2022-6-3
2025年に開設が予定されている
「AI Incubation Farm」
順天堂大学は,人工知能(AI),internet of medical things(IoMT), information and communication technology(ICT)などにかかわる研究開発と社会実装の推進をめざし,2021年に順天堂大学大学院医学研究科AIインキュベーションファーム(AIインキュベーションファーム)を発足した。同大学はこれまで,文京区との相互協力協定に基づき,医療,スポーツ,教育などの幅広い分野で地域貢献を行っており,旧文京区立元町小学校と隣接する元町公園の一体的整備事業においては,同大学らのグループも整備・運営候補事業者に選定された。敷地内には新施設として,100年後につながる地域の健康拠点「(仮称)元町ウェルネスパーク」を開設し,その施設内には,ライフサイエンス分野における研究開発の促進と開発シーズの社会実装を目的としたオープンイノベーションプログラム「GAUDI」,および同大学の医療データを研究開発に活用する「AI Incubation Farm」を併設して,企業や起業家のスタートアップ支援を展開していく。AI Incubation Farmは2025年4月の開設をめざしており,2022年5月30日(月)には,その概要を紹介するイベント「順天堂大学発! AI Incubation Farmの2025年に向けた展望〜幸福100年社会の実現に向けた次世代医療エコシステムの構築に向けて〜」〔主催:AIインキュベーションファーム,共催:一般社団法人ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン(LINK-J)〕がオンラインで開催された。
本イベントでは,はじめに開会挨拶としてAIインキュベーションファームセンター長の服部信孝氏がビデオ出演し,AI Incubation Farm開設の目的などを述べた。続いて,文京区企画政策部長の大川秀樹氏が挨拶に立ち, AI Incubation Farmが地域産業の発展と新たなイノベーション創出の拠点となることに期待を寄せた。
次に,4名の演者による講演が行われた。まず,AIインキュベーションファーム副センター長の猪俣武範氏は,「about AI Incubation Farm」と題して,コアプロジェクトなどについて詳述。AI Incubation Farmでは,同大学が有する医療ビッグデータやGAUDIを活用できるとした上で,さまざまな企業,研究者,医師らが参集する都心型の共創の場とすることをめざしたいと述べた。東京都政策企画局特区推進担当部長の三浦逸広氏は,「『スタートアップ・エコシステム 東京コンソーシアム』AIインキュベーションファームへの期待」と題し,2020年に発足したエコシステムを形成する上での推進母体となる東京コンソーシアムの取り組みなどを概説した。日本アイ・ビー・エム(株)ヘルスケア・ライフサイエンス事業部執行役員の金子達哉氏は,「IBMにおけるヘルスケア・医療領域でのAI活用事例,及びAI Incubation Farmへの期待」と題して講演し,同社による医療AIの先行事例などを紹介したほか,今後重点的に取り組むべき最新技術や,医療AIの普及に向けた課題と対策などを提示した。株式会社Yuimedi代表取締役のグライムス英美里氏は,「医療データ利活用の現状と未来」と題して講演し,スタートアップとして同社が開発する医療データクレンジングソフトウエアなどを紹介した。
最後に,LINK-J常務理事の曽山明彦氏が,産官学民のコラボレーションの重要性を強調し,医療AIの発展への期待を述べて閉会した。
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LINK-J
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