2019-11-13
海外で多くの実績を持つ「Tasy」の日本市場導入を発表
(株)フィリップス・ジャパンは,海外950以上の医療機関で導入されているトータル・ホスピタル・マネジメント・ソリューション「Tasy(タジー)」の日本市場への導入を発表し,2019年11月12日(火)に東京コンファレンスセンター・品川(東京都港区)にて記者発表会を開催した。
Tasyは,電子カルテなどの基本機能に加え,各種検査や救急,手術室,ICU,透析,栄養などの幅広い部門システムから,経営・業務管理機能,サプライチェーンなどのバックオフィス機能まで,医療機関のあらゆる情報を,一つのデータベースに統合し,統一されたユーザーインターフェイスで使用できるソリューションである。電子カルテや医事会計といった病院運営基本機能をベースに,医療機関ごとのニーズに応じて,各種機能をモジュールとして組み合わせて利用する。オンサイトまたはクラウドのサーバにブラウザからアクセスするWeb型システムであり,各医療従事者はシンプルなメニュー画面から使用する項目を選んで,それぞれの業務を行う。モバイル端末やタブレットからのリモートアクセスも可能。Tasyのみでトータルパッケージとして提供可能であるが,既設の他社部門システムなどとの接続にも対応する。
医療サービスとオペレーションの意思決定支援も特徴の一つとなっている。リアルタイム臨床意思決定支援機能では,追跡可能な投薬プロセスや,診療情報から治療変更の必要性をアラートするようなメンター(助言)機能(アルゴリズムは各医療機関で設定)により,医療の安全や質の向上を支援する。また,経営管理・業務改善サポート機能では,ダッシュボードなどでリアルタイムに状況分析が可能で,病院経営や業務改善に貢献する。
記者発表会でははじめに,代表取締役社長の堤 浩幸氏がTasyの日本展開についてスピーチした。堤氏は,“ヘルステックでヘルスケアにおける価値創造を強化し,全体最適化をめざす”とのフィリップスのビジョンを述べた上で,医療機関が抱えている問題の解決にTasyが貢献できるとして,これまでのTasyの実績や特徴について説明した。Tasyは現在,世界950以上の医療機関に導入されており,1日に扱う患者数は300万人に上る。ブラジルのユーザー事例として,導入1年目の収益が20%向上,受け入れ可能患者数が200%増加という効果があったことが紹介された。堤氏は,日本国内の電子カルテシステムの普及率が30数%にとどまっている理由として,院内のさまざまな情報が別々のシステムで管理されているサイロ化があると述べ,現在はそれぞれが個別最適化されたシステムをつなぎ合わせているため,連携プロセスの分裂やデータの分散,高コストといった課題があるとした。それに対して,全体最適化をめざしたTasyでは,切れ目のない連携や集約されたデータの活用,優れた費用対効果,医療機関に合わせて柔軟に利用できるといったメリットがあることを説明した。そして,Tasyは,フィリップスがめざすヘルスケアを中心としたコミュニティの創造を実現するための情報プラットフォームであり,人々の健康な生活から予後までの最適化に貢献していくと締めくくった。
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続いて,Tasyの日本第1号ユーザーとなる医療法人社団康幸会かわぐち心臓呼吸器病院(埼玉県川口市)の理事長・院長である竹田晋浩氏と副院長の池﨑弘之氏が登壇した。同院は,Tasyの日本導入に向けて日本版の開発に協力している。竹田氏はTasy導入の経緯と期待について述べ,院内情報の管理や共有,医療安全,診断支援,来院者の管理・セキュリティなど,具体例を挙げてTasy利用の効果を紹介し,それらが1つのシステムで実現できるという投資対効果の高さに期待を示した。池﨑氏は,Tasyが稼働しているブラジルの医療機関を見学した経験も踏まえ,Tasy導入により期待されるメリットなどについて紹介した。最後に,ホスピタル・マネジメント・ソリューション部部長の若林昭吾氏が製品概要を説明した。
Tasyは,医療機関に合わせたカスタマイズが可能で,クリニックから大規模病院まですべての医療機関を対象とする。導入にあたっては,専門チームによる院内業務の現状分析や改善策の立案など,業務改革支援も含めたトータルサポートで提供されることから,導入準備にはある程度の時間を要する。かわぐち心臓呼吸器病院での稼働は2021年春を予定しており,大規模病院については2023年頭の稼働をめざして展開していく。
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