2019-7-16
メイン会場のほかに22会場に中継し,約900人が参加
富士フイルムメディカル(株)は2019年7月15日(月),「FUJIFILM MEDICAL SEMINAR 2019 エクセレントカンファレンス」を開催した。参加者が事前に読影したマンモグラフィ画像を,乳がん画像診断のエキスパートが講師を務め,読影のポイントを解説する企画として2017年から開始。今回で3回目となる。全国の乳がん診療にかかわる医師や診療放射線技師が参加できるよう,東京と大阪にメイン会場を設け,TV中継システムを用いて全国10か所のサテライト会場,12か所の聴講会場に映像や音声を配信した。メイン会場は,東京がTKPガーデンシティPREMIUM京橋(東京都中央区),大阪がブリーゼプラザ小ホール(大阪府大阪市)で,両会場とサテライト会場間は双方向通信に対応し,質疑応答を行えるようにした。2017年の初回はサテライト会場が9か所であったが,2018年はサテライト会場,聴講会場合わせて18会場に拡大。さらに,今回は会場数を増やした。参加者数も初回は約510人であったが,前回は約660人,そして,今回は900人以上へと伸ばしており,参加者から高い評価を受けている。開会に先立って東京会場から挨拶した同社取締役・専務執行役員の川原芳博氏は,参加者が事前に読影を行うことで「全員参加」のカンファレンスが可能となり,全国配信することで異なる場所にいる参加者が同時に情報共有できることが特色だと述べた。
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カンファレンスでは,「高濃度」がテーマに掲げられた。マンモグラフィ検診では,高濃度乳房の感度が低いことが指摘されており,2017年3月には日本乳癌検診学会・日本乳癌学会・日本乳がん検診精度管理中央機構が,「対策型乳がん検診における『高濃度乳房』問題の対応に関する提言」を発表するなど,大きな課題となっている。今回は,高濃度乳房の読影のノウハウを共有するために,16症例の解説が行われた。進行は東京会場の鈴木昭彦氏(東北医科薬科大学病院乳腺内分泌外科科長)が務めた。また,大阪会場の遠藤登喜子氏(国立病院機構東名古屋病院放射線科診療部長・乳腺外科診療医長)が画像診断オブサーバー,森谷鈴子氏(滋賀医科大学附属病院病理診断科副科長)が病理診断オブザーバーとして参加した。さらに,講師として,東京会場の久保田一徳氏(獨協医科大学病院放射線部教授)が症例1〜5,土井卓子氏(湘南記念病院乳がんセンター長)が症例6〜10,大阪会場の森田孝子氏(国立病院機構名古屋医療センター乳腺外科)が症例11〜16を担当した。
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最初に講師を務めた久保田氏は,高濃度乳房の読影において,2D画像だけでなく,トモシンセシス(3D画像)を組み合わせることで,乳腺と病変の重なりを抑えた画像を観察できることなどを解説した。これを受けて,画像診断オブザーバーの遠藤氏は,高濃度乳房の場合は,先に3D画像での観察を行った上で,2D画像を読影することも有用であると述べた。
2番目に講師を務めた土井氏は神奈川県鎌倉市の乳がん検診で異常がなかった症例について取り上げた。本症例は,ドック型検診での超音波検査で病変が疑われ,改めてマンモグラフィを施行し,その後の病理診断で硬化性腺症を背景にしたDCIS,LCISと診断され,鎌倉市が検診制度を見直すきっかけとなった。本症例について,森谷氏が病理診断の説明を行ったほか,遠藤氏がフィルム診断とモニタ診断の違いとそれに起因する読影の注意点を解説した。
3番目に登壇した森田氏は,不均一高濃度乳房における硬化性腺症の症例を提示して,森谷氏が病理診断の観点から解説を加えた。
すべての症例の検討を終えた後,今回のカンファレンスを総括した遠藤氏は,900人が同時に同じ症例を見て講師の話を聞くことはほとんどなく,貴重な機会であると述べたほか,今回のカンファレンスで多く取り上げられた硬化性腺症から発生するがんについて改めて言及した。また,高濃度乳房の診断に寄与する3D画像の読影について,「脂肪をうまく見ること,乳腺の周りや乳腺の中の脂肪に着目することが重要だ」と述べた。その上で,遠藤氏は,今後のさらなる技術開発に期待を示し,カンファレンスを締めくくった。
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富士フイルムメディカル(株)
MS事業部営業技術部
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