2021-11-10
添付文書確認の重要性に言及
一般社団法人安全なMRI検査を考える会は2021年10月28日(木),「第3回 MRI安全Webワークショップ」を開催した。テーマは,「体内デバイスとMRI検査 添付文書は安全を担保する」。MRIの技術進歩により検査の適応が広がる中で,MRIに対応したペースメーカーやステント,人工関節などの体内デバイスも増加している。しかし,体内デバイスはすべての装置に対応しているわけでなく,安全に検査を施行するためには,添付文書を確認することが重要である。今回のワークショップは,体内デバイス植込み患者に対する検査のポイントや撮像のノウハウを共有する機会として設けられた。司会進行は土`井 司氏(高清会高井病院),コーディネータは内田幸司氏(情報通信研究機構)が務め,コメンテータとして土橋俊男氏(日本医科大学付属病院),山本晃義氏(共愛会戸畑共立病院),高橋光幸氏(横浜栄共済病院),関口麻衣子氏〔メディエ(株)〕,上田 優氏〔(株)フィリップス・ジャパン〕が出席。第1部「MRI装置の添付文書を読み解く」と第2部「体内デバイスのMRI可否の判断基準と撮像条件への反映方法」の2部構成で進められた。
冒頭,土`井氏は,添付文書は日本独自のすばらしいシステムであるが十分に生かされていないとし,ワークショップの目的を述べ,添付文書の位置づけを解説した。その上で,臨床現場の活用事例として,共愛会戸畑共立病院の診療放射線技師へのインタビューなどを紹介した。また,土橋氏は,添付文書の内容構成や医療機器のクラス分類,MRI検査における注意事項とSARの定義などを説明した。
この後,上田氏がメーカーの立場からこれまで経験した事故の例を挙げた。さらに,関口氏は,メディエが提供している「医療機器のMR適合性検索システム」について紹介した。同システムは,MRIの安全性情報を集約・整理して,最新情報を提供している。これにより,医療者がMRIの安全性情報を確認する負担を軽減するとともに,患者の安全にも寄与している。データは8200件程度となっており,約4100名のユーザーが登録している。また,高橋氏は最大空間勾配磁場とSARについて説明した上で,日常の検査の中でどのように考えるかを解説。土橋氏も添付文書の情報だけでは安全性の担保に限界があるとして,どのようにリスクを考慮すべきか説明した。
当日は約400名の視聴があった。また,同会のホームページ ではアーカイブ配信を行っている(視聴にはパスポートの取得が必要。取得費用は1000円)。
●問い合わせ先
一般社団法人 安全なMRI検査を考える会
E-mail safety@mri-anzen.or.jp
https://mri-anzen.or.jp/