2019-7-11
会場には37セットのSecurViewワークステーション
(ホロジック)とモニタ(バルコ)を用意
ホロジックジャパン(株)は2019年7月11日(木),京王プラザホテル・新宿NSビル(東京都新宿区)にて開催された第27回日本乳癌学会学術総会(会期:7月11日〜13日)において,共催ワークショップ「乳房トモシンセシスを学ぶ─実際に動かしてみましょう─」を開催した。午前中に「検診編」,午後に「診療編」が設けられ,事前登録制で行われた。会場となった新宿NSビル30階のルーム1・2には,37セットの読影端末が用意され,2人で1セットのビューワを使って乳房トモシンセシスを実践的に学ぶプログラムが組まれた。
午前中のワークショップ1「検診編」では,公益財団法人東京都予防医学協会がん検診・診断部長の坂 佳奈子氏が講師を務め,トモシンセシスを用いたマンモグラフィ検診に関する講演を行った後,設問として用意された12症例の読影を参加者各自が行い,最後に坂氏による解説が行われた。
「トモシンセシスによる乳がん検診の可能性」と題した基調講演で坂氏は,乳房トモシンセシスの概要について説明した上で,自施設で行ったトモシンセシスを用いたマンモグラフィ検診の成績について報告した。ホロジック社製マンモグラフィ装置によるトモシンセシス撮影(コンボモード)は,乳房圧迫後に3D撮影と2D撮影が連続して行われ,10秒ほどで1方向の撮影が終了するため,時間の延長はわずかで検診における撮影全体の流れに対する影響は小さいと説明した。3D撮影では,X線管球が円弧状に移動し,±7.5°の範囲を移動しながら,ほぼ1°ごとに15回の低線量照射を行い角度の異なる15枚の画像を取得するというトモシンセシス撮影の原理も説明された。
東京都予防医学協会では,2017年5月にデジタルブレストトモシンセシスを導入し,利益不利益についての説明文章での同意を取った上で,任意型検診の一部にトモシンセシスを組み込んだ検診を行っている。坂氏は,2017年度に行った従来の2Dでの乳がん検診(2D群:5693人)と3Dを加えた乳がん検診(2D+3D群:2742人)の成績を比較した。その結果,2D+3D群では要精検率が低下(2D群vs.2D+3D群:3.6%vs.2.8%)し,がん発見率(同:0.21%vs.0.51%)と陽性反応適中度(同:5.8%vs.18.4%)の向上が見られた。また,発見した乳がんの特徴としては,2D群と比べて2D+3D群では腫瘤と構築の乱れで発見される割合が多く,ステージ別ではステージ1および2の浸潤癌での発見が多かったと述べた。坂氏は実際の症例画像を供覧し,トモシンセシスでは,構築の乱れを中心とした病変を明瞭に描出できることや,不要な精査が減少し特異度が上昇すること,2Dでは見えない腫瘤を拾い上げられるといった有用性があることを説明した。ただし,被ばく線量の増加と時間の延長が問題となるため,3Dデータから合成した2D画像を用いることで2D撮影を省略した検診実施の可能性を検討するため,現在研究を進めていることを紹介した。
検診編で用意された設問は,乳がんを見落とさない力(感度)と正常例を異常なしとする力(特異度)の両方が必要となることから,正常例を含めた症例が用意された。参加者は各自に,また,ペアとなった参加者とディスカッションをしながら設問の読影を行った。
午後からは,ワークショップ2「診療編」が行われ,聖路加国際病院放射線科医長/乳房画像診断室室長の角田博子氏が講師を務めた。診療編では,病院での精密検査などの場面で有所見例に対してトモシンセシスを加えることにより,どのような診断を考えるかを問う設問が用意された。角田氏は,トモシンセシス画像の読影(動画再生)でのポイントを説明するとともに,解説では各症例について,2D,3D,MRI,超音波,病理の画像を示しながら詳細に説明した。トモシンセシスは,特に多発時における三次元的な位置の把握や副病変の検出,2Dでは検出できない所見の検出,トモシンセシスで位置を把握していたことでMRIや超音波で病変を見つけられるケースがあること,範囲診断や確信度の向上といった,臨床上の有用性があることを解説した。
会場には,事前登録できなかった立ち見の見学者も多く,参加者は実際にビューワを使ったトモシンセシスの読影に熱心に取り組んでいた。メーカー共催企画としては大規模であり,かつ同社としてもグローバルで最大規模のイベントとなった今回のワークショップは,盛会のうちに終了した。
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