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第40回医療情報学連合大会が浜松とWeb配信のハイブリッドで開催(その1)

2020-11-24

現地とWebでのハイブリッドで開催。会場もソーシャルディスタンスを考慮して席を間引いて準備された。

現地とWebでのハイブリッドで開催。
会場もソーシャルディスタンスを考慮して
席を間引いて準備された。

第40回医療情報学連合大会(第21回日本医療情報学会学術大会,JCMI2020)が,2020年11月18日(水)~23日(月)の6日間,木村通男氏(浜松医科大学)を大会長に開催された。今回は,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響も考慮して,アクトシティ浜松(静岡県浜松市)と「CISCO Webex Events システム」を利用したハイブリッドスタイルの開催となった。大会テーマは「医療をはかる〜規・測・図・諮・謀・慮〜」。また,2年に1度開催されるAPAMI Conference(国際医療情報学連合アジア太平洋支部学術集会,APAMI2020)が,中島直樹氏(九州大学,日本医療情報学会理事長)を大会長として併催された。

11月19日の開会式で木村大会長は,「今回は,COVID-19の感染状況も鑑み,現地とWebでの配信を併せたハイブリッド開催とした。質疑応答こそが学会の意義だと考えるので,チャットではなく音声でやりとりできる仕組みを取り入れたのでオンラインでも積極的な発言をお願いしたい。JCMI2020のアカウントで,併催のAPAMI2020のセッションもオンラインで視聴できるので,この機会に国際学会の雰囲気も感じてほしい。また,現地会場では感染対策に取り組みながら,同門会や情報交換など“ロビー活動”もできる場も設けた。例年よりも長い会期になるが,学会の中,外,浜松の街を堪能してほしい」と述べた。

開会の挨拶に立った木村通男大会長(浜松医科大学)

開会の挨拶に立った木村通男大会長(浜松医科大学)

 

また,第3回学術論文賞の表彰が行われ,3本の優秀賞の中から三谷知広氏(東京大学大学院)に最優秀賞が贈られた。タイトルは“Highly accurate and explainable detection of specimen mix-up using a machine learning model”〔Clinical Chemistry and Laboratory Medicine(CCLM), 58(3): 375-383, 2019.〕。表彰では,優秀賞のLuciano Henrique De Oliveira Santos氏(京都大学医学部附属病院),和田聖哉氏(大阪大学大学院医学系研究科)とともに,中島直樹学会長(九州大学)からオンラインで表彰状が授与された(学術論文賞の詳細は,http://jami.jp/award/acaPaperAward2020.html を参照)。

学術論文賞の表彰もオンラインで行われた(写真は優秀賞の和田聖哉氏)。

学術論文賞の表彰もオンラインで行われた(写真は優秀賞の和田聖哉氏)。

 

19日に行われた大会長講演では,木村氏が大会テーマでもある「医療をはかる 〜規・測・図・諮・謀・慮〜」について,その意図を“リスクを測り,医療現場を慮る”“医療の余裕を図る”“医療費を測り,非採算部門を慮る”“医療研究を規り,情報システムの地位を謀る”の項目に沿って解説した。木村氏は,COVID-19の対応で明らかになった日本の医療の問題点を指摘しながら,リスクや医療費などを正確に把握して適切なフィードバックを行うことが必要だとして,医療情報システムのこれからに期待した。

木村氏は大会長講演で医療を“はかる”医療情報の6つの役割を解説した。

木村氏は大会長講演で医療を“はかる”医療情報の6つの役割を解説した。

 

20日の学会大会企画では,中島学会長がオーガナイズした「With/Beyondコロナ時代の医療情報のあり方を図る」が行われた。座長は木村大会長と近藤克幸氏(秋田大学)が務めた。冒頭に企画意図について中島氏は,「COVID-19への対応は現在進行形だが,ここまで医療情報の関係者がどのように取り組んできたのか,事例を共有したいと考えて企画した。さまざまな分野から現状を報告いただき,失敗も含めてノウハウを継承して今後に生かしてほしい」と述べた。最初の2題は医療情報学会の対応を報告,続く3つの演題は遠隔医療の取り組みとしてオンライン診療や遠隔ICUなどのネットワークを活用した事例の紹介,続いて企業としての対応,国境往来のための健康情報管理の取り組み,厚生労働省からHER-SYS,COCOAの情報提供と続いた。日本遠隔医療学会の会長を務める近藤博史氏(鳥取大学)は,パンデミック下におけるオンライン診療など遠隔医療の役割と,医療デジタルトランスフォーメーション(Medical DX)への期待を述べた。また,オンライン診療を早くから導入し,今回のCOVID-19でも陽性患者の早期入院をサポートした山下巌氏(山下診療所自由が丘・大塚)は,オンライン診療が対面診療を置き換えるのではなく,患者の不安の解消や,従来は受診機会のなかった新たな患者へのアプローチにもなるとオンライン診療のメリットについて説明した。

学会大会企画「With/Beyondコロナ時代の医療情報のあり方を図る」の様子

学会大会企画「With/Beyondコロナ時代の医療情報のあり方を図る」の様子

 

19日の午後のA会場では,大江和彦氏(東京大学)がオーガナイザーを務めた大会企画1「10年後・20年後の電子カルテと健康医療情報システム」が行われた。公募で選ばれた7名の若手研究者が,10年後,20年後の電子カルテと健康医療情報システムについてのプレゼンテーションのあと,大江氏と黒田知宏氏(京都大学)を座長としたパネルディスカッションを行った。7名は発表順に,岩穴口孝氏(鹿児島大学),中西永子氏(兵庫県立大学),三浦有樹氏(枡記念病院),明神大也氏(奈良県立医科大学),山ノ内祥訓氏(熊本大学),岩井聡氏(ICT関連企業),平木秀輔氏(京都大学)。発表では,アイトラッキング機能やカメラの自動認識技術を使った看護業務の支援,すべてのシステムがボーダーレスにつながり,シームレスに利用できる医療情報システム,問診やバイタル情報からカルテ記載を自動生成するシステム,AR/MRを使ってディスプレイや入力デバイスにとらわれない入力を可能にするユーザーインターフェイス,診察室の会話の自動ディクテーション,自動要約による電子カルテの入力の省力化などが提案された。ディスカッションでは,そもそも20年後にも今の形の電子カルテが存在するのか,必要なのかといった問いかけや,記録,保存するべき情報は何かという議論から,電子カルテのためのカルテ記載のあり方まで,会場からの発言を含めて広範で熱い議論が繰り広げられた。

大会企画1「10年後・20年後の電子カルテと健康医療情報システム」は,多くの演者がオンラインで参加し発表とディスカッションを行った。

大会企画1「10年後・20年後の電子カルテと健康医療情報システム」は,多くの演者がオンラインで参加し発表とディスカッションを行った。

 

浜松での開催は20回,30回に続いて3回目

浜松での開催は20回,30回に続いて3回目

現地の参加者には検温,手指消毒,COCOAアプリのインストールなどを求めて感染防止対策を行った

現地の参加者には検温,手指消毒,COCOAアプリのインストールなどを求めて感染防止対策を行った。

   
ポスター会場の様子。ディスカッションはポスター前ではなく講演会場で行われた。

ポスター会場の様子。ディスカッションはポスター前ではなく講演会場で行われた。

展示ホールの休憩スペースは間仕切りを設置した机と椅子が用意された。

展示ホールの休憩スペースは間仕切りを設置した机と椅子が用意された。

   
恒例のJCMI「産官学共同企画2020」

恒例のJCMI「産官学共同企画2020」

展示ホールの展示会場には24社が出展

展示ホールの展示会場には24社が出展

 

●問い合わせ先
第40回医療情報学連合大会 大会事務局
浜松医科大学医学部附属病院 医療情報部
E-mail jcmi-contact@mi.hama-med.ac.jp

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