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コニカミノルタ,メディア向けにヘルスケア事業説明会を開催

2022-7-28

注力領域の一つである動態撮影技術

注力領域の一つである動態撮影技術

コニカミノルタ(株)は2022年7月21日(木),ヘルスケア事業に関するメディア向け説明会を浜松町ビルディング(東京都港区)で開催した。登壇した上席執行役員ヘルスケア事業本部長の小林一博氏は,同社のヘルスケア事業の方向性について,X線撮影装置や超音波診断装置などの身近なモダリティやITサービスを進化させ,「簡便に高度な診療」を可能にすることをめざし,「見えないものを見える化」する高付加価値イメージングと医療IT,ソフトウエアの各分野に重点を置き,高付加価値とIoT,パートナー企業との価値共創や顧客とのスマートコミュニケーションを4つの核として事業を推進していると述べた。その上で,特に注力している領域として動態解析技術と超音波診療,医療ICTサービスの3つを挙げ,それぞれの概要と戦略について紹介した。

小林一博 氏(上席執行役員ヘルスケア事業本部長)

小林一博 氏(上席執行役員ヘルスケア事業本部長)

 

同社ヘルスケア事業戦略の枠組み

同社ヘルスケア事業戦略の枠組み

 

1つ目の動態解析技術は,一般X線撮影装置で撮影した動画像をX線動画解析ワークステーション「KINOSIS」で解析することで動きの定量化や肺機能情報の可視化などを実現,従来の形態情報に加え,生理的情報の提供を可能とした画期的な技術で,4年前に同社が世界に先駆けて実用化した。胸部画像領域から活用領域を徐々に拡大,現在は整形・運動領域への応用が進められている。さらに,2022年3月に動態撮影が可能な回診用X線撮影装置「AeroDR TX m01」が発売され,ベッドサイドでのワイヤレス動態撮影も可能となった。小林氏は,これらの概要をまとめた上で,AeroDR TX m01を用いて撮影した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)症例の事例などを紹介しつつ,同技術の今後の発展に期待を示した。

2つ目の注力領域である超音波診療では,同社は2014年の本格参入以降,診療領域を拡大し,現在は整形外科や産科などの領域でトップクラスの位置を占めている。小林氏は,同社の超音波診断装置の特徴として,フィルム技術を応用したプローブと画像処理技術で高画質化を実現したことを挙げ,さらに今後の戦略として,医療においてより低侵襲性が求められる中,特に超音波ガイド下で行われる穿刺治療・処置に重点を置き,超音波「診断」から超音波「診療」への進化に取り組むほか,人工知能(AI)の適用範囲を超音波領域にも広げていきたいと述べた。

最後に,医療ICTサービス「infomity」について,サービス領域を従来の医療機関から,その先の患者まで拡大し,遠隔医療を軸に患者と診療所をつなぎ,One stopの医療サービスを提供していくとした。また,生活習慣病患者とクリニックをつなぎ,infomityを通じて患者の行動変容を促すサービス「スマートケア」の実装に向けて準備を進めていくほか,infomityを患者と医療機関を結ぶ重要なインフラとしてさらに発展させ,DXが求められている医療業界に貢献したいと述べた。

小林氏による説明の後,動態撮影技術,超音波診療,ウィメンズヘルスケアの3領域について製品デモンストレーションが行われた。このうちウィメンズヘルスケア領域では,コニカミノルタが提供する乳がんの診断・治療ソリューションが紹介された。同社は,乳がん診療において近年普及しつつあるマンモグラフィと超音波の併用検診を支援する一連のソリューションを提供。マンモグラフィ診断支援ソフトウエア「MGCAD-i」は,高度な画像解析技術により,乳がんの病変が疑われる領域を自動で検出,表示するほか,乳房構成解析ソフトウエア「Breast Density Assessment(Bda)」は,精中機構ガイドラインに沿った解析アルゴリズムで乳房構成を定量的に判定することで,マンモグラフィ読影を支援する。また,乳房超音波検査の精度向上を支援する「シェーマリンク」機能は,マンモグラフィ画像上で指定した病変情報をエコーシェーマ上に反映し,超音波検査時に参照することが可能である。デモンストレーションを通じて,これらの機能やソフトウエアにより,乳がんの発見率向上や拾いすぎの低減,検査ワークフロー向上に貢献することがアピールされた。

乳がん超音波併用検診をサポートする一連のソリューション

乳がん超音波併用検診をサポートする一連のソリューション

 

「シェーマリンク」機能(左)と「MGCAD-i」による解析結果(右)

「シェーマリンク」機能(左)と「MGCAD-i」による解析結果(右)

 

さらに,乳がん患者の早期社会復帰を支援するソリューションとして,乳房小線源治療用アプリケータ「SAVI」も展示された。従来の乳房温存療法では,術後の全乳房照射に5週間以上を要したのに対し,SAVIと小線源治療装置を接続し,乳房内から小線源により照射する「加速乳房部分照射」では治療期間が5日間に短縮され,放射線被ばくの低減も可能となる。国内では2013年に保険適用,2014年から臨床応用されているが,照射回数を3回(2日間)に減らし,手術から放射線治療までを1週間以内に完結させる新プロトコール(超短期照射)の導入に向けた準備が行われていることが紹介された。

乳房小線源治療用アプリケータ「SAVI」

乳房小線源治療用アプリケータ「SAVI」

 

ファントムを用いた超音波診療のデモンストレーション

ファントムを用いた超音波診療のデモンストレーション

 

●問い合わせ先
コニカミノルタジャパン(株)
TEL 03-6324-1080
http://konicaminolta.jp/healthcare/

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