2023-1-5
AI技術を用いた椎体計測ソフトウエア「Smart QM」
東京慈恵会医科大学と(株)島津製作所は,骨粗鬆症の診断を容易かつ効率的に行うための椎体計測ソフトウエア「Smart QM」を開発した。2022年12月22日(木)には,Smart QMの発売に当たり,オンラインで記者発表会を開催した。
Smart QMは,人工知能(AI)を用いて,椎体骨折の判定におけるquantitative measurement(QM)法による計測を容易にする。QM法では,胸椎・腰椎のX線撮影後に,椎体の前縁高,中央高,後縁高のそれぞれ2か所ずつ計6つの測定点を設定して計測を行う。さらに各計測値から,中央高/前縁高,中央高/後縁高,前縁高/後縁高を算出する。中央高/前縁高,中央高/後縁高の値が0.8未満,または前縁高/後縁高が0.75未満の場合は,椎体骨折と判定される。しかし,QM法は,撮影時のポジショニングの影響を受けやすく,計測にも時間を要するといった課題があった。Smart QMでは,撮影後にMask R-CNNモデルを用いて,各椎体の位置を特定して位置情報を取得。その上で,EfficientNetベースの転移学習モデルにより,6つの測定点を算出する。計測するための元画像は,立位・臥位の各側面撮影からの取得に加え,PACSに保管された撮影ずみデータでもよい。また,計測実行後にはレポートを作成し,電子カルテやPACSに保管できる。
記者発表会には,同大学整形外科学講座主任教授の斎藤 充氏,同社医用機器事業部グローバルマーケティング部市場戦略グループ長の工 幸博氏が出席した。斎藤氏は,超高齢社会の日本では,骨折・転倒が要介護になる原因の第3位となっているとし,椎体の圧迫骨折がある場合,大腿骨骨折のリスクが高まると指摘。椎体骨折の判定に用いるQM法や,骨粗鬆症の診断基準などを解説した。
●問い合わせ先
株式会社島津製作所
医用機器事業部 グローバルマーケティング部 販売促進G
TEL 075-823-1271
http://www.med.shimadzu.co.jp