2022-6-29
(株)フィリップス・ジャパンは2022年6月23日(木),「CT/PACS/Workstationが変える放射線科の未来!」をテーマにオンラインセミナーを開催した。冒頭で挨拶に立った同社プレシジョンダイアグノシス事業部長の門原 寛氏は,診療放射線技師の業務の自動化や世界的な技師不足,放射線科医の燃え尽き症候群などの放射線科を取り巻くさまざまな課題を挙げ,これらの課題を解決するため,同社はスマート診断システムや相互接続性/運用性の高いワークフロー,診断環境の統合,明確なケアパスによる個別化医療の推進を提案しているとした。また,患者を中心に放射線科やオンコロジー,病理などの各領域の医師が,効率が良く生産性の高いワークフローで業務が行えるよう支援していきたいと述べた。
次に,熊本中央病院の片平和博氏が「Spectral CT が変える放射線科の未来!」と題して講演を行った。片平氏は,Spectral CTは造影コントラストを担保しつつ,造影剤量の大幅な減量が可能となったことで腎機能障害時の造影適応が広がったとした。また,スペクトラル解析により微量脂肪の検出や石灰化/出血の鑑別,骨髄イメージングを行うことでMRI精査の頻度を減らすことが可能になり,診断の迅速化によるワークフロー改善や低コスト化が実現すると述べた。さらに,従来CTの限界であった造影コントラスト不足を改善するほか,ECV(細胞外液分画)値の算出が正確に行えることから,心アミロイドーシス診断においても遅延造影スペクトラルCTは有用であるとし,認知症でMRI検査が困難なケースへの適用例などを紹介した。
続いて,自治医科大学の真鍋徳子氏が「循環器画像診断における放射線科医の相棒」と題して,循環器画像診断でのフィリップス社製マルチモダリティ画像解析ワークステーション「IntelliSpace Portal(ISP)」の活用について報告した。真鍋氏は,ISPによりモダリティ横断的な評価が可能になり,診断に必要な情報を得ることが可能になるとした上で,冠動脈疾患や非虚血性心筋症診断での活用について紹介した。一例として,大動脈弁狭窄症の6〜16%に合併するATTR型心アミロイドーシスを挙げ,近年,心電図のLow QRSや年齢,NT-proBNP,手根管症候群などの心アミロイドーシスを疑う“Red Flags”が提唱されているが,これらの症状や特徴は非特異的であるため,各診療科の医師は気づきにくいと指摘。全身を見る放射線科医が疑いを持って観察することが重要であり,複数の検査を横断的に確認できるISPは大変有用であるとした。
最後に,公立置賜総合病院放射線科の伊東一志氏が「Vue PACSで時短ラク読生活!」と題して講演を行った。伊東氏は,フィリップス社の医用画像管理システム「Vue PACS」は,過去画像のほか異なるモダリティや他院で撮影された画像の比較が容易であると評価した。また,指摘した病変にマークをつけるブックマーク機能やプレゼンテーション保存機能など,救急読影対応や検討会の時短につながる機能やテクニックを紹介した。
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