2021-10-15
FUJIFILM DR CALNEO CROSSの前に立つ
秋山雅孝 氏(メディカルシステム事業部長)
富士フイルム(株)は,2021年10月11日(月)にリリースした外科用Cアーム型軽量X線透視診断装置「FUJIFILM DR CALNEO CROSS」,小型拡張ユニット「EX-Mobile」の2つの新製品に関する発表会を,同日に東京都港区の東京ミッドタウン・カンファレンスとオンラインで開催した。会場には,メディカルシステム事業部長の秋山雅孝氏のほか,メディカルシステム事業部副事業部長の山本章雄氏,メディカルシステム開発センター長の鍋田敏之氏が出席し,実機でのデモを交えて説明を行った。
冒頭に挨拶した秋山氏は,富士フイルムのメディカルシステム事業についてX線画像診断機器を中心に経緯を説明した。フィルムの時代からX線画像のデジタル化に先進的に取り組み,多くの製品領域でトップシェアを獲得するまでに至ったとし,さらに2021年の富士フイルムヘルスケア(株)(旧日立製作所ヘルスケア部門)のグループ会社化によってさらなる成長を続けていると述べた。秋山氏は,今回の新製品につながる要の技術としてカセッテDRを挙げ,カセッテDRでは独自の読み取り技術ISS方式とTFT基板のフィルム化で高感度化を実現し,これによって低被ばく撮影と装置の小型軽量化が可能になり,長尺撮影が可能なロングパネル,軽量移動型デジタルX線撮影装置「CALNEO AQRO」,携帯型X線撮影装置「CALNEO Xair」などの開発につながったことを紹介した。
さらに,今回の2つの新製品について,CALNEO CROSSは外科用CアームX線透視装置市場で“ゲームチェンジ”をねらう製品であり,従来の透視撮影装置をデジタル化するだけでなく,静止画との兼用やケーブルレス化などで医療現場のワークフロー大きく改善する製品として,整形外科や泌尿器科,手術室などへ販売領域を拡大できると期待した。また,EX-Mobileは従来放射線科や診察室内にとどまっていたAI技術活用のシーンを,救急や在宅医療などさまざまな医療現場に拡大できるとした。
富士フイルムヘルスケアのシナジーについて秋山氏は,効果を最大化すべく生産,販売,開発の現場でさまざまな取り組みを進めているとし,10月1日には富士フイルムと富士フイルムヘルスケアの生産子会社を富士フイルムヘルスケアマニュファクチャリング(株)に統合し,生産の効率化,生産技術の向上を図ったことを紹介した。また,海外の販売拠点でも米国で10月1日に会社統合を完了,他国でも順次統合による売上の最大化に努めていると述べた。
■外科用Cアーム型軽量X線透視診断装置「FUJIFILM DR CALNEO CROSS」
CALNEO CROSSは,1台でX線透視と静止画撮影を可能にした移動型のCアーム撮影装置である。カセッテDRに「FUJIFILM DR CALNEO Flow」を採用し,透視撮影時にはアンダーチューブで透視撮影が,静止画撮影はアームを回転させてオーバーチューブに移動し,パネルホルダーからカセッテDRを取り出して行う。パネルホルダーは脱着が可能で3サイズ(10x12,14x17,17x17インチ)のカセッテDRを使用できる。また,バッテリーを内蔵し画像表示のモニタユニットやフットスイッチなどとは無線接続にすることでケーブルレスで運用でき,手術室などでの装置の取り回しが格段に向上した。
■小型拡張ユニット「EX-Mobile」
EX-Mobileは,カセッテDRと連携して使用する小型拡張ユニットで,富士フイルムの胸部X線画像病変検出ソフトウエア“CXR-AID”が動作する環境を提供する。CXR-AIDは,AI技術を活用して胸部単純X線画像から結節・腫瘤影,浸潤影,気胸の画像所見を検出し,それらが疑われる領域をヒートマップやスコアで表示する。2021年8月に発売され,これまでは同社のPACS「SYNAPSE」「SYNAPSE SAI Viewer」向けに提供されていた。EX-Mobileは,この機能を約500gの小型ユニットに搭載し,カセッテDRから画像を有線・無線LANで受信し解析した結果をコンソール(Console Advance)に表示する。CALNEO Xairやクリニック向け画像診断ワークステーション「C@RNACORE」との接続も可能だ。また,CALNEO AQROにはEX-Mobileと同様の動作環境を提供する外部画像処理キットとして提供される。
●問い合わせ先
富士フイルムメディカル(株) 営業本部 マーケティング部
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