2021-10-13
Aquilion Lightning /Helios i Editionを搭載した
感染症対策医療コンテナCTが完成
キヤノンメディカルシステムズ(株)は,(株)Sanseiのコンテナ医療設備「Medical Container-Cube(MC-Cube)」を活用した“感染症対策医療コンテナCT(以下,コンテナCT)”に関するメディア向け説明会を,2021年10月11日(月)にキヤノン下丸子本社(東京都大田区)で開催した。当日はコンテナCTのほか,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査キットなどを搭載した“検査ラボ用コンテナ”も合わせて展示した。
キヤノンメディカルシステムズの代表取締役社長の瀧口登志夫氏は,COVID-19パンデミックの中で診療に当たる医療関係者への感謝を述べた上で,医療コンテナソリューションの意義について,「今後の第6波や新たなパンデミックが予想される中で,有事における緊急の医療体制の整備は重要な課題であり,それに対する備えの一つとしてこのソリューションを位置づけている。一方で,感染症対策を施しながら経済を回していくことも重要で,医療コンテナはそのニーズに応えるソリューションでもあり,さまざまな場面で活用していただけると考えている」と述べた。実際に検査ラボ用コンテナは,2021年5月の「FINA飛込ワールドカップ2021」や音楽イベントなどで選手や出演者の当日検査に活用されたことが紹介された。
また,Sanseiの代表取締役・尚和直生氏は,「医療コンテナ車の開発は,2011年の東日本大震災の際に移動型の検査機器搭載車が開発できないかという要望を医療機関から受けたのがきっかけだった。2014年にキヤノンメディカルシステムズと最初のCT搭載車を開発,2016年の熊本地震の際にも使用された。今後,COVID-19のパンデミックが収束しても,災害時や過疎地,離島などでの医療支援など活用の場面は多い。また,医療資源の乏しい発展途上国への支援にも有効なソリューションだと考えている」と述べた。
CTコンテナは,ISO規格のコンテナにキヤノンメディカルシステムズの80列マルチスライスCT「Aquilion Lightning /Helios i Edition」を搭載している。特長としては,1) 感染症対策,2) 安全かつ簡便にCT検査室を移送,輸送が可能,3) CT室・操作室・発電機室をそなえたオールインワンパッケージである。
感染症対策では,清潔区域と汚染区域を分けるゾーニングが基本となる。CTコンテナは,院外に設置することでリスクの高い受診者と一般外来受診者を分けることができる。その上で,コンテナ内も受診者が行き来する入り口からCT室を汚染区域とし,スタッフが常駐する操作室を清潔区域とすることで感染リスクを抑えることができる。そのほか陽圧・陰圧の制御が可能で,H14グレードHEPAフィルタとUVランプで除菌を行う空調設備,CT室の壁面には手術室などにも採用されているガラスウォール(MEDIK社製抗菌ガラスウォール)を採用している。
安全な移送としては,ISO規格の668規格の40フィートコンテナを採用し,エアーサスペンションを装着したシャーシで安全な移動を可能にした。規格に対応したトレーラーヘッドで陸送が可能なほか,海運も容易に行える。CTやコンソールには車載キットが搭載されており,移動時の振動から装置を守るようになっている。発電機室までを一体化したオールインワンパッケージで,移動して設置した後には直ちに安全な環境で検査が開始できるのが特長だ。
ネットワーク環境によって病院との接続も簡単に行えるほか,5Gなどの通信設備を導入することで,遠隔との通信や連携なども可能で医療機関のデジタルトランスフォーメーションも支援できることをアピールした。
●問い合わせ先
キヤノン(株)
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キヤノンメディカルシステムズ(株)
TEL 0287-26-5100