2021-6-24
国内初のコマンドセンターを導入した
誠光会の取り組みと将来構想を紹介
GEヘルスケア・ジャパン(株)は2021年6月23日(水),滋賀県の社会医療法人誠光会における「コマンドセンター」導入について記者発表会を行い,オンラインで配信した。コマンドセンターは,データドリブンでの病院経営において,意思決定を支援するための中央集中管制塔システム。電子カルテといった医療情報システムから発生するデータを集約し,リアルタイムに病床の稼働状況やスタッフの業務を可視化して,病床の割り当てやスタッフの配置などに役立てられる。各医療情報システムから発生するデータを収集する統合分析サーバと,アプリケーションとしてクラウド上で動作する “タイル”で構成される。誠光会の草津総合病院では,2021年4月1日から国内で初めてコマンドセンターを本稼働させた。同院では,タイルとして,病床の稼働状況をリアルタイムで可視化し,入室先決定のプロセスを効率化する“Capacity Snapshot”,退院のマネジメントを最適化し,在院日数の短縮などを可能にする“Discharge Tasks”,重症化する患者をマネジメントし,早期ケアにつなげる“News Scoring”,病棟ごとに業務量とスタッフのリソースを可視化できる“Staffing Forecast”などが運用されている。このコマンドセンターにより,病院経営上のメリットとして,高い病床稼働率を維持できるようになり経営の健全化を図れるほか,地域医療連携において連携先医療機関との間でのスムーズな転入・転出に生かすことができる。また,ICUやHCUの稼働率向上も可能となる。一方,患者は,容態変化の状況をリアルタイムで把握してもらえるようになり,処置・介入・入退院のタイミングが適切になるといった恩恵を受ける。さらに,医療従事者は,病棟の状況や患者の容態などの把握が可能となるほか,残業時間の削減といった効果も期待できる。
草津総合病院では,現在,420床のうち43床を新型コロナウイルス感染症の専用病棟としているが,コマンドセンターにより病床稼働率を引き下げることなく運用できているという。平均在院日数についても前年より短縮化が進み,2021年4月,5月は10.6日で,前年度同時期よりも1.4日程度短くできている。また,コロナ禍で看護師の離職があったもののデータに基づいた業務支援体制により,大幅な残業などは生じていないなど,目に見えて成果が生まれている。
誠光会は,かつてケアミックス型の医療を提供し,法人内で完結する医療を長年提供してきた。しかし,湖南医療圏・近隣医療圏では,人口が増加するとともに高齢化も進展したことから,法人内での完結する医療ではなく機能分化を進め,周辺の医療機関と連携し,地域完結型医療への転換を図った。記者発表会で挨拶した誠光会理事長の北野博也氏は,こうした歩みを説明した上で,2020年4月に発足した湖南メディカル・コンソーシアムでの地域医療連携にコマンドセンターを活用することで,スムーズな地域完結型医療が可能になると期待を示した。また,誠光会法人本部副本部長の蔭山裕之氏は,2021年度中にコマンドセンターのタイルを追加して,「ヒト・モノ・カネ・情報」の統合を図ると説明した。現在,外来のタイルを作成しており,これが完成すれば,人的資源の有効活用が可能になるという。入院のタイルについても強化し,医療材料の物流や施設の管理,原価計算などを可能にする。蔭山氏は,コマンドセンターによって「ヒト・モノ・カネ・情報」が統合されることで,管理部門の組織が一つの生命体のように活動できるようになり,すばやい意思決定が可能になると述べた。
このほか,記者発表会では,GEヘルスケア・ジャパンの代表取締役社長兼CEOの多田荘一郎氏が挨拶を行い,同社エジソン・ソリューション本部カスタマー・ストラテジー&ソリューションディレクターの松石 岳氏がコマンドセンターの概要を説明した。
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