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フィリップス,病院経営に資する高額医療機器活用をテーマに「Philips Solution Symposium 2019」を開催

2019-10-30

経営者層をターゲットとしたシンポジウムを初めて開催

経営者層をターゲットとした
シンポジウムを初めて開催

(株)フィリップス・ジャパンは2019年10月26日(土),ステーションコンファレンス東京(東京都千代田区)にて「Philips Solution Symposium 2019」を開催した。本イベントは,病院経営が厳しさを増す中,高額医療機器をどのように有効活用するかという観点で初めて企画されたもので,今回はMRIを取り上げ,医療機器活用に関する講演が経営と臨床の両面から行われた。
冒頭,プレシジョン ダイアグノシス事業部長の門原 寛氏が開会挨拶に立った。フィリップス・ジャパンでは,2019年8月にプレシジョン ダイアグノシス事業部へと部署名を変更し,CTやMRI,超音波診断装置などのモダリティに加え,PACSやワークステーションなどのhealthcare informatics,病理や放射線治療計画システムなどのプレシジョンダイアグノシスソリューションまでをトータルに提案していく体制を整えた。門原氏はそのねらいについて,「医療の個別化に注目が集まる中,さまざまな臨床データを統合することで患者さんごとに正しい診断をサポートし,最終的にはよりいっそうの個別化医療へとつなげるソリューションを提案していくため」と説明。また,2019年3月に発表された,ケアストリームのヘルスケアIT事業買収を機に,IoTプラットフォームのさらなる強化,デジタル化の推進に努めていくと述べた。

門原 寛 氏(プレシジョン ダイアグノシス事業部長)

門原 寛 氏
(プレシジョン ダイアグノシス事業部長)

   

 

第1部は,病院経営の視点での講演が3題設けられた。最初に,一般社団法人医療システムプランニング代表理事の田村 誠氏が,「高額医療機器の配置をめぐる議論と今後ー患者アクセスと医療費の視点から」と題して講演した。田村氏は,財政制度等審議会などでの高額医療機器配置に関する議論や中央社会保険医療協議会(中医協)の最近の動向,また,田村氏らが行ったCTやMRIの設置台数と撮影回数,医療費との関係分析についての調査結果を解説した。そして,医療機関は地域医療構想のもとで役割を明確にして高額医療機器の導入・活用することが望まれると述べるとともに,医療経済研究機構による公的医療保険の給付範囲等の見直しの提言についても説明した。
2題目に,クレコンメディカルアセスメント(株)取締役最高業務責任者の小林 慎氏が,「高額医療機器の費用対効果について」をテーマに講演した。医薬品・医療機器の公的価格を調整するため,2019年4月より費用対効果評価が本格導入されたことを踏まえ,医療の費用対効果を評価するための方法について説明した。医療における費用対効果評価では,全疾患を横断的に評価する必要があることから,効果指標として質調整生存年(QALY)を使用し,分析はモデルを用いたシミュレーションにより推計している。また,費用対効果の評価では,単純に医療費削減を評価するのではなく,増分費用効果比(ICER)で評価する必要があるとし,評価方法について詳述した。そして,このような分析手法は医療機関におけるリソース評価にも有用であるとし,医療経営における活用を提案した。
3題目として,聖隷横浜病院事務局長の山本功二氏が「高額医療機器導入における経営サイドの導入プロセス」と題して,聖隷福祉事業団の病院における高額医療機器購入の実際について紹介した。聖隷福祉事業団では,現場ニーズに応える最新装置を導入する方針で高額医療機器を整えている。購入にあたっては,計画的購入(予算内)と戦略的購入(予算外)があるが,いずれにおいても現場でニーズを見える化した上で導入を立案し,総合的に経営視点での判断を行っている。経営サイドとしては,地域の需要や政策動向を踏まえての判断が重要であるとともに,現場のやる気に応えることも重要な視点の一つであると述べた。

田村 誠 氏(医療システムプランニング)

田村 誠 氏
(医療システムプランニング)

小林 慎 氏(クレコンメディカルアセスメント)

小林 慎 氏
(クレコンメディカルアセスメント)

山本功二 氏(聖隷横浜病院)

山本功二 氏
(聖隷横浜病院)

 

第2部では,はじめにプレシジョン ダイアグノシス事業部MRビジネスマーケティング部長の奥秋知幸氏が,「Philipsからのソリューション提案」として,MRIの課題を解決する新型MRI「Ingenia Ambition 1.5T」を紹介した。Ingenia Ambitionは,新開発の“BlueSealマグネット”により,わずか7Lの液体ヘリウムでマグネットを冷却することができ,世界的な問題となっているヘリウムの枯渇やMRIの安全管理,クエンチによるコスト負担といった課題に対応することができる。また,高速撮像技術“Compressed SENSE”による高速化や,呼吸同期システム”VItalEye”による検査の質の向上といった優位性についても紹介した。
続いて,倉敷中央病院医療技術部門本部長の田渕 隆氏が登壇し,「基幹病院が担うこれからのMR検査運用ーCompressed SENSEが病院経営および地域連携に与える効果」と題して講演した。同院では,健診施設も含めて8台のMRIが設置されており,そのうち4台にCompressed SENSEが搭載されている。撮像時間の短縮による,患者への効果や検査件数の推移,ワークフローの変化を説明した田渕氏は,効果の一つとして時間に余裕が生まれたことでインシデントの件数が減少していることを紹介。Compressed SENSEにより,体内インプラントへの対応も含め,検査が安全かつ容易になることや,検査件数の増加,検査待ち日数の軽減といった経営的メリットがあると述べた。さらに,現場のモチベーションにもつながるとして,現状維持バイアスから脱出し,先を見据えることが重要であると指摘し,今後はMRI装置の台数を減らしなが,検査件数を増加させることが可能だろうと展望した。
最後の演題として,熊本中央病院放射線診断部部長の片平和博氏が「病院経営の視点から考えるMRIの進歩ーCompressed SENSEという真打ち登場」と題して登壇した。片平氏は,Compressed SENSEの効果を,時間短縮,高画質,未知の画像の3つに大別して紹介した。同院では,院外からの依頼も含めてMRI検査依頼件数が飽和状態にあったが,Compressed SENSEの導入により検査数が1日あたり約5件増加,年間で約1000万円の収益増につながっていることに加え,以前よりも業務終了が早くなるという効果をもたらしている。また,時間短縮により対応可能な患者の幅も広がっていることを具体例を示して紹介。さらに,高分解能・高コントラストを実現するほか,CT like imageの取得や呼吸を制御しやすいなど,臨床的なメリットが大きい点も評価し,Compressed SENSEは病院の位置づけを向上させるメリットがあると締めくくった。
最後に,ヘルスシステムズ事業部長の大石恭裕氏が閉会の挨拶に立った。大石氏は,医療の質の担保,患者の経験の向上,スタッフのモチベーションアップ,経営指標改善のための取り組みの4つが,世界的に求められているポイントであるとし,フィリップスは,それをサポートするソリューションを提供していくと述べた。

奥秋知幸 氏(MRビジネスマーケティング部長)

奥秋知幸 氏
(MRビジネスマーケティング部長)

田渕 隆 氏(倉敷中央病院)

田渕 隆 氏
(倉敷中央病院)

片平和博 氏(熊本中央病院)

片平和博 氏
(熊本中央病院)

     
大石恭裕 氏(ヘルスシステムズ事業部長)

大石恭裕 氏
(ヘルスシステムズ事業部長)

   

 

会場内では呼吸同期システム”VItalEye”も展示

会場内では呼吸同期システム”VItalEye”も展示

 

●問い合わせ先
(株)フィリップス・ジャパン
ブランドコミュニケーション部
TEL 03-3740-5896
www.philips.co.jp/healthcare