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検査説明をテーマに,第5回MRI安全Webワークショップが開催

2023-2-14

検査説明をテーマに開催

検査説明をテーマに開催

一般社団法人安全なMRI検査を考える会は,2023年1月27日(金),第5回MRI安全Webワークショップを開催した。今回は,「あなたは説明責任を果たしていますか? 安全なMRI検査は検査説明から」をテーマに取り上げ,被検者への検査内容,注意事項の説明などをどのように行うかを考える機会となった。診療放射線技師だけでなく,ゲストコメンテーターとして看護師,臨床心理士が参加し,多角的な視点からノウハウを共有した。司会進行を土`井 司氏(高清会高井病院),コーディネーターを内田幸司氏(情報通信研究機構)が務めた。開始に当たり,土`井氏が,今回のワークショップについて,被検者がMRIの危険性を知らないまま検査を受けている懸念があるとし,検査説明や対応を考える機会として設けたと趣旨を述べた。

ワークショップでは,まず高橋光幸氏(横浜栄共済病院)が適切な検査説明の内容を解説した上で,説明不足により検査直前になってから人工弁が留置されていることが判明し不適合となったケースを紹介した。また,矢部邦宏氏(山形県立新庄病院)は,検査時に騒音が発生することを被検者が理解していなかった事例があったと述べた。ゲストコメンテーターとした参加した看護師の新村美佐香氏(菊名記念病院)は,人工内耳を装着したまま検査を施行したため故障してしまい補償が生じたケースなどを取り上げ,診療放射線技師が説明をしても被検者の理解が十分でなく,検査が施行されてしまう場合があると報告した。さらに,土橋俊男氏(令和あらかわクリニック)は,デバイスカードの提示を求めないまま検査が行われた事例を共有した。このほか,山本晃義氏(戸畑共立病院)は,検査説明の重要性を認識した経験として,ウエアラブルデバイス(持続血糖測定器)装着者に検査を施行した経験を紹介した。このケースでは,脊椎固定金属デバイスも装着しており,担当技師は金属探知機の反応がそれに対するものと誤認して検査を施行してしまったという。この経験を踏まえて,同院では以後ウエアラブルデバイス装着を意識したチェックを行うようにしている。これらの事例を踏まえて,高橋順士氏(虎の門病院)は,声だけではなくゼスチャーを交えて確認すると高齢者にもわかりやすいと解説をした。また,平野浩志氏(抱生会丸の内病院)は,被検者が理解できているかを確認していなかったり,詳細な内容を省略して検査説明をしていたりすることが,インシデントにつながっている可能性があると指摘した。

次に,高橋光幸氏からMRI安全Web(https://mri-anzen.or.jp )が行った,検査予約時の被検者チェックに関するアンケート結果が報告された。さらに,リアルタイムアンケートも実施され,検査説明を行う職種について視聴者が回答した。こうしたアンケートの結果などを踏まえて,後藤和久氏が,被検者の立場からMRI検査における不安などの心理状態を説明。患者の不安を理解した上で,検査説明を行うべきであるとの見解を示した。

リアルタイムアンケートでは,MRI検査を受けた経験の有無についても質問した。この結果を基に,土橋氏からは,専門用語の頻用を避けるなど,被検者の立場を理解して説明を行うことが大切だとの意見が出された。また,臨床心理士の川居利有氏(高清会高井病院)が,高齢者や検査に不慣れな被検者の心理状態とその対応を解説した。さらに,平野氏がクレーム対応について解説し,クレームの理由を考慮して被検者に寄り添い,声をかけることが重要であると述べた。一方で,検査担当者だけでなく,医療機関としてどのように取り組むべきかについても意見が出された。土橋氏は,医師や看護師,事務職員も含め,検査の内容を理解してもらい,放射線科,医療機関全体として取り組む必要があると述べた。

最後に土`井氏が,組織全体で取り組むことが求められると述べ,ワークショップを締めくくった。なお,安全なMRI検査を考える会は,検査説明の課題を踏まえ,安全な検査を施行するための「患者さんとご家族のためのMRI検査説明支援ツール」を制作して,2023年3月から提供を開始する予定である(https://growlab.co.jp/mriinformed/ )。

「患者さんとご家族のためのMRI検査説明支援ツール」は2023年3月に提供開始予定

「患者さんとご家族のためのMRI検査説明支援ツール」は2023年3月に提供開始予定

 

●問い合わせ先
一般社団法人 安全なMRI検査を考える会
E-mail safety@mri-anzen.or.jp
https://mri-anzen.or.jp/