8355は,ディスプレイ自体に同社独自の画像合成機能を搭載し,Nexxisや画面分配器を使用することなく最大16レイアウトのマルチモダリティ画像を表示できる。また,モダリティ(画像)ごとに解像度や色温度,表示モードの設定が可能で,輝度安定性やDICOMキャリブレーションが保証されている。今井氏は,これらの性能や特徴を解説し,さらにディスプレイ単体のため価格面で導入ハードルが低いというメリットを挙げた。一方,Nexxisではアンギオ/X線TV手術室向けソリューション「Nexxis IVR Solution」や,操作室のワークフローを改善し,低コストかつ簡便に院内映像配信ソリューションを構築する「Nexxis WorkSpot」,ITEM2022で初展示されたライブシステム「Nexxis Live」が紹介された。Nexxis Liveは,リアルタイムに手術室の映像や音声を双方向で外部配信でき,標準ライセンスでは6名が外部からコラボレーションモードで同時参加し,会話やチャット,アノテーションでコラボレーションが可能である。今井氏は,これらのラインアップにより,手術室や検査室,操作室への対応や院内外への配信が可能となり,システムがコンプリートされたと述べた。
プレゼンテーション後にショールームで行われた製品デモンストレーションでは,新製品のMDAC-8355をはじめとする各装置のほか,ITEM2023で参考展示予定の超音波診断装置用ディスプレイ「MDAC-2323 Dual-layer LCD display」などが紹介された。
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バルコ(株)
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