2021-11-15
千葉大学医学部附属病院で稼働する
Elekta Unity
千葉大学医学部附属病院では,2021年12月からエレクタ(株)の放射線治療装置「Elekta Unity MRリニアックシステム(以下,Elekta Unity)」が稼働する。国内では初となる。Elekta Unityは,ビームエネルギー7MVのリニアックに,フィリップス社製1.5T MRIを組み合わせた一体型の放射線治療装置。リニアックの内側にMRIのマグネットの配置することで,照射前,照射中に撮像を行い,コントラスト分解能の高い画像や機能画像を用いて治療計画の修正を行える。これにより,治療部位をリアルタイムに観察しながら高精度に治療できる即時適応放射線治療(online adaptive radiation therapy:online ART)を実現する。また,従来の治療前のCTやマーカーの刺入を省略できるため,CTによる被ばくがなく,低侵襲の治療が可能だ。Elekta Unityは,2017年にオランダのユトレヒト大学医療センターで1号機が稼働し,日本では2019年5月に製造販売承認を取得。2021年10月末時点で,同院のほか,東北大学病院,大阪市立大学医学部附属病院が採用しており,順次稼働する予定である。また,全世界ではすでに37台が稼働しており,受注件数は100台を超えている。
千葉大学医学部附属病院では,2021年1月に新しい中央診療棟がオープンし,放射線治療の充実化を図った。エレクタの製品としては,Elekta Unity以外にも,放射線治療装置「Versa HDリニアックシステム」2台,小線源治療装置「フレキシトロンHDR」,放射線治療計画プログラム「Monaco」,放射線治療情報照合プログラム「MOSAIQオンコロジーインフォメーションシステム」が採用されている。
Elekta Unityの稼働に先立ち,11月11日(木)には,同院にてプレスセミナーと内覧会が行われた。最初に,病院長の横手幸太郎氏が「Beyondコロナに最高の医療を求めて」と題して,高度急性期医療の実現のための再開発計画を紹介したほか,新型コロナウイルス感染症への対応として,2020年2月以降520人の入院診療を実施してきたこと,コロナワクチンセンター,エクモカーなどの実績を説明した。また,同社代表取締役社長のチャールズ・シャーネン氏は,Elekta Unityの特長を解説した。さらに,同大学大学院医学研究院画像診断・放射線腫瘍学教授の宇野 隆氏が,Elekta Unityによる放射線治療について説明した。宇野氏は,治療の適応について,前立腺がん,肺がん,膵がん,肝がん,頭頸部がん,乳がん,子宮頸がん,脳腫瘍などを挙げた。そして,高精度放射線治療のパラダイムシフトが起こるとし,高コントラスト分解能画像,online ART,オンビームモニタ,機能画像によって,より高精度で患者に優しい治療ができるようになると述べた。このほか,ユトレヒト大学医療センター放射線腫瘍学物理部門教授のヤン・ラーヘンダイク氏によるElekta Unityの使用経験の報告がVTRで紹介された。
●問い合わせ先
エレクタ株式会社
マーケティング部
Marketing-Japan@elekta.com
https://www.elekta.co.jp