2022-8-10
「NAEOTOM Alpha」の初期使用経験を紹介する
セミナーをオンラインで開催
シーメンスヘルスケア(株)は2022年8月9日(火),フォトンカウンティングCT「NAEOTOM Alpha」の国内初号機を導入した東海大学医学部付属病院における,導入後の医療現場の変化と今後の課題をテーマとしたプレスセミナーをオンラインで開催した。セミナーには,同社ダイアグノスティックイメージング事業本部事業本部長の桜井悟郎氏と同社CT事業部プロダクトマネージャーの田中秀和氏,オンラインにて東海大学医学部画像診断学領域主任教授の橋本 順氏,東海大学医学部付属病院診療技術部放射線技術科係長(CT部門)の吉田亮一氏が登壇した。
東海大学医学部付属病院は,シーメンスが世界で初めて製品化したフォトンカウンティングCT NAEOTOM Alphaの国内初号機を,2022年6月に導入し稼働を開始している。セミナーでは,桜井氏による開会の挨拶と,東海大学医学部付属病院におけるNAEOTOM Alphaでの検査の様子などを動画で紹介した後,導入による診療の変化について,橋本氏と吉田氏が報告した。
橋本氏は,フォトンカウンティングCTは,究極の高精細と多彩なコントラスト表現という特性を持った装置であると述べた上で,これまでのCTの変遷を説明。ベンダーごとに特徴を持ってCT開発が行われてきたが,シーメンスがNAEOTOM Alphaを発売したことでCTの新時代が開かれたとした。そして,NAEOTOM Alphaの臨床へのインパクトとして,「高精細画像」「大幅な被ばく低減」「物質選択的なイメージング」の3つを挙げ,それぞれについて実際の臨床画像を示して説明した。高精細画像については,骨梁や中耳・内耳,肺病変の画像を示し,明瞭に描出可能なことを紹介。また,被ばく低減については,副鼻腔撮影で0.015183mSvという従来CTの1/15程度の超低線量で良好な画像を得られるとした。さらに,物質選択的なイメージングについては,従来の2管球CTによるdual energy CTによるイメージングと比較しながら,その有用性を解説した。
次に吉田氏が,撮影現場におけるNAEOTOM Alphaのメリットについて報告した。ポジショニングにおいては,従来は診療放射線技師が目視で確認しマニュアルでポジショニングしていたため,技師の経験年数などにより差が生じていたが,NAEOTOM Alphaでは天井に設置した「FAST 3D Camera」で患者をとらえ,人工知能(AI)技術により最適な位置にオートポジショニングが可能になり,技師によるバラツキのない画像を得られるようになったことを紹介した。また,寝台移動はリモコンによるリモート操作も可能で,感染症患者への対応に非常に有効だと述べた。検査画像については,一度の撮影で多種の画像を出力できることや,体幹部を1秒未満,かつ従来よりも低被ばくで撮影できるといったメリットがあることを報告した。
続いて,NAEOTOM Alphaのさらなる活用に向け,田中氏の進行の下,橋本氏と吉田氏が初期経験を経ての課題と期待について報告した。橋本氏は,臨床画像の読影経験を踏まえた課題として,NAEOTOM Alphaの画像は従来CTと画質がかなり異なることから,フォローアップで従来CTの画像と比較する際に,所見の違いが経時・治療効果による変化か,フォトンカウンティングCTの高画質化による変化かを認識するのに慣れが必要だと指摘。また,0.2mmのような非常に薄いスライスの画像も作成できることで,従来CTではわからなかったような微細な構造や病変も観察できる一方で,わずかな体動でも画像に影響するため,頸部撮影でも息止めをするなど極力体動が生じないような工夫が必要だと述べた。NAEOTOM Alphaへの期待としては,エネルギー情報を活用し物質特異的な画像を得られることから,新しい造影剤の開発につながることや,高画質化で従来見えなかったものが見えることで,治療方針の選択まで踏み込める可能性があるとの見方を示した。
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シーメンスヘルスケア(株)
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