2021-7-20
GEヘルスケア・ジャパン(株)と(株)三井住友フィナンシャルグループは,2021年7月14日(水)に「社会共創を通じた未来の医療・次世代ヘルスケアオープンイノベーション~2025年大阪・関西万博へ向けた次世代技術の最前線~」を開催した。「2025年の健康・医療に向けた大企業やスタートアップのビジネス潮流」をテーマに2部構成で行われ,三井住友銀行がスタートアップ支援およびオープンイノベーション支援の拠点として開設した「hoops link kobe」(兵庫県神戸市)からオンラインで中継された。
第1部では,慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教室教授の宮田裕章氏が「デジタル革命の先にある新しい社会とヘルスケア」と題して講演した。宮田氏は,各国でデジタル革命が進行する中,日本は乗り遅れていたことがコロナ禍で露わになったと指摘。さらに,今後ヘルスケアがより重要な分野になるとした上で,経済合理性や単なるWell-bengだけではなく,つながりながら豊かに生きる“Better Co-being”をめざす時代にあると述べた。
続いて,(株)日本医療機器開発機構代表取締役の内田毅彦氏が「医療機器開発の実際」と題して講演した。同社は,日本発の医療イノベーションの事業化に必要なエコシステム構築を目的に設立され,医療機器の事業化業務を行っている。内田氏は,イノベーションは社会実装(implementation)されて初めて実現するが,事業化には知財戦略や薬事戦略,資本政策などの多岐にわたる業務が存在すると述べ,心臓手術用医療機器など同社が手がける事例を交えつつ,医療機器事業化の現状を解説した。
次に,GEヘルスケア・ジャパンの代表取締役社長兼CEOの多田荘一郎氏と同社執行役員 アカデミック本部長兼エジソン・ソリューション本部長の松葉香子氏が登壇し,同社の次世代ヘルスケア戦略や人工知能(AI),リアルタイム・データを活用したテクノロジー実装例などを紹介した。
第1部の最後に,SMBCグループの取り組みについて発表が行われた。まず,三井住友銀行デジタル戦略部部長の宮内 恒氏が,「医療データの情報銀行」事業について紹介した。この取り組みは,同グループが社会的使命の一つとして行っているもので,2019年3月から大阪大学などで妊婦を対象とした実証事業を経て,“decil(デシル)”として2021年7月から大阪大学病院の全患者向けにサービス提供が開始されたことなどが発表された。
続いて,“My Hospital”アプリを展開するSMBCグループの(株)プラスメディ代表取締役社長兼CEOの永田幹広氏が登壇し,事業コンセプトやアプリの仕様について発表した。My Hospitalは,Myカルテやオンライン決済,処方箋データFAX送信サービスがトータルで提供されるもので,2019年6月の東京都済生会中央病院での導入を皮切りに,2022年3月までに15施設以上で導入予定であることが紹介された。
第2部では,関西の各大学発ベンチャー企業3社の代表者が,自社の技術やビジョンについて発表した。京都大学と慶應義塾大学発のベンチャー企業である(株)Luxonusは,光超音波イメージング技術を用いて0.2mm以下の超高解像度3D画像を撮影できる画像検査装置を開発している。登壇した同社取締役CTO八木隆行氏は,同装置は造影剤の使用や被ばくの懸念がなく,安全かつ容易に血管やリンパ管の情報が得られることから,乳がん検査やリンパ浮腫外科治療におけるスーパーマイクロサージャリー(超微小血管吻合)などでの活用が期待されることなどを紹介した。また,電気化学免疫測定法「GLEIA」を活用した小型迅速簡易POCTシステムの実用化をめざす大阪大学発ベンチャーの(株)イムノセンス(代表取締役社長 杉原宏和氏),数式を応用したマイクロ波マンモグラフィなどの開発を手がける神戸大学発ベンチャーの(株)Integral Geometry Science(CSO 木村健次郎氏)によるプレゼンが行われた。
最後に,第1部に登壇した宮田氏らによるパネルディスカッションが行われ,日本の医療政策課題のデジタルを活用した解決のあり方について意見が交わされた。
●問い合わせ先
GEヘルスケア・ジャパン(株)
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