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超高齢社会の課題解決を探る「NEC病院経営戦略セミナー2020」開催

2020-2-18

超高齢社会の病院経営戦略をディスカッション

超高齢社会の病院経営戦略を
ディスカッション

「NEC病院経営戦略セミナー2020」が,2020年2月7日(金)にNEC本社ビル(東京都港区)で開催された。同セミナーは,昨年まで「NEC医療セミナー」として継続的に開催されてきたが,今年は医療機関の関係者に対象を限定し病院経営に特化したイベントとなった。今年はテーマを,「超高齢社会を生き抜く病院経営とICT活用を考える」として,2つの講演とパネルディスカッションが企画された。2月14日(金)には,大阪(NEC関西ビル)でも東京と同じプログラムで開催された。
開催にあたって挨拶した医療ソリューション事業部事業部長の松尾 茂氏は,医療ソリューションのメッセージ“医療の課題を,ともに解きつづけ,問いつづける”について,その背景には,医療従事者の業務負担の軽減,医療課題に対応する技術,サービスの提供,そして病院経営への永続的なサポートを行うことで,安全,安心,効率,公平な医療サービスが行き渡る社会をめざすという意味が込められていると説明した。その上で,今回のイベントでは,超高齢社会における病院経営や働き方改革などの医療の課題に対して,NECの人工知能(AI)を用いたソリューションやさまざまな先進技術がいかに貢献できるかを含めて議論していきたいと述べた。

松尾 茂 氏(医療ソリューション事業部)

松尾 茂 氏
(医療ソリューション事業部)

   

 

最初に,岡山市立総合医療センター理事長・岡山市立市民病院長の松本健五氏が登壇し,「病院経営改善の取り組み〜第1期中期計画期間を終えて」を講演した。岡山市立市民病院のある岡山県南地域(岡山・倉敷)は,2つの大学病院を含む9つの総合病院が林立する病院激戦区である。同院は,400床の公立病院として診療を提供していたが,松本氏が病院に赴任した2000年当時には累積赤字(市立3病院で75億円),建物の老朽化などで病院存廃の危機に直面していた。松本氏は,2003年に病院長に就任後,病院の経営改革に取り組み,地方独立行政法人化,新築移転を実現し,医業収益の増加,経常収支の改善を果たした。松本氏は,“No Margin,No Mission”のスローガンを示し,持続可能な経営基盤を確立して初めて病院としての使命が達成できるとして,まず独法化など経営基盤の確立に取り組んだ経緯を説明した。その上で,診療の特徴として断らない救急医療や災害拠点病院として新型インフルエンザや大規模災害時の医療の提供に積極的に取り組んでいるが,病院が地域において“有難い”存在になることが生き残りへの第一歩だとそのねらいを説明した。さらに,“事務教育は義務教育”などの標語をスライドに提示しながら,人材育成や評価などのポイントについても解説した。
続いて“NECプレゼンテーション”として,NEC医療ソリューション事業部事業推進部の医療ソリューションコーディネーターで循環器内科医でもある野間 充氏が,「健康・医療・介護の課題に対するICTやAIを活用したNECの取り組み」を講演した。野間氏は,1983年九州大学医学部卒業後,九州厚生年金病院などに勤務,2015年から現職のほか循環器内科医としての診療も続けている。講演では,人手不足,医師の偏在,さらには働き方改革など,これからの医療機関が直面する課題に対して,NECが提供するソフトウエアロボット(RPA),AIチャットボット,不穏予兆検知やリハビリ業務効率化のAI技術など最新ソリューションを紹介した。

松本健五 氏(岡山市立市民病院)

松本健五 氏
(岡山市立市民病院)

野間 充 氏(医療ソリューション事業部)

野間 充 氏
(医療ソリューション事業部)

 

 

休憩を挟んで後半は,鹿児島大学病院副病院長の宇都由美子氏をモデレータとしてパネルディスカッションが行われた。最初に,モデレータプレゼンテーションとして宇都氏が,「安定した病院経営を基盤とする良質な医療の提供のために」を講演し,鹿児島大学病院で取り組んでいる処置+物流+看護記録で病院経営の徹底した“見える化”をめざしたシステムや,多職種が記載した記録(アセスメント)を読めるシステムとして開発された「e-kanja記録システム」,看護記録の時間短縮をめざして作成した看護マスタなどを紹介した。宇都氏は,データに基づいて病院の現状を明らかにし,それをオープンにすることで職員が納得し,それによって意識が変わり行動変容につながると述べ,質の高い医療と経営改善のためには精度の高いデータの収集と活用ができる病院情報システムが必須だとまとめた。
パネルディスカッションでは,宇都氏が司会を務め,QRコードを使った投票システムを利用して来場者からアンケートを実施し,関心の高かった項目(テーマ)に松本氏と野間氏がコメントするスタイルで行われた。テーマは,「病院長のガバナンス」「病院再開発」「人件費率適正化」など10項目で,来場者の関心が最も高かったのは「優秀な事務職員の育成」,次が「医療者の労働時間の短縮」だった。松本氏は,事務職員の育成について,医事課の仕事だけでなく病院全体に貢献するという意識を持つこと,さらに責任と権限を与えて信頼して任せることも必要だとアドバイスを送った。

宇都由美子 氏(鹿児島大学病院)

宇都由美子 氏
(鹿児島大学病院)

   

 

セミナー会場の後方に設けられた展示コーナーでは,“レポート確認説明管理機能”“ソフトウエアロボット(RPA)”“デジタルサイネージによる案内表示システム”“健診結果予測シミュレーション”など,AI技術を用いたソリューションや医療現場の働き方改革を支援するサービスを紹介した。

北原病院グループとともに技術実証を進めている“デジタルホスピタル”の事例を紹介。新たにスタートしたリハビリ計画作成にAI技術を活用し業務時間の短縮を実現する取り組みをPR。

北原病院グループとともに技術実証を進めている“デジタルホスピタル”の事例を紹介。新たにスタートしたリハビリ計画作成にAI技術を活用し業務時間の短縮を実現する取り組みをPR。

 

NECの顔認証技術を活用した医療現場の安全確保のためのソリューション(NeoFace顔認証システム&NeoFace Monitor V5)を展示。マスクを着用したままでの顔認証が可能になったことをアピール。

NECの顔認証技術を活用した医療現場の安全確保のためのソリューション(NeoFace顔認証システム&NeoFace Monitor V5)を展示。マスクを着用したままでの顔認証が可能になったことをアピール。

 

MegaOak HRに搭載された“レポート確認説明管理機能”。システム上での既読,未読の管理ではなく,最終的に“患者に説明する”ことを目的としたレポートの管理を実現する機能を紹介した。

MegaOak HRに搭載された“レポート確認説明管理機能”。システム上での既読,未読の管理ではなく,最終的に“患者に説明する”ことを目的としたレポートの管理を実現する機能を紹介した。

 

●問い合わせ先
NEC 医療ソリューション事業部
TEL 03-3798-6756
http://www.nec.co.jp/medsq/