2022-4-8
AI技術を搭載したソフトウエア3種を発売
(株)島津製作所は2022年4月7日(木),X線TVシステムと回診用X線撮影装置向けとして人工知能(AI)技術を用いた新しいソフトウエア3種類を発売し,同日,島津製作所本社(京都市中京区)およびオンラインで記者説明会を開催した。説明会では,医療機器事業部グローバルマーケティング部診断用X線システムグループグループ長の奥野智晴氏と医用機器事業部グローバルマーケティング部X線TV機種担当責任者の飯沼正雄氏による新ソフトウエアの開発背景や特徴の紹介と,本社ショールーム「メディカルセンター」の実機を用いたデモンストレーションが行われた。
今回発売されたソフトウエアは,X線TVシステム「SONIALVISION G4」のオプションとして提供されるトモシンセシスアプリケーション“T-smart PRO”と,腰椎骨密度測定を支援するアプリケーション“SmartBMD AI Assist”,および回診用X線撮影装置に搭載可能な“遺残確認支援ソフトウエアSmart DSI”の3種類。
T-smart PROとSmartBMD AI Assistは,高齢化を背景に骨の健康が健康寿命に大きく影響することを踏まえ,人工関節置換術の術後評価や骨粗鬆症診断を支援することをめざして開発された。T-smart PROは,金属アーチファクトを低減するトモシンセシスアプリケーションにAI技術を搭載し,推奨の再構成パラメータの設定を自動化することで,オペレータの作業を効率化する。インプラントやコリメータリーフといった金属を自動抽出して観察しやすい画像を再構成するほか,患者やポジショニングによって変化する関心領域を自動で判定し,再構成範囲の最適化を行う。従来は手動で行っていたオペレーションを自動化することで,検査時間短縮に寄与することに加え,オペレータの経験によらず適切な画像を取得することができる。
SmartBMD AI Assistは,SONIALVISION G4を用いたDXA法による腰椎の骨密度測定において,AI技術により骨領域の抽出(セグメンテーション)を自動化する。同社は,2019年に大腿骨の骨密度測定AI Assistアプリケーションを発売しており,今回の腰椎用アプリケーションの発売でパッケージとして完成した。骨密度の低い領域の骨抽出の精度を向上させている点が特長で,手動による修正を最小限に抑えられる。大腿骨のAI Assistアプリケーションを導入している施設からは,解析作業時間を1/3に短縮できたとの報告があることが紹介された。
また,遺残確認支援ソフトウエアSmart DSIは,回診用X線撮影装置「MobileDaRt Evolution MX8 Version cタイプ」などに搭載可能なソフトウエアで,手術時に行うX線撮影による体内異物遺残の有無の確認を支援する。ガーゼや縫合針,鉗子など,遺残物の可能性がある領域をAIの深層学習を用いた画像認識で抽出し,強調表示(色付け表示)することで,遺残物の見逃し防止を支援する。
●問い合わせ先
(株)島津製作所
https://www.med.shimadzu.co.jp/